12月22日(土)
12月の卒業式は対象者が少なく、入学の学期がみんな同じなので、毎年暖かい雰囲気になります。多くの学生が初級から上級まで経験していますから、多くの先生の手を経ており、先生の顔とそのレベルでの思い出が直結しています。同じ行事や経験を共有していますから、不思議な連帯感も流れています。
今年もそういう感覚が色濃く現れた卒業式となりました。私にとっては、2年前の入学式での校長挨拶の内容を覚えていてくれたことがうれしくもあり、驚きでもありました。2年前、私は入学生に宿題を出し、その答えは卒業するときに教えると挨拶の中で述べました。その宿題について聞いたら、何名かが2年間ずっと気に留めていてくれたのです。
その宿題とは、日本人は映画のエンドロールを最後まで見る人が多いが、それはどうしてかというものでした。まあ、留学生は日本で映画を見る機会はそんなにありませんから、答えにたどり着けなかったのはやむをえないところがあります。でも、それを考え続けることで日本人の心のひだの一端にでも触れることができたとしたら、宿題を出した側としては大満足です。
さて、その答えですが、日本人は物作りに携わる人に敬意を払う文化が根付いているというのが、私の意見です。映画ならカメラを回した人やタイムキーパーや衣装さんや、監督や俳優以外の映画作りに携わった人にもしっかり拍手を送ります。これ以外にも、物事を陰で支えている人にも注目する人は多いです。これは、日本の美風だと思います。近頃、その美風が損なわれてきているのではないかと、少々心配しています。
卒業生たちは、明日からそれぞれの道を歩き始めます。