3月10日(金)
初級のクラスに入りました。このクラスは、来週の月曜日に日本人のゲストを呼んで会話をすることになっていますから、その練習をしました。上級ならいきなり会話をしろと言われても、それなりに何とかできるでしょうが、初級はそうはいきません。中心テーマに至るまでの想定問答も考えておかないと、大混乱に陥りかねません。
あいさつのしかたとか、相槌の打ち方とか、アイコンタクトとか、話題の流れに沿った話し方とか、会話は単に丁寧体で話せばいいという問題ではなく、考えておかなければならないこと、気をつけなければならないことが山ほどあります。それに気付かせるのが、今日の授業の主目的でした。
ゲスト会話でいつも困るのが、学生たちの話したい内容と学生たちの語彙のギャップです。「ヨーロッパのビルは日本語で何といいますか」とCさんに聞かれましたが、これだけでは答えようがありません。Cさんにさらに情報を求めても、Cさんはそれ以上の言葉を知りません。それでもどうにかこうにか聞き出したところ、「洋風建築」のことでした。こういう言葉をそれぞれの学生が抱えているのです。自分の思いが伝わった喜びと同じくらい、思いが伝わらなかった悔しさも、会話能力を伸ばすと思います。
その後、今週末に受験を控えているZさんの面接練習をしました。今までに何回も練習をしましたから、志望理由や将来の計画など、主要な質問には十分対応できます。それ以外の部分で自分をアピールする戦略を一緒に考えました。そこで他の受験生に差をつけようという作戦です。そのZさんも、1年前は今日の午後の学生とどっこいどっこいの力でした。Zさんの受け答えを聞きながら、初級の学生の1年後に思いを馳せました。