おのおの方、討ち入りでござる

12月14日(水)

12月14日といえば、日本人にとっては、赤穂浪士の討ち入りの日です。毎週水曜日は超級クラスで“自由演技”の日ですから、この討ち入りに関する記事をネタに、日本文化を語りました。

学生たちが最も興味を示したのは、切腹の場面です。本当に腹に刀を突っ込むのは、それこそ死ぬほど痛いので、腹に刀を当てた瞬間か、それ以前に刀を手に取るために上体を前方に倒して首を伸ばした瞬間に、介錯人がスパッと首をはねるのだと説明すると、残酷だと言いつつも、それなりに納得していました。

同時に、自分たちの国でかつて行われていた死刑について語り始めました。両手両足と首を馬につないでそれぞれ別の方向に走らせるとか、馬だと苦しみは瞬間的だけど、牛だと歩みが遅いのでたっぷり苦しむとか、妙に盛り上がってしまいました。

大石内蔵助が吉良上野介にとどめを刺し、その首をはねて水で洗い、布で包んだ吉良の首を高く掲げて本所の吉良邸から泉岳寺まで行進し、浅野内匠頭の墓前に供えたと言うと、日本人はふだんは親切だけど実は残酷だとまた大合唱。私の話し方が悪かったのか、忠臣蔵の最も感動的な場面が学生たちには最もおぞましい場面に映ってしまったようです。

学生たちと同じ世代の日本の若者は、どの程度忠臣蔵について知っているのでしょうか。たとえ今は知らなくても、毎年毎年、この時期になると、手を変え品を変え忠臣蔵の映画やドラマが上映されたり放送されたりします。小説やらマンガやらの題材にされることも多いです。ゲームもあるそうです。さらには彼らの上の世代から影響を受けることも大でしょう。それゆえ彼らが“若者”から脱するころには、もう一つ下の世代に忠臣蔵を語る存在となっているに違いありません。

これが、日本の伝統文化なのです。

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