Monthly Archives: 11月 2019

気が早い

11月5日(火)

京都のS大学に合格したEさんは、もうすっかりそこへ行く気になっていて、11月のEJUも受けないとか言い出す始末です。さすがに退学するとまでは言いませんが、気持ちは、もう、京都へ飛んで行っています。

そんなEさんが、授業後、ちょっと深刻な顔で相談に来ました。住む場所を選ぶときの注意事項は何かという質問です。「学生寮は?」と聞くと、あるけれども2人部屋だから入りたくないとのこと。家賃の安さは魅力的だけど、一人になれないのがどうしてもいやなようです。

Eさんが知りたいのは、地形的に住むのに不適切な土地はどんなところかということでした。最近、台風などによる大雨、洪水、浸水被害がしょっちゅう報じられ、そういう目に遭わないところに住処を決めたいというのがEさんの思いです。とすると、川のそばは避けるべきでしょう。桂川沿いは危ないかもしれませんが、S大学は比較的高いところにありますから、大学の近くなら水害に遭うことはないでしょう。むしろ、崖の下の家で土砂崩れに遭う危険性を心配した方がよさそうです。

次は部屋の向きです。日本では南向きが一番ですが、Eさんの国では南側は暑すぎてよくないそうです。でも、京都の冬の寒さを考えると、いくら暖房設備があったとしても、北向きはないでしょう。同時に、夏の暑さを考えると、西向きも好ましくないでしょう。夏に大学から帰って西日でたっぷり暖められた部屋に入ったら、吐き気を催すでしょう。

最後に、入学手続です。S大学からのメールには“一括手続き”というのがあるのに、合格通知書などと一緒に送られてきた手続きの説明書には、その言葉はありません。メールと書類とを読み合わせると、要するに一時手続きと二次手続きをまとめて済ませるのが“一括手続き”のようで、一時をきちんと済ませれば合格が無効になることはありません。常識的に考えたらそうなのですが、Eさんにとっては初めてのことであり、もう一度繰り返すことのない手続きです。心配になるのも当然です。

進学先を確定した学生たちは、きちんと手続きや進学後の準備を進めているのでしょうか。後になって失敗したとかいうことのないようにしてもらいたいです。

 

 

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改革になる?

11月2日(土)

文部科学省が、来年度から実施する予定だった大学入試への英語の民間試験の導入を延期しました。はたで見ていて当然だろうなと思いました。もし、英語の民間試験利用がそのまま進められていたら、大勢の日本人高校生が受験するため、留学生のTOEFLなどの受験が今までよりずっと難しくなったかもしれません。これにどのように対処すべきか考え始めていましたが、こちらもしばらく考えなくてもよさそうです。

でも、同時に、留学生入試においてはすでに同じようなことが行われているのになあとも思いました。

導入延期の理由=導入反対意見の1つに、複数の英語試験を公平に評価できるのかというものがあります。留学生入試は、ずっと前からTOEFL、TOEIC、IELTSなどどれでもいいからスコアを提出しろという大学がたくさんあります。これらの大学は、果たして今まで英語試験のスコアを公平に評価していたのでしょうか。それとも、単に足切りに使っていただけなのでしょうか。他の評価が同等だったら英語試験で合否を決めるという発想だったのでしょうか。

住んでいる地域により受験しやすかったりしにくかったりするというのは、日本語学校の大部分が大都市に偏在していますから、留学生入試にはあまり当てはまらないでしょう。それでも、大都市以外の日本語学校の学生は、こうしたテストを受けるために遠征していたと思われます。また、母国から直接受験する場合、その学生がそういった試験を受けやすいかどうかなんて、考慮していなかったでしょうね。留学生の身の丈なんか、考慮の外に違いありません。

留学生入試を受ける留学生の数は、大学入学共通テストを受ける日本人高校生の数よりはるかに少ないです。また、それこそ日本語力が不十分なこともあり、不満の声も上げにくいでしょう。だから、多少の無理や不公平は押し通してしまえという考えだったとしたら、大学や文部科学省は、留学生に来てほしいとか言いながら、ずいぶんとひどい仕打ちをしていたものです。

KCPの学生たちとともに鍛えあう存在になる日本人高校生が余計なことで頭をなませる必要のない制度を作り上げてほしいと思っています。

 

 

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お天気に恵まれて

11月1日(金)

今年は、本当に久しぶりに、もしかすると昭和記念公園では初めて、クラスに入ってBBQをしました。私の担当は火おこし。そこから先は学生に任せて、あとは食べるだけ…と言いたいところですが、教師特有のチェック根性が働き、クラスの学生の仕事ぶりを観察してしまいました。

まず、予想にたがわず働かなかったのがYさん。調理担当に指名されましたが、体調不良とかで欠席でした。料理ができるのかなと思っていましたが、できるところは見られませんでした。Lさんも焼けた肉をつまむだけで働いていませんでした。でも、ごみの処理を手伝ってくれました。

予想外に働いたのが、Gさん。普段の様子を見る限り、こういう時に何もしなさそうだったのですが、かいがいしく肉をひっくり返したり野菜を焼く時も手を出したりしていました。ちょっと見直しました。

予想通りに働いたのがCさんとJさん。企画の段階から意見も出していましたし、買い出しも進んで引き受けてくれました。現場での下ごしらえや後片付けも中心になって進めてくれました。Wさんもまめに働きそうだと思っていましたが、汗を流しながら肉を焼くのを仕切ってくれました。

予想以上に働いたのがUさん。こういうことはしなさそうだなと思い、ごみ処理班に考えていたのですが、肉の味付けに大活躍でした。要領もよかったので、料理は意外とやりつけているのかもしれません。Sさんも体を動かしてくれましたが、後半息切れ気味だったかな。Kさんは、うちわであおいで火加減を維持するという地味な仕事を確実にこなしていました。

他の学生たちも、働いている学生を見て、自分も何かしなければと思ったようです。料理であまり働かなかった学生は、後片付けで惜しみなく体を動かしてくれました。

食べ終わったら、園内散策。一番奥のこもれ日の里では、係の方が説明してくれました。明らかに西洋人顔のAさんを見つけて「日本語、わかりますか」と聞いてきましたが、私が「みんなよくできる学生ですから普通の日本語でお願いします」と言うと、手加減なしの日本語で展示物の説明をしてくださいました。学生たちは日本人向けの説明をそのまま聞いてかなりの程度理解した様子で、どこか誇らしげでした。

雲一つない快晴で、少々暑かったですが、最後の出席を取ると、大活躍の学生もそうでもなかった学生も、満足げに家路につきました。