5月10日(木)
「じゃあ、5番の問題」。受験講座の物理で、EJUの過去問を練習問題として使い、学生たちにやらせました。3分ぐらい経ってから「できた?」と聞いてみましたが、反応が鈍いです。首を傾げたり下を向いて問題に取り組んでいる様子だったりで、自信をもって答えてくれる学生がいませんでした。
「みんな、問題よりも日本語を読むのが大変?」と聞いてみると、学生たちは元気なくうなずきました。このクラスは初級の学生たちが主力ですから、10行近くに及ぶ問題文を理解するのに苦労していたのです。今学期から受験講座を受け始め、でも6月に本番を迎えます。気持ちははやるものの、読み取るスピードはいっこうに速まりません。この落差にもどかしさを感じていることが手に取るようにわかります。
昨日の上級の学生たちはそんなことはなく、キーワードにアンダーラインを引いたり丸で囲んだりしてどんどん読み進んでいました。半年かそれ以上受験講座に出ていますから、知識の堆積もありますし、勘も働くようになってきました。多少失敗したとしても、大崩はしないでしょう。問題文の読解に悪戦苦闘していた初級の学生たちは、こういう学生たちと戦わなければならないのです。
日本語を読まなくても答えられる魔法のような方法があれば教えてあげたい気もします。でも、ドラえもんのおかげでいい思いをしたのび太君が結局はつけを払わされるように、日本語力をおろそかにしていたら、大学に入ってからかたきをとられることでしょう。やっぱり、学問に王道なしです。