10月11日(水)
先学期私のクラスだったKさんはすばらしい成績だったので、今学期は2つ上のレベルのクラスに入れました。昨日の夜に新クラスを連絡したのですが、そのメールに気付いたのが今朝のようで、私が出勤してからしばらくして、あわを食ったようなメールが飛び込んできました。
Kさんは2つ上のレベルではなく、1つ上のレベルがいいと言ってきました。成績優秀な学生を選んで2つ上のレベルにしたのだから、心配しなくても十分やっていけると返信したのですが、階段を1段ずつ上がっていくのが自分の勉強のスタイルだから、どうしてもレベルを1つ下りたいと譲りません。
確かに、Kさんはとても緻密な勉強のしかたをする学生で、この文法はこういう使い方はできるか、こういう場合には使えるかと、細かくも的を射た質問をしてきました。だから、Kさんがそういう気持ちを持っているというのも、わからないでもありません。
点数が足りないくせに強引にでも上のレベルに行こうとするギャンブラーの学生が山ほどいる中、Kさんは実に慎重です。こういうふうに基礎をおろそかにしないからこそ、着実に力をつけ、順調に進級できるのです。目の前の課題に全力で取り組み、そこから得られるものを何でも吸収しようとするからこそ、同じ教室で机を並べていても、3か月の間に大きな差が生じてくるのです。
私の本当の気持ちは、KさんがKCPにいるうちにより高度な日本語を身に付けてもらいたく、それゆえ、2つ上のレベルのクラスに入ってほしかったです。でも、Kさんの考え方を尊重することにしました。Kさんなら、KCPを卒業した後も自分の力で研鑽を続けていけると思ったからです。
さて、新学期。今学期も、いろいろなドラマが巻き起こることでしょう。