7月25日(火)
私が受け持っている初級クラスのスピーチコンテスト代表はWさんです。原稿がほぼ固まったので、読む練習を始めました。自分で書いた原稿とはいえ、声に出して読むとなると、なかなかスムーズにはいかないものです。日本人だって、自分で書いた原稿を読むときにかんでしまったり文の切れ目が見えなくなってしまったりするものです。ましてや外国人、それもまだ初級ですから、一発ですらすら読めるわけがありません。
初めての練習ですから、指摘したいことが山ほどあります。でも、それを全部Wさんに伝えたら、Wさんは混乱の極致に陥るだけでしょう。ですから、手始めとして、小さい「っ」をきちんと発音するようにと指示しました。
でも、厳密に言うと、「っ」は拍を取るだけで、声は出しません。ですから、“きちんと発音するように”ではなく、“きちんと発音しないように”指導したというべきでしょう。
発音をするのかしないのか、何だかよくわからなくなってきましたね。まあ、とにかく、Wさんにとっては「っ」に対して1拍置くということが難しく、「っ」のところだけ寸詰まりというか急ぎすぎというか、聞き手からするとそこだけリズムが狂ってしまうのです。
「っ」のリズムが取れないと、話すときだけでなく、書くときにも悪影響が現れます。上級になっても「帰えて」というミスが減らないのも、ここにその一因があると私はにらんでいます。学生は、とかくこうした地味な練習を嫌がるものです。しかし、「帰えて」と書いたり話したりして“ガイジン”と思われて損をするのは、そういう学生自身なのです。
さて、明日はWさんにどんな指導をしましょうか…。