2月24日(土)
今学期は、土曜日は日本語教師養成講座の文法の講義をしています。3月までは初級文法のお話で、みんなの日本語初級版に出てくる文法を中心に解説しています。しかし、初級の範囲だけを抽出して教えていくというのは非効率的ですから、共通の土台に立つ中級上級の文法もいくらか触れていきます。
例えば、使役なら「先生は生徒を立たせました」みたいな典型的な用法はもちろん、「肉を腐らせてしまいました」みたいなちょっとひねった表現についても考えてもらいます。日本人はこの2つをわざわざ「使役」などと意識して使うことはありません。また、日本語学習者の母語ではこれらを同じ形で表現していないかもしれません。でも、日本語教師は2つの文では同じ文法項目が使われているけれども、その意味は違うことを明確に認識していなければなりません。
受身だと、「あべのハルカスが建てられました」と「あべのハルカスを建てられました」の違いなんていうことも取り上げます。この違いは、学習者に教えることはまずないでしょうが、受身の根本にかかわることですから、日本語教師を目指す方々には是非理解しておいてもらいたいです。授業を支える文法力を裏打ちする知識や発想もまた、日本語協視力の一端だと信じています。
一のことを教えるには十知っておかなければならないと、20年以上前の養成講座時代に教えられました。その後日本語教師を経験してきて、確かにその通りだと思いますから、私も自分の講座の受講生に対してその精神で向かっています。