Monthly Archives: 10月 2023

指名されても

10月18日(水)

「Pさん、次のところを読んでください」「…」。「Hさん、次のところを読んでください」「…」。「Aさん、次のところを読んでください」「…」。

この3人は授業に集中していない様子がうかがえましたから突然指名したところ、案の定でした。慌てて隣の学生にどこから読めばいいか教えてもらったり、適当に見当をつけて読み始めたり、ささやかな抵抗を試みましたが、クラス中に恥をさらすことになりました。

PさんもHさんもAさんも、受験を控えていますから、読解の教科書など読んでいるどころではないと思っているのでしょう。授業そっちのけで何をしていたか知りませんが、Aさんは今までもよくスマホでどこかのサイトを見ていることが多かったですから、大方そんなところでしょう。下を向いていましたしね。Hさんは昨日面接練習でボコボコにされていましたから、その立て直しでもしていたのでしょう。でも、それは授業中にするべきことではありません。そんな余裕のない学生は、だいたい落ちるものなんですがね。

読解力なくして日本の高等教育機関で勉強を続けることなどできません。こちらもそのつもりで上級のカリキュラムを組み立て、進学してから日本語で困ることのないようにしようと思っています。読解力がないまま進学したら、結局困るのはその学生自身です。しかし、Pさんたちには目の前の愉楽や試験などしか映らないのでしょう。1年先の自分自身の像すら思い描けないのです。

上級クラスでは常々「進学してから必要な日本語力」を意識させようとしています。でも、この3人を見る限り、私もまだまだ力不足です。

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上手なコミュニケーション拒否法

10月17日(火)

町を歩いていると、至る所から「大丈夫」が聞こえます。「大丈夫ですか」「大丈夫です」のように、ちょっとしたやり取りの中に大丈夫が満ち満ちています。日本人も実に頻繁に使っています。学生も、初級から上級まで、どこのクラスからも「大丈夫」が聞こえてきます。

先週、朝日新聞に留学生の投書が載りました。コンビニなどで何か聞かれた時、聞かれた内容がわからなくても「大丈夫です」と答えておけば切り抜けられるけれども、いつか「大丈夫です」ではない答えができるようになりたいと書かれていました。この投書をネタに、どんな時に「大丈夫」を使っているか、「大丈夫」に誤解したりされたりしたことはないか、日本語会話を上達させるためにどんなことをしているか、といったことを作文にしてもらいました。

その中で、2人の学生が、誤解の例として「レジ袋は5円ですが、大丈夫ですか」を挙げていました。学生は、この「大丈夫ですか」を「レジ袋は要りますか」という意味にとり、不要だという意味で「大丈夫です」と答えたら、コンビニの店員にレジ袋を追加されたという経験です。店員は「5円払ってもレジ袋が欲しいですか」という意味で「大丈夫ですか」と言ったのだと、学生は分析していました。この分析は、正しいです。

私もコンビニなどでこう聞かれることがありますが、「大丈夫です」とは絶対に答えません。首を振ります。こうすると、レジ袋をもらわされることは絶対にありません。店員がどちらの意味で「大丈夫ですか」と言っても、首を横に振れば「レジ袋は不要だ」という意思が伝わります。「大丈夫です」という言葉よりも正確なコミュニケーションができるのです。

投書をよく読むと、この留学生は「大丈夫です」と答えることによって、それ以上のコミュニケーションを拒絶したかったのではないかとも思えました。「大丈夫です」と言われてしまえば、店員はそれ以上何か声をかけることはないでしょう。ですから、「大丈夫です」は「日本語がわからないから声をかけてくれるな」というサインにもなり得るのです。

もし、KCPの学生たちも同じ意味で「大丈夫です」を連発しているとしたら、いつまでたっても日本語は上達しません。「大丈夫です」からの脱却こそが、日本語上達の第一歩なのです。

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我が道を行く

10月16日(月)

数学の時間、過去問を配るとみんな一斉に解き始めました。改めて問題文を読んでみると、1か所だけ授業で扱わなかった言葉がありました。問題に取り組んでいるのを中断するのは心苦しかったのですが、この言葉の定義をきちんと伝えないと、そのあとの問題は解きようがありません。偶然正解したとしても、そこに至るまでの道筋を論理的には説明できないでしょう。「なんとなくこれだと思ったから…」となるに違いありません。

