3月28日(木)
初級クラスの作文の採点をしています。中間テストは中級クラスの作文でした。吐き気を催しつつ採点しましたが、初級の作文を見ると、曲がりなりにも中級だったなあと思います。
何が違うかというと、まずは語彙です。初級は、「いろいろ」とか「頑張る」とか「いい」とか、境界があいまいな単語が次々と出てきます。「大学に入ったらいろいろなことを頑張るつもりだ」などと書いてあっても、読み手は書き手が何をどうしようと思っているのかさっぱりわかりません。でも、初級の学生は、頭の中にはやりたいことの具体像があっても、それを表現する言葉を持ち合わせていないため、“いろいろ”となってしまうのです。だから、訂正しないか、書いた学生にとっては難しいことは承知の上で、その学生が言いたいことを中級以上の言葉で書き直します。
中級の学生がそんな文を書いたら、赤線を引っ張って“?”で終わりです。中級までに身に付けた語彙や文法を駆使すれば、学生が大学でしようと思っていることなどたいていは書き表せます。それをしない(できない)のは、怠慢か実力不足かです。
それから、論理性です。逆接とすべきところを順接とするくらいでは驚きません。困るのは、論理の飛躍です。「いい大学に入りたいから頑張っている」ならまだわかりますが、「いい大学に入りたいからおもしろい」となると、理解するのにかなりの想像力を要します。「いい大学に入ろうと思って苦手の数学の勉強を始めたら、問題が解けるようになってきて、今は数学がおもしろい」を思いっきり省略して先ほどの文になったとしたら、いかがでしょう。
中級は、なまじ語彙や文法を知っているので、それをこねくり回しすぎて自滅するケースが目立ちます。こちらのほうが難解になる場合もよくありますが、前向きの失敗ですから、多少は温かい目で見えたげます。まあ、「いい大学に入りたいからおもしろい」とかと書いてきたら、速攻でFですね。
採点は一通り終わりました。一晩寝かせて、明日の朝、もう一度見てみて気が変わらなかったら、それで最終決定です。