いい学生じゃなくても

5月19日(火)

私のクラスのSさんは、ふだんからどことなく落ち着きがありません。かまってもらいたいというか、じっとしていられないというか、集中できる時間型の学生に比べて短いのです。だから、中間テストの座席を教卓のまん前にしました。試験監督の先生ににらまれていれば、気持ちがテストに向かっている時間が少しは長くなるだろうと思ったからです。

ところが、これが試験監督のK先生に大不評。Sさんがきょろきょろしないようにずっと見張っていなければならず、他の学生に目が届かなかったとのことです。隣に学生がいない教卓の横の席のほうがよかったようです。

KCPには世界中から学生が集まっていますから、考え方も行動様式も性格も特徴も、文字通り多種多様な人々がいます。Sさんは、私の頭の中にある基準、学生とはこうあるべきだという規範からは外れています。私にとってSさんはいい学生とは言いがたいです。しかし、だからといって、Sさんを切り捨ててしまうことはできません。Sさんがこの社会で生きていく上で、どんな形で力になれるかを考えています。

もしかすると、おとなしくテストを受ける人間が標準だという日本社会は、Sさんにとって住みにくい世界かもしれません。でも、Sさんは日本が好きで留学に来てくれたのです。その気持ちには何とかこたえてあげたいと思っています。

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