Category Archives: 生活

納税意欲

7月19日(水)

先日、信号待ちの時に、暇つぶしに交差点の近くにあったたばこの自動販売機を眺めました。今は、たばこが1箱600円もするんですね。びっくりしてしまいました。私が学生の頃は、100円台だったような気がします。たばこを吸わない人間の記憶ですから、信頼性は著しく低いですが…。

そのうち税金はいくらぐらいでしょう。300円ということはないと思います。400円ぐらいは取られているんじゃないかな。1日1箱の人は、月に1万円、年間12万円ぐらいの税金を払っていることになります。なんと納税意識が強いことでしょう。私は、たばこだけでなく、お酒もやりませんし、車も持っていませんから、所得税と住民税と消費税以外はろくに税金を納めていません。

明日のコトバデーを控え、各クラスは練習に余念がありません。私のクラスの練習に立ち会い、先週とは比べ物にならないほどの進歩に目を見張りました。その一方で、最近学生の喫煙マナーが乱れていますから、学校近辺でむやみにたばこを吸って教職員に摘発された学生を相手に、注意を与えました。明日の会場は喫煙厳禁です。トイレなどで吸われでもしたら、KCPは出入り禁止になってしまいます。タバコを吸った学生個人の問題にとどまりません。

その際に、たばこの値段の話題を持ち出しました。学生たちも、600円は高いと感じているようでした。でも、やめられないみたいです。「私の代わりに日本の国に税金を払ってくれてありがとう」と言ったら、苦笑いをしていました。その学生は、概略10万円ちょっとを日本国政府に寄付してくれています。

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初熱帯夜

7月8日(土)

今朝の東京の最低気温は25.2度で、どうやら今シーズン初の熱帯夜だったようです。予報を見ると、来週は毎日熱帯夜の真夏日みたいです。しかも、最高気温は33度ぐらいまで上がるそうです。“曇り時々晴れ、降水確率40%”ぐらいの日が続きますから、梅雨明けはまだまだでしょう。

始業日前にやっていたアメリカのプログラムできている学生への授業で、“暑いです=hot”を入れて、「毎日、暑いですね」なんてやっていました。すると、Tさんが、“How do you say humid?”と聞いてきました。アメリカの学生たちにとっては、東京の夏はhotではなくhumidなのです。「蒸し暑い」と答え、直訳するとsteamy hotになると付け加えると、教室にいた全学生がうなずいていました。Tさんは、早速、「毎日、蒸し暑いですね」などと言っていました。

Tさんは“蒸し暑い”がよほど気に入ったのか、“蒸し”の部分を“無視”と同じアクセントで発音し、強調していました。アメリカの内陸部出身だそうですから、気温が高いのはともかく、湿度が高いところで暮らすのは初めてなのに違いありません。ですから、自分のhometownと東京との違いは“蒸し”だと主張したいのでしょう。

Tさんは、ゆうべの熱帯夜はどう過ごしたでしょう。湿度は一晩中70%前後でしたから、エアコンつけっぱなしだったかもしれません。でも、それは一歩間違えると風邪にまっしぐらです。蒸し暑い夜への対処法なんて、ガイドブックにもネットのサイトにも載っていないでしょうから、自分で編み出すしかないのかな。それも、留学の思い出として、笑い話にしてもらいたいです。

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ルーチンワークがなくなって

7月1日(土)

昨日の朝まで、KCPの教職員は出勤したらまず体温を測り、それを所定の用紙に記録していました。しかし、今朝からはそれがなくなりました。3年前に測り始めようとした時は、そのさらに数年前のSARSの際に買った体温計を倉庫から発掘してきて使おうとしました。しかし、長年湿っぽいところに放置しておいたのがいけなかったのか、34.2度などという数字を平気で連発してくる代物で使い物にならず、結局新しいのを買いました。

その後、毎朝几帳面に体温計をおでこにあててピッとやって示された体温を記録し続けました。私の場合、冬は35度台後半、夏は36度台前半という日が多かったです。先週は毎日36.2度でした。恒温動物であることを存分に証明した3年間だったとも言えます。そうそう、朝起きた時に体温を測ることにもなっていました。こちらも日々の変動はほとんどなく、実に安定していました。

そういった毎朝の体温測定から、7月1日をもって解放されたというわけです。最初の頃は、それまでめったに体温など測らなかったこともあり、ピッとやるたびに臨戦態勢という感じで気が引き締まりました。でも、去年あたりからは、「36.3、勝負!」なんて心の中でつぶやきながら表示窓をのぞいていました。そういった臨戦態勢もお遊びもなくなったことが、私にとっての解放でしょうか。

