4月4日(火)
企業の研究員として研究を進めるには、今までに出された特許の調査が欠かせません。特許を侵すような研究をしても、企業には利益をもたらしません。この調査の際には当然膨大な量の特許を読むのですが、私にとって、これは苦痛以外の何物でもありませんでした。自分の権利を少しでも広く確保しようという我利我利亡者の精神で書かれた文言は、読んでいて頭痛と吐き気を催したものです。まあ、読み方のコツを覚えれば、機械的に情報を取り出せるようになり、苦痛も多少は和らぎはしますけれどもね。
研究が進み、企業化を図る際には、その製品の製造から販売にまつわる諸々の法律の条文を読み込まねばなりません。法律の条文は悪文だとよく言われますが、シロウトがすんなり理解できる文章ではありません。特許にしても法律の条文にしても、厳密さを追求した結果が、プロでないとスムーズに頭に入っていかない文の集合体を生み出してしまったのでしょう。
日本語教師養成講座に関わる規定が変わりました。日本語学校などで教えるには、文化庁に届け出て認められた養成講座を修了することが必要になりました。…とあっさり書きましたが、実際に文化庁などが出している文書は、特許ほどではありませんが、もっとずっと難しい言い回しです。文から荘重な感じは受けますが、養成講座を受講しようとしている方たちには、軽やかなリズムのほうがとっつきやすいんじゃないかと思い、文意を損なわない範囲で、KCP養成講座のホームページに載せる文句を考えました。
Bさん、Hさん、Lさんなどは、今月から法学部で勉強します。去年法学部に進学したKさんは六法全書とにらめっこする毎日のようです。法学部とは法律や法体系を貫く精神を学ぶ場とはいえ、自分にとっては外国語で書かれたあの難解な条文に全く触れずに済むはずがありません。私は素直にこの卒業生たちを尊敬します。