7月18日(水)
これをお読みの皆さんは、「~しませんか」と「~しましょうか」の違いがわかりますか。「ます」の応用ですから、日本語学校では初級のうちでも比較的最初のころに勉強します。では、「~んです」はどんな時に使いますか。
これらは、一般の日本人にとってはあまりに日常的過ぎて、意味や用法を意識することなどありません。しかし、日本語学者にとってはこれらをいつどんな状況で使うかは大問題です。こういった文末表現は、使い方を一歩間違えると、相手に違和感どころか不快感を与えかねません。ですから、日本語教師としては、使い方をきっちり把握し、それを学習者に伝え、たっぷり練習させ、正しい用法を定着させなければなりません。
ということは、日本語教師養成講座では受講生に文末表現の明確な方たちを与えなければならないということです。感覚的に理解しているだけでは不十分で、日本語を習い始めてさほど時間の経っていない学習者に「ようです」と「らしいです」の違いが伝えられるくらいに、文末表現に精通していることが求められます。
「よ」「ね」のような終助詞も含めて、話し手が文全体をどういう気持ちで言ったかを表す表現をモダリティといいます。このモダリティを今期の養成講座受講生に講義したのですが、受講生の皆さんは今まで気にも留めなかった言葉遣いに目を向けさせられて、それこそ目を白黒させていました。
他人の話し言葉が気になってしょうがなくなりそうだなどと言っていましたが、それぐらい自分の身の回りの日本語に注意を行き届かせないと、日本語教師としてやっていけないと思います。まあ、気になってしょうがないというのは、日本語教師病でもあるんですが…。