私の説明を聞いていたDさんやLさんは正解が得られました。しかし、私が説明している間も解きつづけていたTさんは、そこから先ががたがたでした。Tさんは一番よくできる学生ですが、こういうことで変な方向に進んでしまうことがたびたびあります。

数年前の卒業生Qさんも、“思い込んだら試練の道を”突き進むタイプの学生でした。ほんのちょっとの勘違いなのですが、その誤差がどんどん拡大していって、ついには取り返しのつかないことになってしまうのです。Qさんは知識があり、その知識を組み合わせる力も持っていましたが、問題文を読み解く点に難があり、持ち前の能力を点数に結び付けられませんでした。Qさんは6月のEJUで痛い目に遭いました。そこで大いに反省し、11月にはどうにか軌道修正が間に合い、結果的には目標としていた“いい学校”に手が届きました。

Tさんはどうでしょう。6月にそこそこの点を取り、今回はそれに上積みしようと思っていますが、うまくいくでしょうか。残り1か月弱でそういうミスをなくせるかどうかが、運命の分かれ道です。

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テクニシャン

10月14日(土)

今学期の日本語プラス初授業は、EJU(日本語)でした。本番が1か月足らずに迫っていますから、過去問をやりました。と言っても、私自身が養成講座の授業やら新学期開始に伴う諸々の雑用やらで、ろくな準備ができませんでした。かろうじて、今朝、聴読解と聴解の問題を聞いて解いて、学生に説明するポイントをまとめたという状態でした。読解には手が回りませんでした。しかし、授業では読解の問題もしなければなりません。そこで、思いっきり受験のテクニックを使ってみることにしました。

今までは問題文を1行目から読み、問題にガチンコでぶつかり、がっぷり四つに組み、正攻法で寄り切ったり上手投げで仕留めたりしてきました。しかし、今回は、立ち合い一瞬のけたぐりとか、八艘飛びで後ろに回ったり、潜って足取りに行ったりとか、けれん味たっぷりの技を繰り出しました。受験のテクニックを使うことにどことなく後ろめたさを感じていましたが、そんなのはすべて忘れて、思う存分駆使しました。

学生に問題を解かせている最中に、私はそういった手練手管を使って答えを出しました。すると、テクニックが通用せずまともに読む羽目に陥ったのはわずかに1問で、15分で25問を解いてしまいました。所定の試験時間は40分ですから、半分以下しか使わなかったのです。問題文は1/3も読んでいないでしょう。結果は、自信がない答えもありましたが、全問正解でした。解説の時間に、学生に私の解き方を教えると、驚きとか感心とかを通り過ぎて、笑っていました。

授業としてはこれでよかったかもしれませんが、受験のテクニックでいともたやすく解けてしまう問題を連ねているEJUは、本当にこれで物の役に立っているのでしょうか。この試験だけで選抜された留学生に日本人学生に伍して大学で学問や研究を進めていく力が備わっているとは思えません。だから、大学独自試験で小論文が課されたり、面接が重視されたりしているのだと、妙に納得できました。

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ペットボトル

10月13日(金)

学生がみんな出た後、教師は教室をざっと確認します。机の中をのぞいて忘れ物がないか見ます。机の中に限らず、教室中を見まわします。もちろん、授業の最後に忘れ物がないかどうかよく見てから帰れと注意します。傘の忘れ物はそのまま傘立てに置いておきますが、机の中に突っ込まれたごみは回収するほかありません。次に教室を使う学生たちにも気持ちよく使ってもらいたいです。ごみに紛れて、返却したテストや宿題が丸まっていることもあります。こういうテストや宿題は、概して成績が悪いですから、他のクラスの学生には見せるわけにはいきません。このクラスの恥です。これも回収して、翌日の先生から説教の上、本人に渡していただきます。

