入学式挨拶

みなさん、ご入学おめでとうございます。このように多彩な新入生のみなさんがこのKCPに集ってきてくださったことを非常にうれしく思います。

今、私は「多彩な」と申し上げました。世界には200以上もの国があり、それぞれの国がいくつかの地域に分かれます。こうした地理的な意味での多彩さもあれば、民族的あるいは文化的な観点から多彩さを論じることも可能です。さらには、年齢や経歴、経験、今までの専門、将来の計画…、このように考えると、ここにいらっしゃるみなさんおひとりおひとりが個々に違っていると言えます。

みなさんは金子みすゞという詩人をご存じでしょうか。金子みすゞは、今から100年余り昔の大正時代から昭和初期にかけて本州の最西端・山口県を拠点に活動し、500編以上の詩を作り、わずか26歳で亡くなりました。

その金子みすゞの詩で、日本人に最もよく知られている、愛されているのが「私と小鳥と鈴と」です。その詩の最後に「鈴と、小鳥と、それから私、みんなちがって、みんないい」という一節があります。これこそ、日本人を魅了してやまない金子みすゞの心です。

金子みすゞは、この詩を通してお互いの個性を尊重しあおうと訴えています。皆さんが持っている多彩さ、すなわち個性は尊重されるべきものです。しかし、その前提として、自分の身の回りの人の個性を尊重しなければなりません。自分の個性ないしは意見を主張するだけでは、単なるわがままに過ぎません。そんな人は、いずれ誰からも尊重されなくなる、相手にされなくなるでしょう。

自分と同類の人たちを理解するのはたやすいことです。しかし、異質な人たちを理解するには、自分からその人たちを知ろうとする努力が不可欠です。ある人を知るには、その人とのコミュニケーションが欠かせません。そのコミュニケーションの有力なツールが言語であり、みなさんは日本語という言語を学びにこの場にいるのです。

多種多様な人々を理解すると、みなさんの人間的な幅が広がります。人間性を高めるといってもいいでしょう。人間性が高まれば、尊重される人物から尊敬される人物へと進化します。みなさんが思い描いている自分自身の将来像には、多かれ少なかれ、尊敬される人物という面があると思います。この留学は、自分とは違う人たちと知り合うことを通して、そういう将来像に近づくチャンスだと考えてください。

留学は旅行とは違います。写真を撮ってお土産を買って通り過ぎていくだけではありません。その地に暮らし、風土に根差した文化を味わい、そして浸り、多くの人々と交わり、時には力を借り、時には力を貸し、連帯感を築き、あるいは苦い思いもしながら、お互いを理解し合い、見識を高めていく人生の一場面です。知識や情報を得るだけなら、インターネットで十分です。体験すること、生身の人間と触れ合うこと、そして異質なものを受け入れること、受け入れられなくてもその違いを尊重すること、そこに留学の意義を見出してもらいたいです。

今ここにいるみなさんも、“みんなちがって、みんないい”のです。

本日は、ご入学、本当におめでとうございました。

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名前を書く欄

1月6日(金)

午後、Fさんが大学出願に必要な書類を申し込みに来ました。申込用紙に、必要書類の種類とその枚数、名前や学籍番号や提出先などを記入します。Fさんは、名前の欄に、姓と名を分けて、カタカナで名前を書きました。ところが、書類の申し込み用紙の名前を書く欄には、若干小さめの字ですが、(漢字)、(英字)という表示があります。それが目に入っていなかったのでしょうね。

テストの時や提出物にいつもそうしていますから、ほとんど反射的にそう書いたのでしょうが、ちょっと注意不足でしたね。学校内の書類ですから、受け取る側の指摘に従って書き直せばそれで済みますが、大学に提出する書類でこんなミスを犯したら、最悪の場合、出願が認められなくなります。Fさんはクラスの中ではしっかりしているほうですが、それでも間違えてしまうのですから、他の学生はどうなのでしょう。

