12月3日(土)
この夏に天皇陛下がご自身の退位について語られて以来、天皇の生前退位をめぐる議論が活発に行われています。生前退位を認めるか否かは、有識者会議でも両論が拮抗し、どちらとも決めかねる状況が続いています。
今朝の新聞に、憲法第2条が皇位継承は皇室典範が定める通りにせよと規定しており、その皇室典範は生前退位を認めていないのだから、特例法による退位は憲法違反だという意見が載っていました。天皇陛下のお気持ちに沿うには、皇室典範改正以外の方法はないというのが結論でした。とてもすっきりしたわかりやすい意見で、これを読んで私もそうすべきだと思いました。
正直に言うと、平成の世になっても、私の中では「天皇」といえば昭和天皇でした。今上天皇にはどことなく頼りなさげな印象を抱いていました。それが変わったのが、東日本大震災後に被災地を訪れ、津波に襲われて瓦礫の山となってしまった町の跡に頭を下げて犠牲者の冥福をお祈りになっている今上天皇の写真を見たときです。曲げた腰の角度、頭を垂れた視線、指先までピシッと伸びた体側の腕、そういった姿勢から、心の底から国民を思っておいでなのだなということがひしひしと伝わってきました。国民の悲しみや苦しみを少しでも引き受け、国民の幸せと国の平和を願い続けようとなさっているお姿に、私は心を打たれました。
その今上天皇の願いをかなえて差し上げるのが、われわれ国民の責務だと思っていました。その道筋を明確に示してくれたのが、今朝の記事でした。たとえ退位されても、陛下の国民に対するお気持ちは変わらないでしょう。そのお気持ちに応えるべく努力していくことが、この国の発展につながるのです。
日本にカジノを作ることが、被災地に頭を下げられた陛下のお心に報いることになるとは、到底思えないのですが…。