電王戦で勝った

4月11日(土)

プロ棋士とコンピューターの将棋ソフトが戦う電王戦で、プロ棋士チームが3勝2敗で団体戦を制しました。去年までは負け越していたのですが、今年初めて勝ち越すことができました。

プロ棋士3勝のうち2勝は、プロ棋士がコンピューターのプログラムの穴を突く形で勝ちました。プロ棋士側は事前にソフトを借りて研究しました。そこで見つけたプログラムの欠陥を攻め立てるように本戦で指し、勝利を得たのです。今日行われた最終戦は、わずか21手でコンピューター側が投了しました。

なんだか正々堂々としていないような感じもしますが、相手の弱点を攻めるのは戦いの基本です。負けに直結するような弱点があるということは、コンピューターはまだ人間の域に達していないということなのです。

また、そういう弱点があることが満天下にさらされたのですから、ソフトの制作者はその穴をふさぐべく努力するに違いありません。今回の敗戦は、ソフトの更なる発展につながるのです。そういう意味では、弱点を突いたプロ棋士は、自ら強敵を作る手助けをしたことにもなります。真の勝負師なら、戦い甲斐のある敵を求めるものです。

プロ棋士を負かすほどの力量を持ったソフトが意外なもろさを見せるあたりは、なんだか人間くさくて親しみが持てます。弁慶の泣き所みたいなところがあるんだなあと思うと、プログラムという抽象物が実体を伴ってまぶたに浮かんできます。電王戦はとりあえず今回で最後だそうですが、コンピューターがプロ棋士を完全に抜き去る日までは、どこかで何らかの形で、プロ棋士対コンピューターソフトの戦いは続けられていくでしょう。

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