自覚を待つ

6月8日(月)

Sさんは次のレベルに上がれないかもしれないという危機感を抱き、今日から授業の前に職員室で勉強することになりました。今日は文法のテストがあったので、その勉強をしました。しかし、なかなか勉強が進みません。語彙が足りないのです。クラスの他の学生は知っているはずの単語でも「何ですか」と聞いてきます。

SさんはKCPに入る前にワーキングホリデーで日本にいました。ですから、日本語ゼロで入学したわけではありません。本人もそれは承知していますから、今までどことなく「自分はわかっている」という意識が感じられました。確かにそうでしたが、もうすでにその貯金も使い果たしており、テストで合格点を取るのも厳しいという現実があります。「うさぎとかめ」のうさぎですね。

それでもSさんはそれに気が付き、勉強を始めようとしました。それに気づかず、あるいは気付いても認めようとしない学生を大勢見てきましたから、そんな学生に比べればSさんは立派です。しかし、もう少し早く気が付くべきでしたね。今日の語彙のわからなさ加減を見る限り、ちょっと手遅れではないかと思えてきました。

同じクラスのKさんは、EJUの模擬テストで上級の学生をも上回る成績を挙げました。「喜びすぎちゃダメですよ」と言ってその成績表を渡しましたが、今日の文法テストは不合格でした。直前に必死になって勉強したSさんを30点も下回る点数でした。EJUの模擬テストはマークシート方式ですが、KCPの文法テストは記述式です。Kさんの答案は正確に覚えていないがための減点が目立つのです。マークシートならごまかせても、文で答えるとなるとそれがあらわになってしまいます。

SさんにしてもKさんにしても、できない学生、見込みのない学生ではありません。しかし、今のままではこれ以上の日本語力向上は望めないでしょう。Sさんはそれに気付き軌道修正を始めたところですが、Kさんはどうなるのでしょうか。今日のテストは木曜日に返されます。それを見て奮起してくれればいいのでが。

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