7月5日(水)
先週から、アメリカの大学のプログラムで来ている学生たちが勉強しています。お昼を食べて、午後の仕事に取り掛かろうとしていたころ、その中で一番下のクラスの学生たちが、インタビューに来ました。習いたて、覚えたての日本語を駆使して職員室にいる教師に話を聞くというタスクはどこのレベルでもやりますが、一番下のクラスはようやくインタビューできるだけの日本語をどうにか覚えたという段階です。
「はじめまして。〇〇です。どうぞよろしく。失礼ですが、お名前は?」という学生の挨拶で始まります。この挨拶がスムーズに言えるかどうかが最初のチェックポイントですが、「私は金原です」と答えて、“きんばら”、せめて“kinbara”とメモできないようだと、実力的にかなり怪しいと覚悟しなければなりません。
ここまでである程度(かなりの程度?)学生の実力を判断し、次の質問を待ちます。「趣味は何ですか」ときたら、実力に応じて、「スポーツ」「音楽」「旅行」などと答えます。間違っても「特殊な地層を見て歩くことです」などと口走ってはいけません。話がそこで終わってしまいますから。
趣味はスポーツと答えると、次は「どんなスポーツが好きですか」ときます。これまた実力に応じてゴルフ、サッカー、ジョギング、バスケットボール、野球などという答えを用意しておきます。でも、今回の学生は、なぜか「私はスイミングが好きです」と自己主張する人が多く、その中の1人は乏しい語彙とジェスチャーを織り交ぜて、自分は何千メートルも泳げるんだと訴えてきました。
そして、準備した質問を聞き終わっても所定の時間にならないとなると、苦し紛れの質問が出てきます。趣味の話の後、突然、「昨日の夜、何を食べましたか」ときかれました。「トマトとヨーグルトを食べました」は聞き取れないでしょうから、「ラーメンを食べました」。そうすると、「私もラーメンが好きです。ラーメンはおいしいです」と、会話が続きます。「冷やし中華」じゃ、こうはいかないでしょうね。
そんなこんなをしているうちに、時間が来ました。学生たちはほっとした表情で「ありがとうございました」と言い、次のインタビューターゲットへと向かいました。