でも、多くの大学がオンライン出願となっています。“英字”の欄にカタカナを入力したら、すぐにエラーが出て気が付くでしょう。同様に、不適切な入力があると、やり直しを指示されます。そういうシステムに慣れているため、細かい字まできちんと読まずにパッと書いてしまうのかもしれません。

人間が犯すケアレスミスをフォローしてくれるのはありがたいことですが、そのせいで人間の注意力が衰えていくのだとしたら、恐ろしいことです。コンピューターの助けなしでは、いずれ人類は、社会を保てなくなる、生きていけなくなるのでしょうか。

私も同じようなミスをちょくちょくやらかしますが、こちらは細かい字が読めないせいで…。

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初面接練習

1月5日(木)

早速面接練習がありました。相手は、今度の日曜日がS大学の入試本番というHさん。クラスで教えたことのある学生ですが、約束の時間の10分前に来て職員室で面接の想定問答の最終チェックをしている背中は、今までになく緊張の色がにじみ出ていました。

「Hさんですね。あなたはなぜ本学で勉強したいのですか」と質問すると、Hさんは一語たりとも言い漏らすまいと答えます。しかし、その気持ちが強すぎて早口になってしまい、しかもマスク越しですから、聞き取りにくくなってしまいました。これでは逆効果です。Hさんの話し言葉を聞き慣れている私ですらわからない部分がありましたから、S大学の面接官にはHさんの熱い思いが伝わらないでしょう。

その後、S大学で何を勉強したいか、卒業後どうするつもりかなど、面接の常道ともいえる質問をしました。それなりには答えていましたが、“それなり”止まりでした。Hさんの狙っている学部学科はS大学の中でも難関ですから、このままでは入れません。フィードバックを兼ねて、S大学のページを見ながら答えのポイントを説明しました。S大学卒業後は帰国して故郷の街の発展に貢献したいというHさんの将来計画を、より輝かしいものに聞こえる工夫を伝授しました。

Hさんは、自分をよく見せるということに関しては不器用な学生です。思いも人間性も能力もあるのに、それを伝える点において要領が悪いのです。ここを補って学生を志望校に入れるのが教師の役割です。この学期は、多くの“Hさん”の面倒を見ていくことになります。

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オタク旅行記

1月4日(水)

五色塚古墳、魚住・住吉神社、魚吹八幡神社、どんがめっさん、家島神社、運河公園、御着城跡、壇場山古墳、播磨国分寺跡、射楯兵主神社、手柄山中央公園、姫路城、好古園、千姫天満宮、男山八幡宮。私が年末年始の休みに行ったところです。兵庫県播磨地方の関係者以外で、姫路城以外にご存じのところがあったら、地歴にかなりの興味をお持ちの方とお見受けいたします。姫路城以外に行ったことがあるところが2つ以上あったら、オタクの域に達していると思います。

五色塚古墳は、神戸市垂水区の海辺の高台にある兵庫県最大の前方後円墳で、明石海峡大橋と淡路島がよく見える絶景の古墳です。古墳ファンには有名です。

魚住・住吉神社の鳥居越しに見える海は、インスタをやっている人なら撮ってアップするところでしょうが、私はやっていませんからそのままスルー。でも、しばらく立ち止まって見とれてしまいました。

魚吹は「うすき」と読みます。姫路市郊外の網干にある神社で、立派な石鳥居と楼門があります。近くの公園の長いすべり台を滑り降りたかったのですが、表面がざらついていて、生地が丈夫なジーンズとはいえ、お尻が破れたらとんでもないことになるので諦めました。

どんがめっさん、家島神社は、姫路港から船で30分ほどの瀬戸内海に浮かぶ家島にあります。この家島、平地が狭く道も狭いため、主要交通機関はバイクと自転車です。全国にここだけと言われている軽自動車の救急車にお目にかかれました。これも、インスタの人なら即アップでしょうね。

運河公園は姫路市の外堀川両岸に造られた公園で、長さが1.5キロほどあります。両岸を端から端まで歩きました。外堀川は、今の姫路城の基礎を造った池田三左衛門輝政にちなんで、三左衛門堀とも呼ばれます。私が泊まったホテルの住所は、三左衛門堀西の町でした。

