目の前の学生

11月15日(金)

教卓のまん前の席を指定されたGさんは、テストの前から落ち着きがありませんでした。隣の席のXさんのノートをのぞき込んだり国の言葉でなにやら質問したりしていました。直前の確認と言えば聞こえがいいですが、表情はあまり真剣には見えませんでした。

テストが始まっても、貧乏揺すりこそしませんでしたが、口をパクパクさせたり手をあっちこっち動かしたり、あげもらいか貸し借りか行き来かわかりませんが、語彙か文法か自分なりに確認しているようでした。周りの学生は試験問題に真剣に取り組んでいるので、そんなGさんの動作など眼中にないようでしたから、放置しておきました。

聴解の時間になると、できない学生の典型的パターンに陥りました。次の問題が始まっているのに、前の問題の答えをあれこれいじりまわすのです。消しゴムで消して書き直している間に、新しい問題はどんどん進みます。そうすると、その問題も聞き取れなくて、そのまた次の問題の時に答えを考えることになります。すると、そのまたまた次の問題が…というように、悪循環に陥ってしまいます。Gさんは自転車操業にもなっていないようでした。

多くの留学生を見ていると、中には勉強に不向きなのもいます。そういう学生は勉強以外の分野で活躍すれば幸せになれるでしょうが、日本語という外国語を勉強しているうちは、苦難の連続です。Gさんにもそんなにおいを感じ取りました。まだ初級のGさんは、卒業が再来年の3月です。それまでもつのかなあと、心配になりました。

中間テストが終わりました。あさっては水上バスの旅です。Gさんも、こちらは楽しんでくれるでしょうか。お台場で活躍してくれるでしょうか。

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