9月1日(火)
Pさんはいわゆるモラトリアム人間で、自分は何がしたいのか、自分自身にもわかりません。何かを作る技術を身に付けたいということで、理科系の大学進学を目指しています。もう少し正確に言うと、周りから進路を決めろと言われて、なんとなくそういう方面に進もうと思い始めたところです。何が何でも「技術」じゃありません。
実は、今までに何回も、Pさんはこういう決心をしました。しかし、その決心が長続きしたためしがなく、いつの間にかぐうたらな生活に戻ってしまいました。確たる目標や夢がないのですから、勉強しようという意欲が湧いてきません。外から何かインセンティブを与えたところで、Pさんの心に火がつくわけでもありません。
Pさんほどではなくても、有名大学を受ける学生の中にも、「有名大学生」という身分がほしい以外の動機がない学生がいます。志望理由を見ても美辞麗句ばかりで地に足が着いていません。あれこれ問い詰めても自分の心の底からの言葉がなく、抽象論精神論ばかりになります。それでも、そこに向かって進もうとする分だけ、Pさんよりはましです。
翻って、私に高校時代はどうだったでしょう。つぶしが利くからって工学部を選んだ記憶もあります。専門を1つにキメ打つのが怖くて、将来を絞りきらずに進学できる大学を選んでいました。そしてなんとなく流れで大学院に進学し、ろくな就活もせずに就職先を決めて、社会人になりました。
Pさんに対して胸を張れるような進路の決め方をしてきたわけではありません。しかし、自分が選んだ道を後悔はしていません。そのときそのときは厳しくても、後から誇れるような経験を積んできたつもりです。時代が違いますから今は同じようにはいかないでしょうけどね。
留学生は日本人ほどいい加減な道の決め方は許されません。Pさん、何とかしようね。