Monthly Archives: 5月 2015

幸せの分け前

5月7日(木)

朝一番にもかかわらず、河内長野駅発のバスは座席がさらっと埋まるほどの乗客がありました。その大半が30分の乗車、金剛登山口バス停で降り、私以外の人たちはみんな登山口へ。私は千早城跡へと向かう急な階段へ。楠木正成が立てこもり、自軍の数十倍になる北条の大軍を引き付け、鎌倉幕府滅亡のきっかけを作りました。城跡にはそんな生々しい戦いのあとを示すものはありませんでしたが、そこに至るまでの急峻ながけを登っていると、楠木正成の知略のかけらが見えるような気がしました。

千早城跡は標高が600mあまりで、そこからさらに500m登ったところが金剛山の山頂です。お天気は下り坂という予報でしたから大急ぎで登った甲斐があり、山頂からは大阪平野はもちろん、関西空港や淡路島、明石海峡大橋まで望めました。キンキンに冷やしやお茶がおいしかったです。

ロープウェイで下山すると、上りのロープウェイは定員いっぱい、麓の駅は乗車待ちの人たちであふれていました。駐車場は満車になりつつあり、バスも立ち客が出る満員でした。しかも、小雨がぽつぽつと。まさに早起きは三文の得です。

春日大社は式年造替で、御神霊が仮殿に移っているので、ふだんは近づけない御本殿が間近で拝観できます。また、神が宿っているともされる磐座(いわくら)も見られました。日本の神は実体が明らかになっているわけではなく、気配(神気)を感じてその存在を悟るものです。御本殿や磐座は視覚的には印象が強いものではありませんでしたが、私のような凡人でも“何か”を感じました。

ここで、ちょっとした事件が。ある参拝者が撮影禁止領域でカメラを構えたのです。それを見つけた神職は烈火のごとく怒り、データを消せと厳しく命じました。その参拝者は撮影はしていないと言い訳していましたが、神職はなぜ疑われるような行動をしたのかと怒りを納めませんでした。神職の怒りは当然だと思います。デジカメになってからは気軽にとって気安く消すという、写真の無駄遣いというか真剣みのない撮影が横行しています。怒られた参拝者は無意識にカメラを向け、起こられてもおそらく反省はしておらず、今後もまたどこかで同じことをするでしょう。こういう何でも見境なく撮ろうとする人を見かけると、無関係なこちらまで不愉快になってきます。

その後、若草山に登りました。若草山は標高342mですが、山頂からは奈良盆地や大和三山が一望でき、前々日に登った金剛山もかすかに見えました。西方面は生駒山、信貴山、二上山、葛城山が連なり大阪平野までは見えませんでしたが、その穏やかな山並みもまた心を和ませてくれます。

大阪には、こういうふうに気軽に登れる山がたくさんあります。そしてその頂上からは絶景が望めます。大阪から金剛山まで直線距離で35kmほど。新宿ー筑波山はその倍の約70km。高尾山は40km強。大阪―生駒山はわずかに20km弱。大阪の人たちは幸せだと思います。今年の連休は、大阪の人たちの幸せを少し分けてもらいました。

国際貢献

5月1日(月)

ネパールの地震の犠牲者が時とともに増え、6300人を超えたと報じられています。この勢いでいくと、阪神淡路大震災の死亡者数6434人(ほかに行方不明が3人)を上回ってしまうかもしれません。地震発生域の人口密度を考えると、現時点ですでに阪神淡路大震災以上だと言ってもいいでしょう。

ネパール地震の写真を見ると、レンガ造りのいかにももろそうな家がつぶれています。ネパールは日本と同様にプレート境界上にあります。インドが南からユーラシア大陸にぶつかってできたのがヒマラヤだと言われていますから、地表面下の地殻のせめぎあいは激しいものがあるはずです。そういう国に、こういう大災害が起きる前に、震災先進国と言っていい日本が何かできなかったものでしょうか。災害救助隊をいち早く送ることも大切ですが、災害を予防する観点から何かできなかったのだろうか思わずにはいられません。

安倍さんはアメリカの議会で演説して非常に得意げですが、世界的規模で考えると、上述のような形のほうがより日本らしい、日本ならではの国際貢献だと思います。他国ができない貢献をしていくことこそ、日本の世界における地位を向上させるのです。

昨日、初級の読解の授業で地震に関する文章を読みました。阪神淡路大震災で横倒しになった高速道路の写真や、東日本大震災での津波の映像を見せました。学生に対しては、こういう地震の多い国で暮らしているのだから、日頃からその対策を怠らないようにというまとめをしました。

上級の授業なら、ここからさらに発展させ、日本がすべき国際貢献っていうあたりに話を持っていくんですがね。このクラスの学生に上級でまた会うことがあったら、そんなことも考えてもらいましょう。