Category Archives: 生活

なんとなく

11月8日(水)

最近出席率が思わしくないKさんに話を聞きました。Kさんは専門学校への進学という目標がありますが、その目標に向けての行動ができません。突き詰めて言うと、なんとなく夜更かしをして、朝起きられなくて、学校を休み、その結果出席率が下がり続けているのです。この“なんとなく”というのが、一番困ります。原因が不明確ですから、原因をつぶして問題を解決するという手が使えません。Kさん自身も「11時には寝るようにする」と言いますが、具体的にどのようにして11時に寝るのかと追及すると、答えが返ってきません。

Cさんも出席率が下がり気味なので話を聞きました。ゲームをして寝るのが遅くなり、朝しかるべき時間に起きられないと言います。ゲームという原因がはっきりしているだけ、Kさんよりましかもしれません。しかし、どのようにしてゲームをせずに寝る習慣をつけるのかとなると、これまた答えが返ってきません。おそらく、受験勉強から一時でも逃れたいからゲームをしているのでしょう。この先入試が続くCさんは、まだまだ受験勉強から逃れられず、それはゲームからも逃れられないことを意味します。事情聴取の際は神妙な顔をしていましたが、もしかすると、今頃もうゲームにのめりこんでいるかもしれません。

日本での留学を続けるなら、ビザ更新が必要です。その際、今のKさんやCさんのような出席率では、新しいビザが出ない恐れがかなり強いです。そういうことを説いて聞かせても、どこまで心に響いているのか、私自身も手ごたえがありません。毎年必ず現れるこういう学生への対処法には、マニュアルはありません。

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混雑に思う

10月28日(土)

昼食のついでに用事を済まそうと、ちょっと丸ノ内線に乗りました。私の出勤時の早朝より混んでいることは当然として、帰宅時よりも乗客が多く、乗り込むのに一苦労しました。混んでいますからすべての駅で乗り降りに時間がかかるのでしょう、若干遅れ気味でした。反対方向の電車も同様でした。ベビーカーの方が、肩身が狭そうにしていたのが印象的でした。

現在、平日の日中と土曜休日の丸ノ内線は5分おきの運転です。でも、昼間見た光景は、明らかに本数が少ないことを意味しています。乗客全員に座らせろとまでは言いませんが、車内で身動きするのがはばかられるような状況は、適切な混雑具合とは言いかねます。休日の日中にたまに乗る銀座線も、丸ノ内線よりはましですが、できれば敬遠したいぐらいに混んでいます。せっかく増えつつある外国人観光客も、「東京では、地下鉄には絶対乗るな」なんてSNSに流しているかもしれません。

東京メトロも、本数を増やしたいのかもしれません。しかし、本数を増やせない事情があるのかもしれません。それは、運転士不足です。今、運転士がいないためにバスや電車を減便または路線を廃止せざるを得ない会社が、全国各地にあります。大阪郊外のバス会社に至っては、年内に廃業するそうです。それぐらい、人手不足が深刻化しています。大阪の例は関係自治体がどうにかするとのことですが、やがてそんなことすらできなくなってしまうかもしれません。

交通機関に限らず、福祉施設でも学校でも商店でも病院でも、働き手がいないためにしかるべき活動(サービス)ができない例が激増しています。今、この瞬間に出生率が2.5に跳ね上がったとしても、若い働き手が増えるのは20年後です。いや、そのはるか以前(=2.5になった直後)に、急増した赤ちゃんや子供をお世話する人手が足りなくて、世の中がしっちゃかめっちゃかになってしまうでしょう。

用事は済みましたが、また混んだ丸ノ内線に乗ると、暗い気持ちになりました。

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症状悪化

10月24日(火)

ある時、授業の初めに口慣らしとして行う3分会話で、「命の次に大事な物」というテーマを取り上げました。2人1組で3分話して、その内容をかいつまんで発表してもらいました。そこでCさんは「スマホ」と答えました。自分はスマホがなければ生きていけないスマホ中毒だとまで言い切りました。Fさんもそれにうなずき、「私もスマホ中毒です」と名乗りを挙げました。もしかすると…と思い、「2人のほかに、自分はスマホ中毒だと思う人」と聞くと、さらに2、3人が手を挙げました。その後、スマホ中毒自慢大会みたいになり、中にはスマホを握ったまま寝るという剛の者までいました。

数年経った現在、スマホ依存症は勢いを増しているようです。Yさん、Pさん、Bさん、Eさん、Jさんあたりは、上述のCさん並みかそれ以上でしょう。スマホなしで何かを考えることができないのではないかと思えるほどです。依存どころか、脳みその一部になっています。おそらくスマホを握ったまま寝ていることでしょう。