とはいえ、全国的に見ると、感染者がまた増えてきました。沖縄は最高記録を更新し、本物の臨戦態勢のようです。「第9波」という声が高まりつつあります。油断はできません。

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マイナンバーカードを使いました

6月30日(金)

今朝、3か月ごとに定期的に通っている病院へ行って、いつものように自動受付機に診察券を突っ込んで受付を済ませ、待合室に向かおうとしたら、「マイナンバーカードを持っている方は2番窓口へ」という掲示が目に入りました。受付がすんじゃったんだから、診察が終わってから行ってみることにしました。

無事診察が終わり、支払いの手続きのために窓口へ行き、保険証を見せました。「ありがとうございました」と保険証を返されたので、後ろに並んでいる人もいなかったこともあり、「受付機のところにマイナンバーカードを持っている人は窓口へって書いてあったんですが…」と聞いてみました。すると、「カードをそちらの機械の読み取り部に入れてください。そのあとは画面タッチでお願いします」と指示されました。その通りにすると、「次回からマイナンバーカードをこちらにかざすだけで保険証の確認ができます」と言われました。どういう仕組みになっているかよくわかりませんが、この病院では私のマイナンバーカードと保険証とがつながったみたいです。

でも、これは私にとってメリットがあるのかというと、非常に怪しいです。違いは、診察が終わってから窓口に保険証を提示するか、診察前にマイナンバーカードを機械に通すかだけです。マイナンバーカードを機械に通したからと言って受付がすむわけではなく、自動受付機のお世話になることに変わりはありません。つまり、マイナンバーカードを機械に通すために、今までより1回余計に窓口まで足を運ぶことになるのです。要するに、病院は手間が省けますが、その省けた手間が私におっかぶさってきただけです。病院の手間が省けた分だけ、10円でもいいですから診察料が安くなるならいいですが、そんなことはないでしょうね。

誰かが悪いわけじゃありませんが、なんとなく損した感じがしました。こんな人が日本中にたくさんいるんじゃないかな。だから、マイナンバーカードって評判がよくないんじゃないかという気がしました。

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神戸牛

6月13日(火)

毎学期、学期末が近づくと、アメリカの大学のプログラムでKCPに留学している学生たちのオーラルテストがあります。その学期までに勉強した日本語を使って、どれだけ話ができるか、コミュニケーションがとれるか、そういったことを見るテストです。

Jさんは、ちょうど半年勉強して、期末テスト後に帰国します。でも、その前に家族が来日し、東京、大阪、神戸を旅行するそうです。東京はJさんが案内して、みんなで原宿や渋谷へ行きます。妹が原宿で買い物したがっているのでいろいろなお店を紹介してあげると、家族との再会を待ちかねているかのような顔で言っていました。神戸は、牛肉が大好きなお父さんのリクエストで行くことにしました。お父さんは、ネットで調べて神戸牛食べ放題の店を見つけ、そこを予約したとか。お父さんにおいしい肉をたくさん食べさせてもらうと、これまたうれしそうに教えてくれました。牛肉を思い描きながら、期末テストを乗り越えると言っていました。

Aさんは、国で5年余りも1人で日本語の勉強を続けてきました。そして、4月に来日し、3か月の勉強を終えて、やはり期末テスト後に帰国します。国での勉強は聞くことが中心だったので、KCPでは何より書くのが大変だったと言っていました。読むのも遅いので、読解のテストは問題が全部読めず、いい点が取れませんでした。後で問題をもう一度見て、時間切れで手が回らなかった問題に解けるのがいくつもあって悔しい思いをしたこともありました。でも、そういった話を、今学期勉強した文法や語彙を交えて語れるのですから、それは留学の成果と言っていいでしょう。

2人とも、充実した留学生活が送れたことは、言葉の端々から感じられました。また日本へ来たときに、ぜひKCPに顔を出して、近況を聞かせてくれればと思います。

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備えてますか

5月27日(土)

昨晩は帰り支度を始めたころに地震がありました。職員室にいた教職員全員が「あ、地震」となりましたが、誰の電話にも緊急地震速報が入らず、大した規模ではないということもすぐわかりました。