午後の授業が始まって受付が落ち着いた頃、Eさんが来て、「教室にペットボトルを忘れたんですが、届いていませんか」と尋ねられました。水筒ならきちんと回収して翌日本人に返すようにしていますが、飲みかけのペットボトルは、回収して中身を流してボトルも捨ててしまいます。大量生産の飲み物なら翌日誰のか聞いてもわからないでしょう。翌日まで取っておいたら、中身が発酵してそれを飲んだ学生がお腹を壊したなどということも起こりかねません。すぐお腹が痛くなって休む学生たちですから。

そういうわけで、Eさんのものらしいペットボトルもありましたが、すでに処分してしまいました。そう伝えると、たった一口しか飲んでいなかったのにと、盛んに残念がりました。そんなに残念がるのなら、なおさら机の中や周りをよく見て、忘れ物をしないようにしておいてもらいたかったです。

おとといは、Wさんが財布を丸ごと机の中に置いて帰りました。本人も気づいて、メールを送ってきました。飲み物なら100円台ですが、Wさんの財布は、カードも入っていましたから、全財産だったかもしれません。こういう忘れ物は困りますが、1学期に何人かいるんですよね…。

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3時に寝る?起きる?

10月12日(木)

授業後、欠席したCさんに電話をかけると、あっさり本人が出ました。

「Cさんですか」「はい」「KCPの金原です。こんにちは」「こんにちは、先生(明るく元気な声)」「Cさんは、今日、学校を休みましたが、どうしましたか」「寝坊しました。先生、すみませんでした」「そうですか。何時に起きたんですか」「12時半です」「12時半? ついさっきじゃないですか」「はい…」「昨日、何時に寝たんですか」「3時に寝ました」「3時? それは昨日じゃなくて、今朝ですね」「あ、はい…」「じゃあ、何時に寝れば、学校に間に合う時間に目が覚めるんですか」「11時ごろに寝れば…」「わかりました。今晩は11時までに寝て、明日は寝坊しないで学校へ来てください」「はい」「じゃ、明日、学校で会いましょう」「はい、先生」。

Cさんの住所からすると、8時に起きればどうにか遅刻しないで登校できるはずです。それなら、3時にベッドに入っても5時間寝られます。十分な睡眠時間とは言えませんが、授業中爆睡するほどでもないでしょう。そもそも、3時から12時半まで9時間半もなんて、受験生にあるまじき睡眠時間です。

次はKさん。

「Kさんですか」「はい」「KCPの金原です。こんにちは」「こんにちは、先生(明るく元気な声)」「Kさんは、今日、学校を休みましたが、どうしましたか」「寝坊しました。先生、すみませんでした」「そうですか。何時に起きたんですか」「11時半です」「11時半? 昨日、何時に寝たんですか」「3時に寝ました」「3時? それは昨日じゃなくて、今朝ですね」「あ、はい…」「じゃあ、何時に寝れば、学校に間に合う時間に目が覚めるんですか」「1時ごろに寝れば…」「わかりました。今晩は1時までに寝て、明日は寝坊しないで学校へ来てください」「はい」「じゃ、明日、学校で会いましょう」「はい、先生」。

Cさんほどではないにせよ、8時間半の睡眠時間は十分すぎます。そもそも、2人ともなんで3時まで起きてるんでしょうかねえ。この2人以外にも、3時4時まで愚にもつかないことをしながら起きている学生がおおぜいいます。朝型の私にとって、3時と言えば就寝時刻ではなく、起床時刻です。日の出から日の光を有効に使わなきゃとは思わないんでしょうか。日足が短くなったのを、夕方ではなく朝に感じる生活の方が、ずっと健康的だと思うんですが、いかがでしょうか。

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受かったよかった  

10月11日(水)

今学期の水曜日は、事実上先学期からの持ち上がりのクラスです。2/3ぐらいが先学期私のクラスだった学生で、それ以外に顔と名前を知っている学生が何名かいて、まるっきり初顔合わせは新入生のAさんはじめ、片手ほどの数でした。授業中盛んに指名して、覚えてしまいました。

持ち上がり組のSさんは、学期休み中に受験がありました。授業直後の1時に合格発表ということで落ち着きがないかと思いきや、先学期のSさんからは想像もつかないくらい積極的に質問してきました。先学期は受験のことで頭がいっぱいで、授業どころでなかったのでしょう。