御着城跡は、黒田官兵衛ゆかりの地ですが、今は姫路市の御着支所がお城を模した建物に入っています。壇場山古墳は、兵庫県で五色塚古墳の次に大きい古墳ですが、藪の中に埋もれていました。播磨国分寺跡は、全国の国分寺跡同様、礎石ぐらいしか残っておらず、勝手に想像を膨らませるばかりです。

射楯兵主神社は「いたてひょうすじんじゃ」と読み、播磨国総社とされている立派な神社です。ホテルの人の話によると、姫路で初詣と言えばここだそうです。

手柄山中央公園の展望台からは、姫路城をはじめ、姫路の街が一望できます。公園内には水族館や植物園や平和資料館などがありますが、いずれも年末年始休館中でした。

姫路城は、平成の大修理の最中に、外囲いから城を見下ろせるというので行って以来です。さすが国宝・世界遺産、今回私が行った中で一番混んでいました。好古園は姫路城の脇にある人工庭園です。姫路城の入城料が1000円、好古園とのセット券が1050円なので、ついでに入りました。

千姫天満宮と男山八幡宮は、姫路城北西の男山にあります。ここの頂上からの景色も素晴らしかったですね。遠くに瀬戸内海が見えました。長い階段を一気に登り息が弾んだのでベンチに横になると、青空に吸い込まれそうで気持ちよかったです。

何だか姫路市観光協会の回し者みたいな文章になってしまいましたが、オタクの旅に出てみたくなりましたか。なお、私はグルメではありませんので、食事の話はいたしません。

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穏やかな年の瀬

12月27日(火)

ほぼ1日中、パソコンの前に座って、養成講座の資料作りをしました。昨日のうちに大掃除を済ませてしまいましたから、比較的穏やかな仕事納めの日となりました。でも、ずっとパソコンの画面を見ていたせいでドライアイがひどくなり、朝から何回目薬を差したかわかりません。まぶたを閉じたり開けたりするたびに、バリバリっと音がしそうな気がします。

パソコン仕事以外としては、T大学の指定校推薦の学生としてSさんを選びましたから、それをSさんに伝えました。残念ながら、無条件というわけにはいきません。Sさんの志望理由は素晴らしいのですが、それを理解できるのは日本語学校の先生だけだろうという状況です。話す力が、志望理由に追い付いていません。ですから、年が明けたら特訓を受けてもらわなければなりません。指定校推薦入試とは、KCPの旗竿を背中に差して試験に臨むようなものです。Sさんの話し方が下手だということは、T大学の先生方にKCPの発話教育がなっとらんと思われてしまうことにほかなりません。それは困りますから、試験日までにどうにかしてもらいます。

年末に、何人かの卒業生や在校生の方からお歳暮(?)、クリスマスプレゼント(?)をいただきました。感謝の気持ちを贈り物に込めてくださったことは、非常にうれしく思います。教職員を代表して、御礼の言葉を申し上げます。ありがとうございました。ことに、10年以上も前の卒業生Lさんが、K大学を卒業して日本で活躍していることは、古い教職員間で大いに盛り上がりました。秀才肌の学生ではありませんでしたが、努力を積み重ねて就職先では屋台骨を支える人材となっているのでしょう。そんな楽しい想像を掻き立てさせてくれました。

さて、私は、年末年始は関西です。みなさん、よいお年をお迎えください。

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年末大掃除

12月26日(月)

今年の仕事納めは明日ですが、学校内の大掃除は1日早く済ませました。昨日は自分のうちの大掃除をしましたから、2日連続の大掃除となりました。でも、先週の土曜日に紙ごみの年内最終回収があり、それに合わせて机やら棚やらひっかきまわしましたから、じわじわと大掃除をしていたと言えないこともありません。

