Category Archives: 生活

今日はお預け

9月5日(土)

NHKのブラタモリが好調だそうです。視聴率10%台をキープし続け、伸び悩んでいる大河ドラマを上回ることも多いようです。私も毎回楽しみにしています。

今シーズンのブラタモリは、笑っていいとも!がなくなったタモリが地方遠征している点が、今までと大きく違うところです。京都、長崎、金沢、仙台など、歴史のある有名な土地を回っていますが、観光ガイドブックには載っていないところにその街を形作る特徴を見出しています。そういう志向が私の趣味とぴったり合うので、非常に引き付けられるのです。

番組を見ていると、スタッフが毎回取り上げるそれぞれの街をかなり深く研究していることがわかります。それは大変な仕事でしょうが、やっていて楽しいだろうなとも思います。私も夏休みなどの長い休みになると関西やら九州やらへと出かけますが、出かけるたびに勉強不足を痛感させられています。下調べをきちんとして、見るべき点をしっかり頭に叩き込んでから出かけたいと思うのですが、それをしている時間がなかなかありません。

でも、たまにそういう時間があると、それは至福の時間です。本当に時の流れを忘れてしまいます。関連事項に次から次へと手を広げていくと、時空を飛び越えて遊びに行けます。しかし、私は凡人ですから、実際に足を運んで目で見ないと納得できません。そういう下調べが進んだところだけ見に行けばいいものを、貧乏性ですから一度にあれもこれもと手を出すものですから、不完全燃焼に陥ってしまうのです。

これから帰ってブラタモリと思ったのですが、今週は残念ながらお休み。来週の土曜日までお預けです。

任命責任

8月21日(金)

奨学金をもらっていたQさんがちょっとした問題を起こし、奨学金を打ち止めにすることになりました。奨学生ともあろう者が校則を破ってしまったのですから、黙過するわけにはいきません。Qさんは、奨学生として選ぶときの面接で、卒業式まで模範生であり続けると約束したにもかかわらず、模範生なら間違ってもしてはいけないことをしたのです。多少厳しい処分かもしれませんが、甘んじて受けてもらわねばなりません。

Qさんもそういう処分を覚悟していたのか、処分を伝えたときも平静を保っていました。確かにQさんは奨学金が取り消されるような大きな間違いを犯しました。しかし、Qさんの真価が発揮されるのはこれからです。これでいじけてしまったら所詮はそれまでの人間だったのです。この不名誉をすすぐべく再び立ち上がってこそ、器の大きさが示されるのです。

Qさんにしてみれば、校則を破ったことは一時の気まぐれか悪魔のささやきに応じてしまったか何かでしょう。それが重大な結果をもたらしたことを忘れないでほしいです。軽はずみな行為によって非常に大きな不利益を被ったこと、自分自身だけでなく周りにも痛みを与えたこと、そういったことを肝に銘じて、再起を図ってもらいたいです。

私たちも、処分を伝えてそれで終わりだとは思っていません。これからも今まで以上にQさんを見ていくことが、一度は奨学生としてQさんを選んだ私たちが負うべき責任です。

再挑戦しなさい

8月8日(土)

非常に残念なことですが、どうしても出席率がよくならない学生がいます。注意された直後は出席率が上向くのですが、いつの間にかもとの木阿弥に戻ってしまうのです。かつてはひたすらアルバイトに励んでいて学業がおろそかになってしまった学生が目立ったのですが、最近はそういう学生は少ないです。ゲームにおぼれる学生も、最近は減少傾向にあると思います。

私の周辺で出席率が問題になっている学生は、生活習慣が確立できていません。勉強する気はあるのですが、それにふさわしい生活リズムに乗ることができず、学校を欠席しがちになり、呼び出しを食らって油を絞られ、その直後は改善が見られるのですが、気がついたら元に戻っていた、ということの繰り返しです。

年齢的には大人かもしれませんが、精神的には子供のままなのです。親か誰かがそばにいて、常に矯正してもらわないと、同じ時刻に起きるということすらできないのです。親元を離れて独立したつもりかもしれませんが、独立なんか全然していません。そういう学生には、私たちは帰国を促しています。帰国して、親元でもう一度独立の準備と訓練をしてから再挑戦したほうが、その学生自身のためになります。

最近は入管のビザの基準が甘くなっていますから、こういう学生たちにもビザが出るかもしれません。そして、彼らの能力を考えると、受験したら合格できる大学も少なくないでしょう。しかし、今のままでは人生に資する勉強など、到底できません。青春の無駄遣いに終わってしまいます。だから、急がば回れで、出直してくるべきだと思うのです。そろそろ、帰国請負人の出番でしょうか…。

リーダーになった

8月4日(火)

Aさんは、今、私のクラスのエースです。スピーチコンテストの応援の企画から演技指導、音楽・効果音の準備まで、大車輪の活躍です。クラスのみんながAさんを頼りにしていますし、Aさんもその期待にこたえています。まだ本番が終わったわけではありませんが、私の心の中ではAさんは大いに株を上げました。