本人はスマホを使いこなしているつもりなのかもしれませんが、はたで見ているとスマホに浸りきっている、振り回されているように思えてなりません。わからないことがあるとスマホで調べるばかりですから、人に聞くということもなく、だからコミュニケーション力も伸びません。しかも、周りの状況を顧みずスマホを使いますから、まじめに授業を受けようとしている学生は鼻白んでしまいます。もちろん、教師が注意したくらいではやめません。Yさんに至っては、あまりにひどい授業態度なのでT先生がスマホを取り上げようとしたところ、無言で奪い返したそうです。その瞬間の教室に漂った気まずい雰囲気、想像するだけで寒気を催します。

今週の木曜は課外授業ですが、1日中スマホを見ながら街を歩くんじゃないでしょうね。

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浮かれる

10月20日(金)

後半は選択授業でした。上級クラスの学生を希望に応じて分けてクラスを作り、その1つを受け持ちました。そのクラスにはJさんがいるはずでしたが、欠席でした。担任のM先生によると、昨日も欠席だったそうです

JさんはすでにE大学に受かっています。4月ごろはとんでもなくレベルの高い大学を志望校に挙げていましたが、M先生などがなだめすかして受けさせたE大学がえらく気に入ってしまい、もうこれ以上受験はせず、E大学に進むと決めています。それ自体は問題ありませんが、かなり浮かれている点が大問題です。

欠席理由を確認すると、午前中はE大学近くの物件の内見だったとのことです。内見なら午後にもできるし、不動産屋なら土日も営業しています。そもそも、4月に入学するE大学に通うための部屋を、半年も前から押さえますかねえ。KCPまで30分ほどのところに住んでいてもよく遅刻する学生が、E大学の近くというと小1時間かかるところに移ったら、毎日遅刻じゃありませんか。

だいぶ昔ですが、早々に八王子の大学に受かって、すぐに八王子に引っ越しした学生がいました。こちらが危惧した通り、9時に教室にいるのが週に1日ほどになってしまいました。ビザはもらえたみたいですが、KCPの卒業証書はもらえませんでした。Jさんもその道をまっしぐらに突き進むのでしょうか。

志望校に受かっても浮かれることなく日本語の上達習得に努める学生もいます。Jさんは確かに上級の学生ですが、まだまだ日本語を勉強してもらわないと、E大学で“学問成就”とはなりません。来週月曜日は、通常授業でJさんのクラスに入ります。その時たっぷり説教しておきましょう。

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3時に寝る?起きる?

10月12日(木)

授業後、欠席したCさんに電話をかけると、あっさり本人が出ました。

「Cさんですか」「はい」「KCPの金原です。こんにちは」「こんにちは、先生(明るく元気な声)」「Cさんは、今日、学校を休みましたが、どうしましたか」「寝坊しました。先生、すみませんでした」「そうですか。何時に起きたんですか」「12時半です」「12時半? ついさっきじゃないですか」「はい…」「昨日、何時に寝たんですか」「3時に寝ました」「3時? それは昨日じゃなくて、今朝ですね」「あ、はい…」「じゃあ、何時に寝れば、学校に間に合う時間に目が覚めるんですか」「11時ごろに寝れば…」「わかりました。今晩は11時までに寝て、明日は寝坊しないで学校へ来てください」「はい」「じゃ、明日、学校で会いましょう」「はい、先生」。

Cさんの住所からすると、8時に起きればどうにか遅刻しないで登校できるはずです。それなら、3時にベッドに入っても5時間寝られます。十分な睡眠時間とは言えませんが、授業中爆睡するほどでもないでしょう。そもそも、3時から12時半まで9時間半もなんて、受験生にあるまじき睡眠時間です。

次はKさん。

「Kさんですか」「はい」「KCPの金原です。こんにちは」「こんにちは、先生(明るく元気な声)」「Kさんは、今日、学校を休みましたが、どうしましたか」「寝坊しました。先生、すみませんでした」「そうですか。何時に起きたんですか」「11時半です」「11時半? 昨日、何時に寝たんですか」「3時に寝ました」「3時? それは昨日じゃなくて、今朝ですね」「あ、はい…」「じゃあ、何時に寝れば、学校に間に合う時間に目が覚めるんですか」「1時ごろに寝れば…」「わかりました。今晩は1時までに寝て、明日は寝坊しないで学校へ来てください」「はい」「じゃ、明日、学校で会いましょう」「はい、先生」。

