りょっこう

4月4日(木)

Fさんは、できない学生ではありませんが、発話をさせると早口で言ったり文末まではっきり言わなかったりすることが多いです。そこをしつこく意地悪く何回も言わせてみると、個々の単語の発音が不正確なことが明らかになってきました。怪しいと思われる単語を漢字で書いてフリガナを振らせると、ものの見事に間違っているものばかりでした。漢字を見れば意味がわかるからいいやと思って、読み方を正確に覚えてこなかったのです。

「旅行」に「りょっこう」と振るんですよ。違うと言うと、「りょうこう」になり、「りょうこ」「りょうごう」「りゅうごう」と、近いところを行ったり来たりするばかりで、いかにもあてずっぽうという感じでした。こういうのが積もり積もって、「りょっこにいたよです(旅行に行ったようです)」なんてなってしまうんですね。そりゃあごまかしたくもなりますよ。

このままでは、Fさんは面接官に自分の優秀さを認めてもらうことなく、受験競争の敗者となるでしょう。忸怩たる思いで第4志望ぐらいに入るか、夢破れて帰国するか、明るい1年後を思い描くのは難しいです。最近は、定員厳格化の影響で、東京近郊の大学は買い手市場で、“落とす面接”が常態化しつつあります。Fさんなど、その格好の餌食になりかねません。

新入生のプレースメントテストがあり、ペーパーテストではレベル判定できない学生は面接をしました。残念ながら、Fさんのような話し方をした新入生が何名かいました。1年で進学したいと言っていましたが、かなり厳しく指導を覚悟してもらわないと、その野望は潰えてしまうでしょう。

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