Monthly Archives: 9月 2021

活用

9月3日(金)

スピーチコンテスト2日目。オンラインという条件をうまく生かしてスピーチをした学生が、高い評価を得ました。スピーチは、大きなホールのステージ上に据えられた演台に立って行うものという、私のような古い頭の人間の固定観念を打ち破ってくれました。言ってみれば、所与の環境に順応し、むしろそれを活用する能力に長けているのでしょう。

スピーチの内容も、「こういう状況に負けずに頑張ろう!」などという威勢の良すぎるものではなく、自分の考えを堅実に述べたり、習った文法を駆使して自分の生活を活写したりというように、聞き手の心をとらえるものが多かったです。審査員のみなさんからも、感動したとか考えさせられたとかという感想が寄せられました。

初級のスピーチは、自分の身の回りのことをまとめてスピーチにするものです。そういうレベルの語彙や文法しか勉強していませんから、世界経済の動向をとうとうと語っても、それは自分の言葉ではなく、聞き手に響くこともありません。今回は、その「自分の身の回り」を、種々の機器やテクニックを活用して今までになくリアルに表現していました。また、大ホールでのスピーチではよくつかめない表情も、パソコンの画面上では手に取るようにつかめます。おそらく本人は気付いていないでしょうが、一瞬の目の輝きや表情筋の動きが百万言よりも雄弁に言わんとしていることを語っていました。

ただ、スピーカーはやっぱりクラスの代表なんですよね。初級のみんながこんな表現力を持っているわけではありません。スピーチを聞いた学生は、大いに刺激されてほしいです。これもまた、スピーチコンテストの意義・目的の1つです。

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新しいスピーチコンテスト

9月2日(木)

久しぶりのスピーチコンテストを、初めてのオンラインで開催しました。私は審査とりまとめ役でしたが、集計方法などで戸惑いました。各教職員、それぞれの担当でそれぞれの苦労があったようです。昨日までリハーサルを繰り返しましたが、実際にやってみると意外なところから問題が噴出してきました。致命的な失敗はありませんでしたが、明日に向けての反省材料はたっぷりあります。そうです。今回は2日間の分散開催なのです。

オンライン授業のためスピーチの練習の機会が少なかったのではないかと心配していましたが、それを跳ね返して立派なスピーチをしてくれました。今までに比べて開催時期が遅いことが有利に働いた面もあるようです。授業や面接では発音の悪い学生をたくさん見てきましたが、さすがにクラス代表に選ばれただけあって、きれいな発音を聞かせてもらえました。発音はやっぱり訓練の量がものをいうのですね。

ただ、自室でパソコンに向かって話しているからでしょうか、熱弁が少なかったように感じました。印象的なスピーチは、会場の生の反応との相乗効果で生まれるものです。拍手や笑い、うなずきに支えられて練習以上のスピーチを繰り広げる学生がいたものですが、今回はそういう大化けのスピーカーはいなかったようです。

自室からのスピーチならではの工夫もありました。自分が飼っているペットを見せてくれたり、いかにもリラックスした表情で話していたりなど、今までとは違った雰囲気のスピーチもありました。

さて、明日はどんなスピーチが聞けるのでしょうか。

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なんとなく

9月1日(水)

授業後は、昨日に引き続き学生面接。Rさんは、中間テストの成績はまあまあ以上です。この調子で勉強を続けてくれれば、進級はできるでしょう。しかし、やはり、進路に問題があります。

国の大学で情報学を勉強してきたので、日本でも大学院で情報学を続けたいと言います。それはいいです。でも、情報学のどのような研究をしたいのか、どこの大学院に進学したいのかとなると、「わかりません」を連発します。2023年の進学を考えていると言いますが、たとえそれが認められたとしても、現時点で何も考えていないとなると、それだって危ういです。

今まで受け持った先生方の話によると、Rさんは機械工学、電子工学、心理学、宗教学など、勉強したいことがころころ変わってきました。その変遷の記録を見ると、勉強したいことがたくさんあるというよりは、何を勉強したいかわからない、本当に勉強したいことがわからない、日本へ来たまではいいけど将来展望が何もないというのが実情のようです。

そもそも、本当に大学院に進学したいかも怪しいものです。高卒の学部進学希望の学生より何も考えていないかもしれません。9月に入ってここまで白紙の大学院進学希望生も珍しいです。2023年進学だって、こんな調子ではうまくいくかどうかわかりません。

Rさんも、成績のわりにしゃべれません。昨日に引き続き、日本語教師の超能力を遺憾なく発揮してしまいました。一昔前までは日本にい続けたいから必死に会話の練習をするという学生もいました。しかし、今はスマホさえあれば日本語が話せなくても日本を楽しめちゃうみたいですね。

来週も、難問を抱えた学生の面接が待ち受けています。

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