9月21日(木)
「貧乏ゆすり」というくらいですから、いすに腰掛けている時、絶えず膝を揺らし続けることは、日本人の目からはみっともなく見えます。授業をしていると、国籍性別年齢を問わず貧乏ゆすりが見られることから、日本以外の国ではそれほど見苦しい癖ではないのかもしれません。そうは言っても、クラスにいる20人ほどの学生の大半に貧乏ゆすりをされると、こちらも体や心のバランスが崩れてきそうになってきます。
大学先学志望の学生を集めたクラスで、志望理由書を書かせ、その志望理由書に基づき、1人1答の面接をしました。教卓のまん前にいすを置いて、そこに1人ずつ読んで座らせ、書きたてほやほやの志望理由書を見ながら、私が質問するというものです。他の学生が見ている前で、まだ面接慣れしていないこの時期に、予期せぬ質問をされるとなると、緊張はするでしょう。だから、無意識のうちに膝が揺れていたということもありうるでしょう。でも、貧乏ゆすりしないほうが少数派だったというのは、予想だにしなかった結果です。
授業の最後にクラス全体にそのことを注意すると、みんな驚いたような顔をしていましたから、きっと自分自身でも気づいていなかったに違いありません。現に、「私は貧乏ゆすりをしましたか」と聞いてきた学生が数名いました。そして、していたと指摘すると、ちょっと落ち込んだ表情になりました。
各大学の面接官も私と同じ神経を持っているとすると、質問に対する答えがどんなにすばらしくても、貧乏ゆすりひとつでその好印象が帳消しになってしまうでしょう。ましてや発音不明瞭だったりしたら、絶望的です。これも、学生たちの大好きな日本文化の1つです。
こんな評論家的なことを言っている暇はありません。受験シーズンは始まっていますから、面接練習の場でばりばり鍛えていかなければなりません。貧乏ゆすり撲滅――これが、今シーズンの私の目標です。