6月14日(水)
ある初級のクラスで助数詞を導入したときのお話です。まず、薄っぺらい物を数える時の「枚」、パソコンや自動車のような機械類を数える時の「台」を教えます。これらは、どんな場合でも、数詞も助数詞も音が変化しません。不定数も「なんまい/だい」です。対して、細長い物を数える時の「本」は、「いっぽん」のように、数詞も助数詞も音が変化しますから、最初の導入には不向きです。
「ひとつ、ふたつ、…とお」は、「枚」「台」という一番簡単なパターンとは違って、「いち」とか「に」とかとは全然違う音になります。しかし、カレンダーを思い出せば、「みっつ」と「みっか」、「ここのつ」と「ここのか」など関連が見えてきますから、日付を覚える苦労の何分の一かで身に付けられるでしょう。
さて、あるクラスで、「枚」の“?”は「なんまい」、「台」の“?”は「なんだい」とさんざん練習した後で、「~つ」の“?”はと聞いたところ、クラス全員声を合わせて元気に「なんつ」。普通は1人か2人か国で勉強してきて「いくつ」と答えてくれる学生がいるものですが、たまたまこのクラスにはいなかったのか、忘れてしまっていたのか、「なんつ」の大合唱となってしまいました。
その「なんつ」、久しぶりに聞いてしまいました。進学コースの学生に来学期の受験講座の登録をしてもらっているのですが、Jさんは私の説明を聞いた後に「受験講座の授業はなんつ申し込みますか」と質問してきました。思わず「えっ?」と聞き返してしまいました。聞き返しても同じことばが返ってきました。そこでようやく初級クラスの「なんつ」と結びつき、「3つでも4つでも5つでもいくつでもいいですよ」と答えることができました。
Jさんは事情があってついこの前まで一時帰国していました。そのため、頭の中が国の言葉のモードになっているのかもしれません。今度の日曜日がEJUなのに、日本語を習い始めたころのレベルに戻っているとしたら、非常に困ったことです。EJUの後には期末テストも控えています。「なんつ」では進級も覚束ないでしょう。となれば、受験講座の説明も無駄になってしまいます…。