11月30日(水)
Kさんは文科系の数学の受験講座に出ています。来年の6月のEJUを目指すということで、基礎から始めています。しかし、文科系の学生がよくつまずくところを軽く乗り越え、因数分解などの計算もとても速いです。
「Kさんは数学がよくできるね」
「それほどでもないです。でも、私の町はほかの町と違って、数学がとても厳しかったんです。中学の時の高校の問題をしていました。友達は東大の理科系の大学院に入ろうと思って、国でオンラインの授業を受けています」
「Kさんも理科系に進んだら?」
「私の数学は友達と比べたら全然まだまだです。私の国には女子大がないので、日本では女子大に入りたいです。就職もいいそうですから」
女子大で勉強したいという夢をかなえさせてあげたいですが、1つ大きな問題があります。私立の女子大は、多くの場合、EJUの数学を見ません。Kさんが他の受験生に差をつけることができる科目が、入試の合否判定に用いられないのです。データサイエンス系の学部学科を創設した女子大が話題になっていましたが、そういうところを狙うと、一番有利に戦いを進められるのではないでしょうか。
中学生に高校数学を先取りさせて数学力をバリバリ鍛えるというのは、理系人間にとってはうれしい限りですが、実際に学んでいる中学生はどうなのでしょう。落ちこぼれは放置して前進あるのみというと、若者の可能性の芽を摘み取っているようにも感じられます。そういう教育に耐えて数学力を身に付けたとすると、Kさんはやはり優秀なのです。
どういう方面に向かわせてあげたら、Kさんにとって幸せなのでしょうか。
日本語教師養成講座へのお問い合わせはこちらへ