一方でHさんは、これから大学院の受験を控えています。明るくしゃべってはいますが、内心はかなり焦りを感じています。試験対策に打ち込みたいから楽なレベルに入りたいと思っていたそうですが、下のレベルから飛び級でこのクラスに入りました。このクラスは難しいと言いつつも、誇らしげな表情もチラッと見せていました。Hさんが狙っている大学院はレベルが高いですから、KCPにいるうちに可能な限り高度な日本語を身に付けておいてもらいたいです。そういう意味からも、引っ張り上げたわけです。

授業後、数学の質問に来たPさんに対応したり、クラスで書かせた例文の添削をしたりしていると、Sさんからメールが届きました。合格通知が張り付けてありました。よかった、よかった。

さらに仕事をしていると、私目当ての卒業生が来ていると呼び出されました。この3月に卒業したLさんでした。KCP時代のLさんは、大学進学を目指していたものの、教師の注意に全く耳を貸さず、昼夜逆転した生活を送り、自分自身が何を目指しているかわからなくなっていたきらいがありました。当然受験校すべて不合格で、どうにか拾ってくれた学校に進学しました。

そのLさんが、憑き物が落ちたようなすっきりした顔立ちで、受付に立っていました。「先生、G大学に合格しました」と報告に来てくれたのです。学部学科を聞くと、G大学の中でも最難関と言ってもいいところで、競争率も6倍だったそうです。

去年の今頃は、半分けんか腰でかなり厳しいことも言いましたから、恨まれてもおかしくなかったのですが、わざわざ合格報告に来てくれました。1年たってようやく私たちの言っていたことを理解してくれたのでしょうか。Sさんも一歩間違えば第2のLさんになりかねないような勢いでした。どうにか踏みとどまってくれたので、一安心です。明るく外交的なHさんはそういう方面に進まないでしょうが、注意して見ていきましょう。

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一期一会?

10月10日(火)

新学期の初日は、午前中に養成講座の授業をして、午後は教科書販売の補助をすればいい予定でした。ところが、レベル1のM先生が急病で、午後はその代講をすることになりました。お昼の時間は新入生の日本語プラスの登録をすることになっていましたから、朝から夕方まで一気に予定がびっしり詰まってしまいました。

養成講座の授業は受身と使役が中心でしたから、こちらは快調に進みました。最近巷にあふれている「~させていただきます」について議論したり、「太郎は映画を見ます」は受身の文にできないことについて語ったり(みなさん、受身の文を作ってください。意味不明の文になります)、という調子で、快調に飛ばしました。

お昼の時間の日本語プラス登録も、入学式後にオリエンテーションをしていますからさほど大きな問題もなく済みました。早くも進学相談に乗ったり、理科系志望の学生が2人いたので喜んだりしているうちに、無事終了。

さて、レベル1の初日の授業ですが、上述のようにほとんど何の準備もなく教室に飛び込むことになりました。でも、レベル1の初日は発音練習やひらがなの書き方、簡単な自己紹介などが主たる内容ですから、度胸1つでどうにか乗り越えられます。確かに日本語が通じない人が多いですが、1人ぐらいはこちらの日本語から何かをつかんでうまく反応してくれる学生がいるものです。うん、やっぱりいました。

そんな言葉の通じない不便さも、留学の醍醐味なのです。いや、その何とも言えない不安をばねに学習意欲が湧くようでないと、留学は成功しません。このクラスの学生たちは、そういう意味では、やってくれそうな感じがしました。M先生のご病気が長引かない限り、このクラスに入ることはないと思いますが、袖振り合うも他生の縁で、陰ながら応援していこうと思っています。

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入学式挨拶

みなさん、ご入学おめでとうございます。このように世界中の国々からたくさんの若者がこの学校に入学してくれたことをうれしく思います。

日本語に限らず、語学の勉強は、それを専門にしようと思っている人、あるいは外国語の勉強が趣味だという人以外、それ自体がゴールになることはありません。ある言語を身に付け、それを使って何かをするところにゴールが設定されるものです。みなさんは、日本語で何をしようと思っていますか。