ネットを見てみると、千葉や茨城では震度5強だったと報じられていました。この地域では、半月ほど前にも同じような規模の地震がありました。群発地震というほどではないのでしょうが、少々気になる動きです。

学校を出ると、街の中は異常なしでしたが、丸ノ内線・銀座線はところどころ徐行運転でした。千葉方面に向かう鉄道は、運転見合わせだったようです。

家の中も、本棚の本が飛び出したなどということもなく、異常なし。いつものようにお風呂に入ったりネットを見たりして寝ました。夜中に余震もなかったのでしょう。今朝も、いつもの時間に目を覚ましました。

学生はどうだったんでしょうね。土曜日は学生が来ませんから直接話は聞けませんでしたが、「困った」という電話もかかってきませんでしたから、おそらく何事もなかったのだと思います。

でも、1階であれだけ揺れを感じたのですから、教室はもっと揺れたのではないでしょうか。授業中だったら、学生たちは大騒ぎだったに違いありません。

「地震雷火事親父」と言われます。地震は人がよって立つ地面そのものが揺らぐのだから、怖いものの第1位なのだと何かで読んだことがあります。確かにそうですね。地震は突然襲ってきて逃げようがありません。

とすると、地震慣れした東京の人間よりも、地震のたびにビクついている学生たちの方が、人間として、生物として、まっとうなのかもしれません。私なんかはいつも大笑いしていますが。

でも、怖がるくせに備えはしないんですよね、学生たちは。来週は、授業でそんなあたりをつついてみましょうか。これから長い日本での留学生活では、地震と共存ですからね。

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ちょっとした隙に

5月9日(火)

会話の授業で、連休中にどんなことをしたか聞きました。本栖湖へ行ったとか、かつてのホストマザーを訪ねたとかという学生は滑らかな日本語で私の問に答えてくれました。一方、ずっと勉強していたとか、ゲームばかりしていたとかという学生は、たどたどしい日本語に戻っていました。大遅刻で入室したEさんに至っては、遅刻の理由を聞くと、「アラームが起きませんでした」と意味不明の回答をしてくれました。Eさんも連休中は引きこもり状態だったそうです。たった1週間足らずですが、日本語から離れてしまうと、こうもできなくなるものかと驚かされました。

それでも、“友達から連休中の様子を聞き出す”という課題を与えて、強引に会話の授業を進めました。最初は調子が出なかった学生も、スマホの写真を見せたり見せてもらったりしながら、自分の連休を語ったり友達の話にツッコミを入れたりするほど復活してきました。日本を離れていたTさんも、連休の思い出話で友達を笑わせたり感心させたりしていました。

その一方で、Yさんのグループは黙り込んでしまいました。あまりに話が弾まないので、私が話の接ぎ穂を拾い出して学生に渡すのですが、教室をぐるっと回ってまた来ると、またみんなでスマホをいじっています。Yさんは国にいる恋人と毎日長電話、Sさんはひたすら勉強、Cさんはアルバイトでしたが使う日本語は限られていた、という調子で、日本語でコミュニケーションをとる生活は送っていませんでした。

毎日学校に通って直接日本語に触れることで保たれていたバランスが、この連休で日本語じゃない側に大きく傾いてしまったようです。“日本語学校の存在価値を改めて感じた”などとのん気なことは言っていられません。すぐにどうにかしないと、このクラスの学生は悲惨な運命に襲われるでしょう。

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12時間寝たい

4月24日(月)

変化の表現の勉強で、「(可能動詞辞書形)ようになります」「(動作動詞辞書形)ようになります」という文型を取り上げました。「速く走れるようになりました」とか「毎朝散歩するようになりました」とかという文の勉強です。前者は“できない”から“できる”への、能力の変化、後者は“しない”から“する”への、習慣の変化を表します。そんな解説と練習をし、授業の最後に、「~ようになりたいです」という文で、こんなふうに変わりたいということを学生に言ってもらおうと思いました。「進学するまでに日本語が上手に話せるようになりたいです」なんていう答えが出てくればよしとするつもりでした。

いくつか答えが出てきましたが、Aさんのは「毎日12時間寝るようになりたいです」というものでした。若干違和感がありますが、文法的にどうのこうのと議論する前に、毎日12時間寝ることを習慣化したい、1日の半分を寝て過ごす生活を送りたいという感覚に驚かされました。さらに、Aさんの文(意見)にうなずく学生が非常に多く、唖然とするほかありませんでした。