大掃除では、私はいつも給湯室担当です。給湯室と言えば、まず、シンクの排水口の掃除ですが、こちらは、先月、ゴミ受けにゴミがたまりすぎで水が流れにくくなってしまいましたから、掃除しているのです。そのため、ゴミ受けを塩素消毒する程度で済みました。次は、湯沸かしポットの湯あか取りが控えています。ポットにクエン酸を入れてお湯を沸かしてそのお湯を捨てると、ほのかにクエン酸のさわやかな香りがしました。そのお湯を捨てたシンクには、クエン酸の結晶が析出していました。粉っぽいクエン酸を加えたのに、シンクに現れたのは針状結晶と言ってもいいものでした。もちろん、冷蔵庫や食器棚の汚れも落としました。

それから、職員室内のこまごまとした文房具類の整理をしました。さび付いていて絶対に切れそうもないかったナイフの刃を交換したり、引き出し中に散らばっていた輪ゴムをひとまとめにしたり、使いっぱなしになっていた二穴パンチのごみを捨てたりしました。1年間誰も何もしなかったとは思いませんが、年に一度くらいはこういうことをしないと、引き出しの中がとんでもないことになってしまうでしょう。

今しがた、湯沸かしポットのお湯が沸きました。お毒見をしました。クエン酸の味はしませんでした。

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寒いですね

12月24日(土)

今朝の東京の最低気温は氷点下0.1度で、今シーズン初めての冬日を記録しました。しかし、全国に目を向けると、北日本のみならず、高知や徳島まで10cm以上の積雪だというではありませんか。名古屋や博多の雪はさほど珍しくありませんが、坂本龍馬や阿波踊りの踊り手が真っ白になっているのは、異様な雰囲気です。

確かに東京も寒いですが、こんな程度で文句を垂れていては、大雪で往生している地方の皆さんに申し訳ありません。しかも、この寒波も、地球温暖化の影響だというじゃありませんか。線状降水帯の雪バージョンのような気圧配置になってある特定の地域に雪が降り続き、その原因が温暖化ということで、何がどうつながっているのか、よくわかりません。

温暖化のために大雪が降っているとすると、雪質はどうなのでしょう。パウダースノーではなく、水っぽい雪なのでしょうか。だとすると重い雪ですから、除雪にも時間や労力がかかりますし、建造物などへの被害も大規模になるでしょう。雪遊びなんかしたら、水浴びしたみたいになってしまうかもしれません。

今朝の職員室も寒かったですね。鉄筋コンクリートがキンキンに冷えている感じでした。思わず、エアコンの温度設定を最高にしてしまいました。それでも指先が冷えますから、マグカップにお湯を入れて、それを握りながら仕事をしています。来週からは、カイロを持ってこようかな。でも、ずいぶん長い間使っていませんから、もう温まらないかもしれませんが…。

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学期休み中の学生

12月23日(金)

朝、学校のパソコンのメールを見ると、Yさんからのメールが届いていました。大学出願に必要なKCPの書類を申し込むのを忘れてしまったとのことでしたから、午前中に学校へ来いと返信しました。Yさんは11時ごろ来ました。出願締め切りは1月7日だそうですから、十分に間に合います。今すぐほしいなんて言ったら殴り倒してやろうかと思っていましたが、暴力教師にならずに済みました。

書類を見直して自分で気づくあたり、さすが上級と言ってやりたいところです。でも、募集要項をもらったら、まず、KCPの書類が必要かどうか確かめろとも指導していますから、やっぱり減点かな。うかうかして年末年始休みに突入していたら、出願をあきらめなければならなかったかもしれません。

Yさんが書類の申し込みをしているころ、期末テストの追試を行っていました。TさんとSさんは受験のため、一昨日は期末テストを受けられませんでした。Tさんは前もって受験票を見せてくれましたが、Sさんは断りもなしに受験に行っていました。期末の前日も前々日も欠席でしたから電話を掛けたところ、受験行脚の最中だということがわかりました。追試の時に受験票を持って来いと言っておいたのに、追試の後に職員室に寄った時、Sさんは受験票など、受験したことを証明する書類は持って来ていませんでした。