大学院や大学への進学を考えている人は、その進学先での研究や勉強が当面のゴールでしょう。専門性を身に付け、磨き、その後、仕事を通して世の中に貢献しようと考えているのではないでしょうか。芸術系志望の人は、先生からの教えを吸収して自分の技量を上げるために、日本語を学ぶという人も多いと思います。

このように、みなさんにとって日本語は、そしてそれを学ぶ場であるKCPは、人生における通過点に過ぎません。勉強の時期が過ぎたら日本語はそれ以上必要なくなるかもしれませんし、KCPは学歴としてみなさんの履歴書を飾るわけでもありません。しかし、私たちはみなさんにKCPで濃密な日々を送ってもらいたいと思っています。

日本語は、ひらがな、カタカナ、漢字、さらにはアルファベットまで加えれば4種類の文字で構成されるという、世界に類を見ない言語です。それだけに難しくもあり、挑戦のしがいがある言語です。語彙面では擬音語擬態語、文法面では敬語や授受表現など、上級になっても学ぶことが多い、奥深い言語です。

最近は自動翻訳が発展し、レベル1の学生も立派な日本語で欠席理由をメールしてくることもあります。私たちも、時には翻訳ソフトを便利に使わせてもらいます。だからといって、進学先での勉学において日本語の重要度が下がることは考えにくいです。勉強内容が高度になればなるほど、日本語学習の重要度は増します。

日本で就職しようと思っている人は、仕事を円滑に進める上で、日本語は必要不可欠です。大きな仕事をなすためには、良好な人間関係が欠かせません。日本語が理解できずに良好な人間関係を築くことは不可能です。それも、表面的な日本語力ではありません。相手の心の内を推し量れるレベルの日本語力です。

KCPは、このような、いくらでも深掘りできる日本語を、みなさんの実力に合わせて、みなさんが満足するまで教えていきます。みなさんが設定したゴールによっては、みなさんに嫌がられてもそのゴールに到達できるレベルの日本語力にまで、みなさんを鍛え上げていきます。覚悟していてください。

それと同時に、KCPでの生活がみなさんの人生を彩るものとなるように、様々な企画を用意しています。みなさんのクラスには、みなさんにとっての外国人が必ずいます。みなさんが今までに在籍した学校よりも幅広い年齢層の同級生がいます。そういった人たちと刺激し合って、みなさんの人間性を豊かにしていってください。

また、クラブ活動や学校行事も、みなさんの留学生活を豊かにするものと信じています。それらを通して、交友関係を広げたり日本に対する理解を深めたりしてください。こうしているうちに、日本語もKCPも、みなさんにとって単なる通過点ではなくなっていきます。これこそが、有意義な留学生活なのです。

本日は、ご入学、本当におめでとうございました。

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秋空

10月6日(金)

気象庁のサイトによると、最近は最高気温の上位10地点が沖縄の観測点で占められています。暑さの盛りの頃は、常連の熊谷とか多治見とか、あるいは東北地方でも福島とか山形とか盆地が上位に名を連ねていました。沖縄は、多少渋滞に巻き込まれたとしても車で30分も走れば反対側の海岸についてしまうくらいの幅しかないくらい海に囲まれていますから、真夏日にはなっても、猛暑日にはなりません。10月ともなると、今度は海の保温機能が働き、また、南にあることから、いつまでたっても涼しくならないのです。

KCPの前の道に出ても、高いビルに囲まれていますから、空はとても狭いです。でも、その空が、朝からとても高く、また、雲一つなく晴れ渡っていました。これだけ照っても東京の最高気温は25℃をやっと超えた程度でした。ひと月前だったら猛暑日間違いなしだったんですがね。そして、朝の最低気温は17.9℃で、今シーズン最低でした。熊谷は15.1℃、多治見に至っては11.2℃でした。いずれも今シーズン最低です。11.2℃だったら、暖房を入れているかもしれませんね。

私は今週から日本語教師養成講座の授業をしています。2階の教室ですから、空は見えませんでしたが、日差しは見えました。澄んだ空気の明るさが感じられ、こんな日は教室で授業じゃなくて外を歩きたいなと思いました。そんなわけで、お昼はちょっと遠くまで行き、食事を済ませてから公園で本を読みました。風がやや強かったですが、心地よかったです。

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