消去法

4月17日(月)

午前の授業が終わってカウンターがわいわいがやがやしている中に今学期から受験講座を始めるHさんがいて、受講を申し込んだ数学の受講をやめたいと言います。Hさんは受験講座が必須の学生ではありませんから、必要がなければやめても一向に構いません。文系志望ですから、数学よりも総合科目です。苦手な数学をどうにかしようと力を注いだ代わりに総合科目で思うように点が伸びなかったら、志望校に手が届かなくなってしまいます。いわゆる“いい学校”には、150点ぐらいは必要ですからね。

Hさんは国でも数学は苦手だったと言います。受験講座に申し込んだときには勢い込んで数学も受けると言ってしまいましたが、落ち着いて考えてみると、あのわけのわからない数学を自分にとって外国語である日本語で勉強することに身の毛もよだつような恐怖を感じたのでしょう。

その時カウンターにいたPさんとMさんも、自分たちも数学はどうしようもなかったと盛んに語り始めました。化学や物理はもっととんでもなかったとも。「人生、消去法で行き先が決まるもんですね」という結論になりました。

思い返せば、私も歴史の研究をしたかったのですが、古文漢文がからっきしでしたから理科系に進んだという、やはり消去法の選択をしました。歴史小説を読んだり史跡を歩いたり博物館を見学したりして、歴史に対する自分の興味を満たしています。

その一方で、新入生のYさんは、文系志望ですが物理も化学も生物も受けたいと言います。授業時間が重なっていませんから認めましたけど、果たしていつまで続くでしょうか。受験講座は、EJUや各大学の独自試験にターゲットをあわせていますから、受験とは関係のない学生が聞いて面白い内容かというと、大いに疑問です。年度の後半に行う超級向け選択授業の「身近な化学」のレベルなら面白く感じるかもしれませんが…。

でも、幅広く枠を取って、その中で自分の可能性を見出そうというのなら、大いに歓迎です。Yさんはまだ若いですから吸収力も強いでしょうし、寄り道が許される時間的余裕もあります。是非、消去法ではない選択で、自分の進路を決めてもらいたいです。

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