特別授業

7月12日(木)

受付のところにある椅子に座って、中国人の学生がアメリカ人の学生に日本語を教えています。「払わなければなりません、have to pay」なんてやっています。“授業”の内容からするとどちらの学生も決してレベルは高くなく、日本語だけでコミュニケーションが取れているかとなると、怪しいものがあります。でも、教える側も添わる側もかなり真剣で、何とか伝えようとする気持ちと、ほんのかけらでもいいからくみ取ろうとする心とが重なり合い、お互いに汗を拭きながらの特別授業が繰り広げられています。

午前中は養成講座の授業で、受講生から今学期はどのレベルのクラスを受け持っているのかと聞かれました。明日は一番下のレベルのクラスだと答えると、「どうやって教えるんですか」。私が養成講座で担当している「文法」は、教師として知っておくべき知識を扱っていますから、助詞の用法を事細かに取り上げていきます。レベル1の学生に教えるのはそのごく一部に過ぎません。教えるというより口で覚えさせると言ったほうが正確かもしれません。でも、教師がそれをするためには、広範な知識が必要です。知識に裏打ちされた練習こそが、学習者の体にしみ込む授業を形作るのです。

受付で繰り広げられたレッスンには、知識もテクニックもありませんでした。でも、友達をわからせよう、異国の友達と日本語でコミュニケーションが取れたらどんなにすばらしいだろうという、情熱や夢が感じられました。この点は、我々教師も謙虚に見習い、自分の授業に取り入れていくべきだと思います。また、養成講座の受講生にも是非見ておいてもらいたい場面でした。

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