4月28日(木)
初級のクラスに代講で入ると、特に学期が始まって間もないこの時期、しかも一番下のレベルだと、必ず1人か2人いるんです。自分はこんなクラスで勉強しなければならない学生ではないと言わんばかりに、難しい文法を使ったり小難しいことを聞いてきたりする学生が。今週は2度ほど代講しましたが、どちらのクラスにもそれっぽい学生がいました。
入学前のプレースメントテストの結果、惜しいところで一番下のレベルに判定された学生にとっては、「はしでご飯を食べます」なんて文法は、かったるくてやってられないでしょう。国で勉強した期間が長かったり、JLPTのN2あたりに合格してたりすると、なおさらそういう気持ちが募ることは、想像に難くありません。
でも、何かが足りないから、基礎部分に穴が開いてるからこそ、下のレベルに判定されたのです。基礎が不安定なまま、さらにブロックを積み上げていても、砂上の楼閣にしかなりません。早い段階で伸び悩み、結局穴を埋める工事をしなければならなくなるのです。
その点、私のクラスのZさんは殊勝です。N2があるのに初級クラスに入れられたけれども、どういう練習をすればいいかと聞いてきました。自分の置かれた境遇を嘆くのではなく、その環境からいかに多くのものを得るかということを考えているのです。「できる」「わかっている」と思い込まず、謙虚に学びなおそうとしている姿勢が、Zさんをより高いところへ引っ張り上げていくに違いありません。
ウサギとカメの寓話は世界中でつとに有名だと思いますが、どうしてみんなウサギになりたがるのでしょう。