立ち直れ

12月9日(金)

Hさんは去年4月の入学以来、無遅刻無欠席を続けていました。しかし、おととい、遅刻をして出席率100%の記録が途切れてしまいました。いろいろと悩み事が多く、夜遅くまで考えていたら、寝過ごしてしまったそうです。一度100%を割った出席率は、二度と100%に戻ることはありません。Hさん自身もそれがわかっているだけに「何とかなりませんか」と聞いてきましたが、こればかりはどうにかできるものではありません。

私が注目したのは、記録が途切れた翌日、すなわち昨日のHさんです。Hさんは今までと変わることなく登校し、平常心そのもので授業を受けていました。本人には言いませんでしたが、内心、「よく来た。偉い」と叫んでしました。今日も9時には教室に入り、熱心に授業を受けていたようです。もし、おとといの遅刻をきっかけにしてばらばらと休み始めたら、その程度の人間だったのです。1回の遅刻や病欠をきっかけに、ごく普通の学生どころか、出席状況に関して札付きのお尋ね者へと転落していった学生を、山ほど見てきました。

“人間は失敗する葦である”とも言われるくらいですから、おとといのHさんの遅刻を厳しく責め立てるのは間違っています。しかし、失敗に負けてしまってはいけません。失敗したからといって、それまでの高い志や目標を捨ててしまうようでは、成長は望めません。失敗を乗り越えてこそ、人物が一回り大きくなるのです。

Hさんにしてみれば、3月の卒業が近づき、皆勤賞が見えてきたところだったでしょうから、無念さもひとしおだったでしょう。でも、ここで再び立ち上がり、欠席1回だけで踏みとどまったら、皆勤賞を取るよりも、むしろ大きなものを手にすることになるのではないかと思います。Hさんならこれを糧にさらに伸びていけると信じています。

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