4月25日(火)
初級には、毎学期、JLPTのN1やN2を持っているんだけど…という新入生がいます。そういう学生は、大きく2つに分かれます。1つは、自分の実力は正当に評価されていない、こんなレベルでは何一つ勉強すべきことはないと考えるタイプです。もう1つは、N1やN2のことは後ろに置いて、現状を認めようとするタイプです。どちらが本人にとって望ましい結果につながるかは、明らかでしょう。
前者は、学校の勉強に身を入れようとしません。教室には入るけれども、授業には参加しようとせず、せっせと内職に励むこともしばしばです。JLPTでは測りきれない日本語力の面で何か不足しているからこそ、N1を持っていても初級と判定されたのであり、そこに初級で学ぶ意義が見出せるはずです。でも、それをせずに、自分の信ずる道を進むといえばカッコいいですが、要するに生兵法を振り回すだけですから、なんら進歩するところはありません。四択問題で正解を選び取るテクニックを、カンのよさを、どこでも通じる日本語力だと信じ込んでいるところが大きな問題です。
後者は、自分の日本語力の基礎部分における抜け落ちをきちんと補おうとします。暗記でわかったつもりになっている部分の理論的裏づけを得ようとしたり、「話す」「書く」というマークシートのテストでは無視されている力を磨こうとしたりします。N1やN2に合格するということは、それにふさわしい優秀な頭脳を持ち合わせているはずですから、勉強しさえすれば、四技能どれも水準以上にすることは難しくありません。
今学期の私のクラスにも、自分はもっと高いレベルに入ってしかるべきだと思ったとしてもおかしくない学生がいます。しかし、その学生は、自分が判定されたレベルを謙虚に受け止めて、基礎からやり直しています。後者のグループに入ってくれれば、志望校も夢ではなくなります。私も上手に導いて、花を咲かせるお手伝いをしたいです。