今までのAさんは、頭はいいのですがその自分の頭を使いこなせていないきらいがありました。学校も時々休むし、やる気に満ちあふれて授業に臨むのとも違いました。はたで見ていてもどかしさを感じさせられる学生でした。しかし、今学期のスピーチコンテストの応援に取り掛かるや、俄然やる気を見せ、上述のように何でも自分で引き受けました。先週末、わざわざ応援練習に時間を取った日にぽっこり休んだときには、また悪い癖が出て途中で放り出そうとしているのかと心配しましたが、それは杞憂でした。

Aさんは休みがちな学生が出てきたときにしっかり声をかけて、仲間に引き入れました。自分がまず動いたり提案したりして、周りを動かそうとしています。クラスのみんながAさんの指示を尊重し、その通りに動きます。

Aさんは今回の応援を通して、周りの人を動かして何かを成し遂げることを覚えたのではないでしょうか。これはとても貴重な経験で、得がたい財産となるでしょう。Aさんが自覚するかどうかはわかりませんが、この仕事を完成させた暁には、一回り大きな人物に成長しているに違いありません。

人間的に成長するチャンスって、求めて得られるものではありません。めぐってきたチャンスを自分のものにする度胸と集中力が欠かせません。すべての学生にそういうチャンスを与え、学業以外の面でも大人になってもらいたいのですが、なかなかそううまくはいきません。Aさんの成功体験は、私にとってもめったに得られぬ成功体験なのです。

遅刻とEJU願書

7月24日(金)

Hさんが教室に入ったのは、9:52ごろでした。出欠席のルールにより、10:30までの授業は欠席という計算になります。そうでなくても悪いHさんの出席率が、また下がってしまいました。

理由を聞くと、バスがなかなか来なかったからと言います。でも、時間をよく聞くと、最大の理由は寝坊です。次のビザが危ないくらいの出席率なのに、危機感が感じられません。Hさんを受け持ったどの教師からも注意され続けているはずなのに、一向に改善の兆しが見られません。

学校でまとめて購入したEJUの願書が昨日届いたので、各クラスで購入者に配りました。Sさんはその願書を受け取ると、授業中なのに早速記入を始めました。机の上には英語のテキスト。教室に存在しているだけで、授業に参加しよう意識がありません。

この時期にそんなことをしているとは、すでに精神的に余裕を失っているということであり、いい結果など望むべくもありません。教師の目を掠めながら勉強した英語など、身に付くはずがないじゃありませんか。

朝寝坊している余裕などないはずのHさんがのんびりしており、どっしり構えていいはずのSさんがこそこそしています。2人とも能力はありますが、このままではそれを発揮することなく終わってしまいかねません。かといって今説教したところで効き目があるとも思えません。Sさんあたりはかえって反発して、心を閉ざしてしまいかねません。こちらも肝を据えて長期戦を覚悟で行くほかないようです。

日本語文法脳

7月23日(木)

水曜木曜は初級クラスを教えますが、どちらのクラスも以前勉強したことを忘れてしまっている学生が多くて、頭が痛いところです。レベル2の学生は「ています」を使ってほしいところで使ってくれないし、レベル3の学生は「てしまいます」を使わずにちょっと間抜けな文を作ってしまいます。まあ、「てしまいます」は中級や上級の学生もなかなか使ってくれないんですけどね。

ほとんどの学生が、今、目の前の文法項目を使うことで精一杯なのです。習ったばかりの文法をどこでどう使うかばかりを考えていますから、以前に習った文法にまでは頭が回りません。でも、これじゃいけません。一段高いところに立ち、視野を広く持って、今までに勉強した文法や語彙を総合的に見渡して、最善の文の形を作っていってほしいです。

そうはいっても、「てしまいます」を使うべき場面かどうかが判断できなければ、いつまでたっても「てしまいます」が使えるようにはなりません。そこで、教師の地の言葉をじっくり観察してほしいのです。教師はそのクラスのレベルに合わせて既習の文法を使って話しますから、学生が耳を澄ませて教師の言葉を聞き取っていくと、「あっ、『てしまいます』こういうところで使うんだ」という発見が必ずあるはずです。そういう発見を1つでも多くした学生が、学生たちのよく言う「日本人のような日本語」に近づいていくのです。

そういうことをしていくうちに、頭の中に日本語文法のネットワークができ上がっていきます。このネットワークを手に入れれば、「てしまいます」も自然に出てくるようになります。私が教えている上級クラスには、そういう学生が何人かいます(残念ながら「何人か」でしかないのですが)。その何人かは実に自然な日本語を話します。例文もこなれています。よく英語耳って言いますが、さしずめ日本語文法脳を持ったと言えるでしょう。

せっかく日本に留学しているのですから、感度を最高にして、「あっ、こういうところで使うんだ」をどんどん見つけて、自分の頭を鍛えていってもらいたいです。

9本のジュース

7月22日(水)

