10月25日(火)
私がこの学校で教えている理科は、「受験」講座ですから、純粋な理科だけではなく、時には受験のテクニックも教えます。EJU対策として、マークシート方式の特性を利用したずるい解き方を教えることもあります。
このずるい解き方の説明となると俄然目を輝かせるのがCさんです。ずるい解き方を覚えて、お手軽に点数を稼ごうという魂胆なのですが、なかなかそういうわけにはいきません。
確かに、ずるい解き方を使えば、まじめに考えて計算するより早く答えにたどり着きます。しかし、ずるい解き方は万能ではなく、その問題に使えるかどうかの見極めが必要です。つまり、しっかりした基礎があって、問題の本質をつかむだけの実力を持っている人だけが、ずるい解き方を使うことができるのです。
学問に王道なしというとおり、EJUの本番で楽をしようと思ったら、その前に血のにじむような努力が必要なのです。Cさんのように、おいしい果実だけ盗み取ろうとしても、そうは問屋が卸しません。
私がある程度の実力を持ったが学生にずるい解き方を教えるのは、ずるい解き方の根底に物理や化学や生物の真髄が隠されているからです。正攻法とは違った角度から問題となっている現象を見ることで、今まで気づかなかったその現象の一面が浮かび上がってくることがあります。それを学生たちに感じ取ってもらいたいのです。そして、それを感じ取ることで、勉強した項目の意外なつながりを発見することもあります。
実力がある臨界点を超えると、このずるい解き方を自在に活用できるようになり、さらに点数が伸びていきます。強い人がより強くなるのです。お金持ちのところにお金がさらに集まるのと似ていなくもありません。Cさんは臨界点まであと一歩のところまで来ています。3週間を切った本番までに、超えられるでしょうか。