うちへ帰ったら受験票の写真を送れと伝えましたが、まだ何も届いていません。受験の事実が確認できたら欠席した日も出席扱いにできますが、このままでは欠席のままです。出席率がよくないSさんにとって、期末直前の一連の欠席は大きな意味を持ちます。そういうことも説明したのに、何の反応もありません。下手をすると、大学に受かってもビザが出ないかも…。

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テスト採点

12月22日(木)

期末テストの採点をしました。読解は、テストの直前の授業で復習としてやった問題から出しました。さすがに手も足も出ない学生はいませんでしたが、90点以上もそんなに多くはありませんでした。授業でやったと言っても、「12行目の“それ”って何?」「お年寄りが買い物に行くこと」「買い物って、何を買うの?」「食料品や日用品」「それだけ?」「あ、衣類も」…などという授業中のやりとりを文章で表現しなければ点はもらえません。こうなると、成績下位グループは苦しいですねえ。解答欄は1行しかないのに、安全を見込んで本文を長々と抜き出し、やたらと小さい字でびっちり書いてくる学生もいます。老眼の私に読めない答えは、もちろん×。逆に、いつも大きい字を書くGさんは、1行に10字ぐらいしか書ないので、読みやすいけど説明不足で減点。

そんなわけですから、授業でやった問題を出しても、実力の差は答案用紙の上に歴然と現れます。教科書に線を引いてわかったつもりになっている学生は、じわじわと点を引かれ、いつの間にかやっと合格点レベルまで落ちてしまいます。教師の話や板書をノートに取っているNさんなどは、いい成績でしたね。

昨日の期末テストは、最下位のLさんでもどうにか合格点の60点を取りました。でも、合格点が取れたからそれでよしとしないで、クラス平均の80点よりはだいぶ悪いと思って、答えの書き表し方を勉強してほしいです。大学院や大学に進学したら、参考文献から読み取ったことをきちんと整理することが、研究や学問を進めていくうえで非常に重要なのです。

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敵は漢字だ

12月21日(水)

Pさんは理科系の大学進学を考えていました。受験講座も取りました。しかし、勉強したのは夏まででした。ネックになったのは、漢字でした。漢字の読み書きがどうしてもできませんでした。理科系の受験講座の資料なんて、図表や数式、反応式が多くを占め、大した量の漢字があるわけではありませんが、Pさんには大きな負担になっていたようです。

話す・聞くにかけては、Pさんはクラスでもトップを争っています。いや、2つぐらい上のクラスに入っても、決して負けることはないでしょう。本人も自信を持っているようで、それが態度に現れます。目を合わせて堂々とやり取りをします。教科書を読ませたときのおどおどした顔つきと、とても同一人物とは思えません。

そのPさんのクラスに、期末テストの試験監督として入りました。最初は作文。課題文はグラフが多いので、何とかなるでしょう。…などと思いながら教室内をうろちょろしていたら、Pさんが真っ先に提出しました。原稿用紙に名前が書いてあることを確認し、既定の文字数以上になっているか見ようとしたら、原稿用紙の大半がひらがなではありませんか。「日本」などという表記が、ちらっと目に入った程度でした。

次は読解、文法。やはり、一番に提出ですが、今度は空欄が目立ちます。読解の問題テキストは授業でがっちりやっているんですが、ふりがながないと皆目わからないようでした。文法も同様で、選択肢の問題はどうにかなったものの、短文作成などは沈没でした。

最後の漢字・語彙は言うに及ばず。明らかに勉強していません。捨てていると言ったほうがより正確です。

入学試験においてもきっとこんな感じでしょう。EJUは漢字が読めずに問題が理解できず、大学の独自試験に小論文などあろうものならお手上げに違いありません。面接の評価が素晴らしかったとしても、合格には至らないのではないかと思います。

漢字さえ勉強すればと思いますが、その漢字の勉強がPさんにとっては苦痛以外の何物でもないのです。こういう学生に勉強させてくれる大学、ないのでしょうか。

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