2月28日(火)
Sさんは来年T大学に入りたいと言っています。理系希望で、理科や数学のセンスは十分にあります。日本語は現在中級クラスですが、まだまだ伸びていくでしょう。英語もそこそこ自信があるようですから、今後変な道に進まなければ、期待してもよさそうです。
今、Sさんが一番悩んでいるのは、カタカナ言葉です。化学の問題をやらせても、カタカナで書かれている物質名がわからないために問題が解けないということがよくあります。母国語で書かれていたら解けるはずだからと言って、ここを素通りすることは絶対にしてはいけません。ここをいい加減にしたまま進んでいくと、T大学のはるか手前で沈没してしまうでしょう。そういう学生を山ほど見てきましたから、Sさんを上手に育てていきたいと思っています。
Cさんは大学で遺伝の研究をしたいと思っています。そういう方面の知識量はかなりのもので、高校を卒業したばかりとは思えないほどです。しかし、日本語がネックになって、その知識を生かせずにいます。私が説明すると、「先生、ちょっと待ってください」と言って、しばらく反芻してから「わかりました」とにっこり笑うのが常です。これでは、試験で実力を発揮することは至難の業でしょう。夢を叶えるためには日本語力をどうにかしなければならないのですが、Cさんは日本語の勉強はあまり好きではないようです。自分の好きな生物や化学の勉強に走ってしまう毎日で、宿題をしてこないとか、テストの成績が悪いとかで、クラスの先生によくしかられています。
SさんもCさんも、そのほかHさんもGさんも、みんな私にとっては期待の新人ですが、みんなそれぞれ問題を抱えています。その克服に少しでも力を尽くしていくつもりです。