Cさんほどではないにせよ、8時間半の睡眠時間は十分すぎます。そもそも、2人ともなんで3時まで起きてるんでしょうかねえ。この2人以外にも、3時4時まで愚にもつかないことをしながら起きている学生がおおぜいいます。朝型の私にとって、3時と言えば就寝時刻ではなく、起床時刻です。日の出から日の光を有効に使わなきゃとは思わないんでしょうか。日足が短くなったのを、夕方ではなく朝に感じる生活の方が、ずっと健康的だと思うんですが、いかがでしょうか。

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懐かしい語り口

10月5日(木)

お昼といっても3時過ぎですが、駅に向かって歩いていると、Hさんにばったり出会いました。Hさんは、3年半前に第一波が来るまで、朝、職員室のお掃除をお願いしていました。第一波以降、不要不急の外出はするなと言われたり、そもそも、オンライン授業になり学生が来なくなったりとかで、朝のHさんのお掃除は中止になりました。

Hさんは地元の方ですから、その後も年に何回か見かけることがありました。今年の前半まではお互いにマスク姿でしたから、時には「あの人、Hさんかな?」なんていう感じで、半信半疑でお辞儀をすることもありました。近づいて話すわけにはいきませんでしたから、世間話も「お元気ですか」「はい、おかげさまで」という程度で切り上げていました。

久しぶりにマスクなしの顔で立ち話をしました。Hさんは電気屋さんで電熱式の鍋を買って帰る途中でした。お子さんやお孫さんもこの近くに住んでいますから、おでんか石狩鍋か水炊きか知りませんが、みんなを呼んでつつくんでしょうね。Hさんの顔も、そんな冬の団欒を楽しみにしているようでした。

お掃除をしながら自慢話をしていたHさんのお孫さんは、20年の1月で、確か中1でしたから、今は高2です。来年は受験です。心身ともに大きく成長したことでしょう。またその自慢話をHさんから聞きたいものです。お孫さんの話に限らず、Hさんの話を聞いていると、おもしろくて仕事が進みませんでした。そんな朝のひと時がまた戻ってくるといいなあと思いながら、「では、また」と挨拶をして、お互い反対方向へ歩いていきました。

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遅延証明書

9月13日(水)

9:10ごろ、Yさんが教室に入ってきました。月曜日の私の授業でも、10分ちょっと遅刻でした。ディクテーションをしている最中でしたから、Yさんを無視して文を読み上げ、答え合わせをして…と授業を続けました。遅刻の理由は聞くまでもありませんし。

10:30、休憩時間になると、Yさんは真っ先に私のところへ来て、丸ノ内線の遅延証明書を渡そうとしました。

「これは受け取れません。Yさんは月曜日も遅延証明書を持ってきましたよね」

「でも、地下鉄が遅れました」と、いかにも自分は悪くないという風情。

「月曜日だけじゃなくて、今までに何回も遅延証明を持って来ていますよねえ。毎日のように遅延証明をもらうということは、朝は丸ノ内線は遅れるものだと思って、何か対策を立てなければならないんじゃないんですか」

「毎日じゃありません。1週間に2回ぐらいです」

「1週間に2回でも、5回の2回だから40%の確率でしょ。1年に2回ならともかく、確率40%で起こるなら、そのために何かするのが当然です。早起きして早い電車に乗るとか」

「でも、この遅延証明をもらうのに5分かかりました」

「じゃあ、こんなのもらってくるなよ。駅から学校まで走れよ。階段を駆け上がれよ」

「走りました」とYさんは言いましたが、教室に入ってきたとき、汗もかいていなければ、息も乱れていませんでした。急いだ様子は、露ほどにも感じられませんでした。その後、遅刻と欠席のルールを説明し(新入生ガイダンスの際に説明済み)、5分遅刻と10分遅刻都では扱いが大きく違うことを改めて教えると。

「私は出席率が悪いですから、この遅延証明をもらってください。明日から遅刻しません」と、Yさんは泣き落としにかかってきました。

「受け取るわけにはいきません」と、あくまで受け取りを拒否しました。受け取って破り捨ててやろうかとも思いましたが、それは穏やかじゃなさすぎますから、やめておきました。

明日のYさんの登校時刻に注目しましょう。

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台風欠席

9月8日(金)

授業数分前に教室に入ると、学生がわずかに5人。荷物が置いてある机が2つありましたからそれを加えると7人になりますが、まだ半数以下です。チャイムが鳴っている最中に学生がドドトっと駆け込んできて、かろうじて半数を超えました。

