3月4日(月)
KCPの卒業式では、卒業生総代は設けていません。ただ、最初に証書をもらう学生だけ証書に書かれている文面を全て読み上げます。それ以外の学生のは“以下同文”で、名前以外は読みません。そういうわけで、実質的には最初に証書をもらう学生がその年の卒業生の顔となります。
今年の顔はBさんでした。1年以上最上級クラスに在籍し続け、去年の6月のEJU日本語では全受験生の最高点(実質満点)、同じく7月のJLPT・N1では満点の合格、そして国立大学への進学も決まっており、学生も教師も誰もが認める卒業生№1です。もちろん、予行演習の通りに証書を受け取り、最後の最後まで他の学生に範を垂れてくれました。
Bさんには、私も密かにお世話になりました。中間・期末テストなどでは、まず、Bさんの答案を採点します。そうすれば、模範解答を作らずにすむのです。Bさんの答えが、私の求めていた答えの水準よりも高すぎて、逆に模範解答にならなかったことすらありました。
こういう軸になる学生が抜けてしまった穴を、一体誰が埋めるのでしょう。去年はBさんが担ってくれるだろうなという予感がありましたが、今年はこれといった学生が思い当たりません。でも、おととしだって、その前の年だって、そう思いながらも4月期の終わりごろには頼りになりそうな学生が現れてきました。自分たちが最上級生だという自覚が、今年は勝負の年だという覚悟が、学生を育てるのだと思います。
Bさんは「長い間、お世話になりました。ありがとうございました」と言って、卒業式場を後にしました。明日から私は初級クラスの担当です。Bさんに続く人材を育てねば…。