12月5日(月)
Hさんは、面接のように話して答える問題や、EJUのように記号で答える問題は強いのですが、文で答える問題となると、さっぱり振るいません。読解の筆答問題は言うに及ばず、語彙や文法の書き換え問題や短文作成ですら、四苦八苦したあげく、ほとんど何も書けずに終わってしまうのが常です。
Hさんの話は内容も伴っているし、論理的だし、日本語を使いこなしている感じがします。その話をそのまま文字化すればいいじゃないかと思ってしまうのですが、本人にとってはそれが至難の業なのです。Hさんの場合、話し言葉と書き言葉の間には、容易に越え難い高い壁がそびえ立っているようです。
誰しも、多かれ少なかれ、話し言葉と書き言葉とにはギャップがあるものです。弁が立つ人と筆が立つ人とがいます。口下手だけど達意の文章を書く人もいれば、Hさんのように鋭い舌鋒と鈍い筆鋒をあわせ持つ人もいます。私が見るに、Hさんは文を書くことに対する苦手意識が強すぎるか、自分の文章が評価されることに恐れを抱きすぎているところが感じられます。
志望校は独自試験に筆記試験がないところを選び、面接では好感触を得ているようです。でも、このままでは、たとえ受かって入学したとしても、大学ではレポートをさんざん書かせられるので、進級も覚束ないでしょう。ですから、卒業までわずかな期間ですが、KCPにいるうちに文章を書くことに対する苦手意識を少しでもなくしてもらいたいです。多少手荒なことをしてでも、Hさんに文章を書かせるようにして鍛えることが、Hさんへの真のはなむけになるのではと考えています。