Monthly Archives: 3月 2015

良問ですか

3月4日(水)

初級の進学コースの授業で、学生たちに読解の問題をやらせています。市販の初級向け問題集よりもう少しひねった問題を作っています。出題形式も、実際の入試問題に近づけています。やはり難しいらしく、「〇〇字で答えなさい」というパターンは特に苦しんでいました。初めて出会う形式ですから、そりゃ戸惑うでしょう。でも、大学の独自試験にはそういう問題がたくさん出されていますから、これを何とかしない限りは合格は難しいです。

読解の良問とは、それを解くことによって文章の理解が深まるような問題だと、何かの本で読みました。それ以来、そのことを心がけて問題を作っています。「〇〇字で答えなさい」にしても、その語句を引っ張り出すことによって文章中の離れた部分同士のつながりが見えてきたり、ある物事が別の角度から見られるようになったりすることを期待しています。初級の学生にも、単語レベルや文レベルではなく、せめて段落レベルで文章を理解していってほしいのです。その補助線としての問題ということを常に念頭に置いています。

それは初級の問題であろうと同じで、一読しただけでは見えてこない何かを読み取らせる問題を目指しています。同時に、読んだ内容を日本語で考える訓練もしてもらうつもりでいます。

私の問題が本当に良問かどうかはわかりませんが、機械的な流れ作業で解ける問題にはしないようにしています。1つの文章で少しでも多くのことを考えてもらおうとあれこれ策を練るので、どうしても問題作りに時間がかかってしまう傾向にあります。学生が呻吟する顔を想像しながら問題を作っているなんて、Sでしょうか…。

合格したかな

3月3日(火)

卒業認定試験がありました。この試験に合格しないと、卒業証書ではなく修了証書になってしまいます。「そんなの、どっちでも関係ないよ」とうそぶいていた学生も、卒業式で自分だけ修了証書となると落ち込むものです。そのためかどうかは知りませんが、欠席がちの学生も今朝は大挙して登校してきました。

私が監督した教室では、Dさんが開始寸前になっても姿を現しませんでした。友人のYさんが電話を掛けたらやって目を覚ましたようで、20分少々遅刻。遅れて受けた科目は合格点が取れたのでしょうか。

問題が難しかったのかもしれませんが、みんな制限時間ぎりぎりまで粘って答えていました。こちらとしても「卒業証書」にはそれなりに権威を持たせたいですからね。生みの苦しみぐらいは味わってもらわないと。すがるような目つきで見られても、ダメなものはダメですよ。

試験直後から採点を始め、採点が終わったらWさんの面接練習。あさってがP大学の入試です。しかし、面接の完成度はまだまだ。「卒業展覧会の作品がすてきでした」のような誰でも言えるセリフが次から次と出てきました。気が付けば1時間以上もフィードバックしていました。

受験講座を済ませ、職員室に戻ってくると、「懐かしい顔がいますよ」とM先生が。ロビーに出て行くと、去年の卒業生のJさんがいました。JさんはS大学には受かったのですが、そこでは不満だと帰国して捲土重来を図りました。そして、先日E大学を受け、今日はM大学。今日の試験は手応えがあったようです。でも、「この1年、思ったより勉強しなかった…」と反省の弁も。

1年の締めくくりが近づき、いろんな試験が交錯しています。

音読の授業

3月2日(月)

T先生の代講で、上級クラスに入りました。各自が選んだ文章の音読でした。

今学期になってからずっと音読の練習をしてきているはずなのですが、けっこう差がつきますね。RさんやMさんや演劇部のNさんあたりは感情を込めて読んでいたのですが、IさんやSさんなどは棒読みに近いものがありました。Hさんはドラマの脚本に挑戦しましたが、セリフとト書きの区別がつきにくい読み方に。

会話は自然にできる実力を持っている学生たちをもってしても、音読ってかなり高いハードルなんだと思わされました。ただ単に文字が読めるだけじゃ棒読みにしかなりませんからね。それに加えて、文章全体をきちんと読み込んで流れや状況をしっかり把握しないと、聞き手をひきつける音読ってできないでしょう。

もうだいぶ昔ですが、中級で紙芝居を作ってクラス内発表会をしたことがあります。グループで作って、1人が1枚の絵を描いて読むというものでした。時間をたっぷりかけたこともあり、けっこうな質の紙芝居ができたように記憶しています。今は模擬討論会などに取って代わられていますが、感情を込めて音読できるようになるということをゴールとすると、紙芝居を復活させてもいいんじゃないかなと思いました。

いずれにしても、「話す」「書く」という情報を発信する技能を磨くことを、この学校では重視しています。ですから、初級から自然な話し方の練習を授業の中で行っていますし、毎学期会話タスクもあります。ただ、上級の学生の中にはそんな初級での先例を受けずにいきなり中級や上級に入ってきた学生もいますから、音読に慣れていないのかなって勝手に思っています。上手にできたRさんとMさんはKCPの初級からのたたき上げですからねって言ってしまったら、牽強付会かな…。