私のクラスに限らず、今朝は遅刻が多かったようです。確かに台風が近づいてきていて、雨脚が強かったです。でも、傘が役に立たないほどではありませんでした。風も吹いていました。でも、人や物が吹き飛ばされるほどではありませんでした。計画運休という噂のあった東海道新幹線も平常運転でした。羽田発着の航空便もダイヤに大きな乱れはありませんでした。にもかかわらず自主休校を決め込んだ学生があちらこちらにいたようです。

こういう学生は、休むきっかけを見つけるのに必死です。私のクラスのZさんは12時まで寝ていました。Yさんに至っては、堂々と台風のためと言います。Wさんは、電話にすら出ません。遅刻してきたTさんだって、理由になりそうな理由なんかありません。気の毒だなと思ったのは、登校途中に足を滑らせて転んで服を汚してしまい、さらに膝を擦りむき、家に戻ったFさんぐらいでしょうか。WさんやYさんは、出席率に問題があります。雨どころか、槍が降っても来なければならない学生たちです。

どの学生にも、進学や勉強について厳しく指導してきました。それが嫌なんでしょうかねえ。だとしても、それは逃げです。台風の日に休むのは、雨宿りに過ぎません。台風が過ぎ去ったら、またそういったことに真正面から向き合わなければならないのです。

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のんびり留学

9月1日(金)

「私は国で悪い学生でしたから日本へ来ました」とJさん。高校の成績が悪く、国では大学に入れそうもないので、親から日本へ送り出されたと言っています。だから、日本で大学進学を目指しますが、何が何でも“いい大学”に入ろうとは思っていません。東京を離れて、のんびり勉強したいそうです。

そんな調子ですから、進学に関してはまだ何もしていないのかと思いきや、この前の学期休みに池袋で開催された、全国の大学が集まる留学生進学フェアに参加したそうです。そこでのんびり勉強できそうな大学をいくつか見つけてきたとのことですから、準備はのんびりというよりは周到に進めているようです。現に、M大学、O大学という名前がJさんの口から具体的に出てきました。そのどちらも、東京から遠く離れ、東京では有名ではありませんから、Jさんの本気度はかなり高そうです。

本人が本気でも、親が口出ししてきて、その本気の火を吹き消してしまうことがよくあります。でも、Jさんのご両親は、そんなことなさそうです。「国であきらめられていますから、日本でどんな大学に進学しても親は文句なんか言いません。大喜びです」。いい親御さんを持ったようです。

また、Jさんは、近所のお年寄りと仲良くなって、ファミレスで食事しながらお話をしているそうです。お年寄りが安保させていた犬の種類が、Jさんが国で飼っていたのと同じだったことから縁ができました。そのお年寄りにすると、孫をかわいがるくらいの気持ちなのでしょうか。ここにも、がりがり受験勉強をしないでのんびり留学しようというJさんの考えが見えます。

何だか、私まで留学したくなってきました。

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進歩は退歩

8月26日(土)

おとといから、学校にかかってくる電話が急に増えました。電話の相手は、何語かよくわからない言葉で一方的にまくしたてます。こちらは海外からの入学希望者かもしれないので誠実に対応しようとしますが、それには一切反応を示しません。昨日あたりからは、「あ、またか」という感じで、まともに取り合わないことにしています。

各方面からの情報によると、同様の迷惑電話は官公庁をはじめとして、日本中にかかってきているようです。処理水の放出に対する抗議の一端のようですが、KCPのような処理水とは全くかかわりのないところにも“攻撃”の手が伸びているようです。福島県の一般商店・飲食店も同様の電話で迷惑をこうむっているとなると、この電話の発信者を恨む気持ちしか湧いてきません。

発信者は、自分たちの行為によって処理水の放出が止まると思っているのでしょうか。確かに、処理水放出に関する日本政府の議論の進め方には感心できないものがあります。また、岸田さんは、ご本人の言葉とは裏腹に、他人の意見、特に反対意見など聞く耳を持たない人です。しかし、だからと言って、岸田さんや日本政府に向けるべき攻撃の矛先を、迷惑電話という形に変形して、処理水放出決定とは縁もゆかりもないところに向けるというのは間違っています。

昔、チェルノブイリ原発が事故を起こした時、放射性物質の拡散を恐れて世界中が縮こまりました。でも、このような迷惑行為はなかったと思います。当時に比べると、今は、通信技術の進歩によって、世界中どこからでも、どこへでも、気楽に電話がかけられるようになりました。進歩の悪用は、人間の退歩につながります。電話をかけている人(かけるように機会に命じた人?)は、こんなことすらもわからなくなっているのです。

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