初心者

2月25日(月)

「あ、チャイムが鳴りましたね。じゃ、この問題、休憩の間に考えておいてください。15分休みましょう」と、教室を出ようとしたとき、Sさんが声をかけてきました。「先生、面接の練習をしたいんですが、いつ、お時間ありますか」「うーん、明日もあさってもダメだから…、じゃ、授業が終わったらそのまま教室に残って。ここでしましょう」ということで、急遽、面接練習をすることになりました。

授業後、他の学生が帰り、Sさんだけが残りました。Sさんは来年進学する予定でしたが、今学期になってから今年進学することに方針変更しました。すでに超級クラスですから、進学先でやっていけるだけの日本語力は十分あります。また、周りの学生がみんな出ていってしまうので、寂しくなりそうだということもあると思います。

練習を始めると、Sさんは面接室の入り方からしてガタガタです。質問を始めても、視線は一定しないし、声は小さいし、答えは抽象的でぼんやりしているし、発音や文法がすばらしいだけで、合格ラインには程遠いというのが正直な感想でした。

Sさんのような学生は毎年何名かいます。日本語力で進学はできちゃいますが、進学先でどうなのかはよく見えていません。たまに「おかげさまで就職が決まりました」なんて報告に来てくれる学生もいますが、泥縄式に進路を決めた学生が平均的にどうなるかまでは、なかなか追跡できません。

Sさんには私が感じたことをそのまま伝えました。そして、面接の受け答えのコツも教えました。Sさんは、出席もいいことですし、私のアドバイスを守ってくれさえすれば、おそらく合格するでしょう。決していい加減な気持ちで進路変更したのではないというSさんの言葉を信じて、かげながら応援しましょう。

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