背伸びの前に

6月12日(火)

期末タスクの時期です。私のクラスの学生たちが書いた発表原稿を見ました。まったく意味不明な原稿はありませんでしたが、細かく見ていくと、突っ込みどころが満載でした。

ネットで調べて原稿を作ってもいいということにしていますが、中にはネットの書かれていたことをそっくりそのままコピペしていると思われるものもありました。コイツがこんな難しい単語を知っているわけがないっていうのが散見されます。“難しいことを易しく”というタスクの目標を掲げましたが、“難しいことをさらに難しく”という原稿になっていました。検索で引っかかったそれっぽいページを書き写したら、もう安心しているのです。そんなの、「〇〇はどういう意味ですか」と質問されたら、しどろもどろになって、発表が瓦解してしまうに違いありません。

発表に使っているのは易しい言葉だけれども、内容は深めてもらいたいのです。いや、易しい言葉で説明しようと努力することによって、内容が深まると言ったほうが正確でしょう。ですから、直すにも学生の言わんとしていることを噛み砕いて、このぐらい誰でもわかりそうな言葉で書くんだよと例示するようにしました。私たち日本語教師はそういうのを日々やっていますから、鍛えられています。学生たちは、小論文なんかではむしろ背伸びするくらいの気持ちで書いているでしょうから、急に「易しく」と言われても戸惑ってしまうかもしれません。

でも、プレゼンテーションで求められるのは、背伸びよりも明確さであり、それは平易な表現によって裏付けられることがほとんどではないでしょうか。明日もタスクの作業がありますが、この点を学生たちに訴えていきます。

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