学生たちは受験勉強などで寝不足感が強いのかもしれません。そうだとしても、12時間は寝すぎでしょう。しかも毎日ですよ。20歳代の輝かしい若い時間を、惰眠をむさぼって過ごそうというのです。年寄りの私に、その若い時間を分けてほしいです。柔軟な頭脳と、あふれる体力と、焦点がピシッと合う目と、あなたたちが使わないのなら、私にくださいよ。

40年前の私は、そんなに寝たいと思ったかなあ。記憶が薄れてしまっていますが、徹夜マージャンした翌日も、そこまで寝ようとは思わなかったでしょう。

あ、もしかすると、彼らはスマホから逃避したいのかな。

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外国料理

4月21日(金)

読解テキストに関連した宿題として、学生自身の国の料理で、外国料理をアレンジしたのものを探してくるというのがありました。マクドナルドやケンタッキーが自国風に味付けされているとか、寿司のネタに日本ではありえないようなものを入れているとか、想像できそうなできなさそうな答えが寄せられました。

40年近く前のことですが、私は新入社員として山口県にある工場に配属されました。その工場の食堂のテーブルに、キムチの素という瓶が置かれていました。普通の白菜の漬物にそのキムチの素をかけるだけで白菜キムチができあがるという、オレンジ色のドロッとした半液体の調味料です。

当時は韓流ブームのはるか前でしたから、東日本で生まれ育った私には、キムチはなじみのない食品でした。工場の人たちが、しょうゆの代わりにそのキムチの素を白菜に漬物にかけて、ごく当たり前に食べているのを見て、さすが山口県は韓国に近いだけあるなあと感心していました。

なんとなく好奇心が湧いてきたので、ある日、少し勇気を出して即席白菜キムチを作って食べてみました。これが辛いのなんのって。食べ物を残すのは嫌いですから小皿の白菜キムチをどうにか平らげましたが、二度と手を出すまいと強く心に誓いました。同時に、こんなものを毎食口にしている韓国人の味覚を大いに疑いました。

その数年後、ソウルまで1万円足らずで行けるというチケットが出たので、初めて韓国の土を踏みました。あれ以後キムチの素には一切手を出していませんでしたが、せっかく本場に来たのだからと、食卓の上に合ったキムチを、ほんの一口、記念に味見しました。

口に入れた瞬間辛さが舌を刺激し、失敗したと思いました。しかし、そのうちに辛さ以外の味が広がりだしました。これをおいしいというのであれば、韓国人の味覚って繊細じゃありませんか。あのキムチの素で満足している日本人の方がどうかしていると思いました。

ネットで調べると、現在、某大手食品会社がキムチの素を出しています。それがあのキムチの素なのかはわかりませんが、キムチが一般化した今は、きっとおいしくなっているに違いありません。私がこの読解の宿題をするなら、この話を書きます。

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+3.5度

4月6日(木)

東京の桜は、もうすっかり普通の木になってしまいました。丸ノ内線四ツ谷駅からちらっと見える桜も、すっかり若葉です。花園小学校の桜も、先週あたりはかろうじて木の下のベンチでお花見をしながらランチとしゃれ込んでいるグループもいましたが、今はもう、うつむいてスマホをいじっている人ばかりです。

気象庁の発表によると、東京の3月の平均気温は、平年より3.5度も高く、史上最高だったそうです。東京に限らず、全国的にかなり暖かな3月だったようです。もちろん寒い日もありましたが、私も早々に真冬装束を解き、卒業式のころから春の装いです。もうコートをクリーニングに出しても後悔することはないでしょう。

昨日の入学式も、新入生を歓迎に来てくれた在校生の中には、半袖の学生が何名かいました。私はさすがに半袖を着る気にはなりませんが、半袖の学生を見ても寒そうだとは思いませんでした。通訳をしてくれたMさんなんかも余裕の表情でした。

平均気温が1度上がるだけでも大変なことになると世界中で大騒ぎしているのに、3.5度も上がってしまった東京はどうなるのでしょう。半袖姿の学生が自然に見える程度で済むとは思えません。7月、8月あたりに3.5度高くなったら、暑さのために臨時休校などということもあり得ます。今年の夏も電力に余裕がないと言いますから、みんなが一斉にエアコンを使って、東京がブラックアウトなんて悪夢すら考えられます。

明日から新学期です。学期の後半は、クールビズでノーネクタイです。まさか、連休のころから蒸し暑くて夜も眠れない…などということはないでしょうね。

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