2月20日(火)
今週末に受験を控えるGさんが初めての面接練習に臨みました。「どうして本学で勉強しようと思ったのですか」「日本へ来た前、先輩に薦められました。生物工学科は日本初に設立しましたから、有名です」「はあ、そうですか。では、本学で何を勉強しようと思っていますか」「生物の基礎の勉強をして、大学院で分子生物学を勉強をして、将来は研究員になりたいです」「どうして分子生物学を勉強しようと思ったのですか」「ノーベル賞をもらったトウヨウヨウさんは植物からある物質を分離して薬にしました。それはすばらしいです」「そういう勉強なら薬学部のほうがいいんじゃないですか」「薬学部は薬を作りますが、私は物理を分子生物学に応用します」…
なんとなく話がかみ合わないまま、話が終わってしまいました。予想外の質問に出くわすと白目をむいてしまうので、心の動きが手に取るようにわかりました。最大級のダメ出しをして、受験日直前に再度練習することにしました。
Gさん自身も答えの内容には自信が持てなかったようでした。どんな考え方で答えをまとめたらいいか、どういう話の進め方をすればいいカなど、自分の答えを改善していこうと言う姿勢が見られました。一方、発音や話し方は完璧のつもりだったようです。しかし、どうひいき目に見ても、日本語教師ならわかるけれども、大学の先生はついていけないだろうなという話しっぷりでした。どうしてここまで自信が持てるのか、不思議でした。
はっきりいって、Gさんの答えや話し方には、半年前にはクリアしていなければならない課題が手付かずで残っていました。今まで何をしていたのかと説教したくなりました。あと数日で半年分の遅れを取り戻すのは絶望的ですが、これだけは押さえてほしいというポイントを伝えて、次回までの宿題としました。
要するに、自分の頭の中でシミュレーションすると面接がうまく進むのですが、生身の人間を相手に練習すると思ったとおりに答えられないのです。本番5日前でそれに気づいたGさんは、どのように軌道修正するのでしょう。