ロビーの受付のところに缶ジュースが9本置かれていました。「どうしてこんなところにジュースがあるんですか」とK先生。「それですか。さっき自動販売機の前で学生が抱えて立ってたんですよ。ボタンを押したら続けざまに10本出てきたって言ってました」と事務のTさん。「もらっちゃえばよかったのに」「でも10本は多すぎるでしょう」「自動販売機の会社の落し物だとしたら、1割の1本はもらう権利があるんじゃない?」…などと、午前中の職員室でどうでもいい議論が行われました。

学生にしてみたら、1本買うつもりで10本も出てきたら相当戸惑うでしょうね。ごまかそうっていうレベルを超えていたのかもしれません。Tさんが事情を聞いたときに「友達の分も買いました」と答えることもできたはずですが、そう言わずに正直に話した点は評価できます。

それに対して、頭が痛いとかお腹を壊したとか言って休む学生は、実際のところはどうなんでしょうか。授業後電話を掛けて、明るい声で「もう直りました」と答えられると、疑念が頭をもたげてきます。毎日のようにJRの遅延照明を持ってくる学生にしたって同様です。何時何分にうちを出て、何時何分に電車に乗って、という足取りを厳しく追及したくなることもあります。

社会に出たら否が応でもうそにまみれた生活を送らざるを得なくなります。「うそも方便」という便利なことわざをフル活用して、保身したり他人の足を引っ張ったりというのが常態になります。そうしつつもそれが異常なんだという感覚だけは忘れたくありません。忘れると東芝の歴代社長のようなことになってしまうのです。

今日の学生は、正直に9本のジュースを届けたことをどう思っているでしょうか。ごく当たり前のことをしたまでだというのであれば、立派な心がけです。その気持ちを忘れないでいてもらいたいです。

看板

7月8日(水)

Bさんは私なんかと同年代と言っていいくらいの学生で、KCPの学生の中ではかなり年齢が高いです。だから、未成年と同じように扱われるのがどうも嫌なようです。ことにKCPは語学以外の躾も厳しく、学生の行動にあれこれ口を出します。また、Bさんぐらいの年齢となるとクラスの先生のほうが年下のことが多く、そういう先生から細かなことまで注意されることにストレスを感じているように見受けられました。

話し合ってみると、学生には学生の責務があり、学校の中では年下であろうとなんであろうと教師の指示に従うべきだと言います。こちらが訴え続けたことが多少は理解してもらえたようです。ただ、学校の中ではという点を強調していたようにも聞こえましたから、少なくとも学校の近辺ではKCPの看板を背負って歩いているのだということを忘れないでほしいとお願いしました。

昨日の夜、帰宅しようと学校を出て御苑の駅へ向かっていると、「先生、こんばんは」とDさんとLさんに挨拶されました。2人は旧校舎時代の卒業生で、進学先も卒業する頃ではないかと思います。学校の近くではそんな学生からも声をかけられます。また、学校近辺の店で買い物すると、店員から「先生、こんにちは」とにっこり笑いかけられることもよくあります。私の知らない顔の学生がいたるところでアルバイトをしています。

日本人からも、「このごろ学生さん、いませんね。学校、休み?」なんて声をかけられることも。わたしも、KCPの旗ざおを背中に差して歩いているのです。だから、Bさんも学校の中だけ「いい学生」では困るのです。地域の中で育ててもらっていると思ってもらわなければ困ります。Bさんはそのあたりをどこまでわかっているのだろうかと思いました。

さらにBさんは年長者ということで、若い学生に与える影響が強いです。自分は周りから見られているということを意識して行動してもらいたいです。明日から新学期。Bさんはどんな留学生活を送るのでしょうか。

帰りたいけど

6月19日(金)

一時帰国したいけどMERSが怖い――韓国の学生の偽らざる気持ちのようです。来週月曜日の期末テストの翌日からの学期休を控え、韓国担当のPさんのところへ学生が押し寄せています。

「私、一時帰国してもいいですか」「はい、一時帰国届けを出せば、いいですよ」「でも、MERSが心配です」「じゃあ、日本にいたら」「でも、もうチケットを予約しましたから…」「じゃあ、行けば」「日本へ戻ってきたとき、韓国人はダメって言われたらどうしますか」「それが心配だったら、日本にいるのが一番いいんじゃない?」「でも、国に用事がありますから…」

こんなやり取りを延々と続ける学生が何人もいるそうです。学生はPさんに答えを求めているのではなく、心配の種を聞いてもらいたいのです。心配でたまらない自分に酔っていると言ってもいいでしょう。そういう試練を乗り越え留学を続けようとしている自分の姿を、自分で英雄視しているのかもしれません。

私のような日本で生まれ育った人間にとっては、MERSはニュースでしかありません。もちろん、普通の日本人よりは強い関心を持っていますが。でも、韓国の学生にとっては、我が事です。当事者だから冷静に考えられなくなり、上述のPさんとのやり取りのようなことになってしまうのです。

日本が留学生を受け入れ始めて間もない頃、中国で辛亥革命が起こると、みんな新しい国づくりに参加しようと帰ってしまったそうです。これほどのことではなくても、留学生は国のことを気にかけながら勉強しています。おそらく、生まれてからいちばん「国」を意識しているんじゃないでしょうか。

留学とは、国際性が身に付くと同時に愛国心も芽生える、その人の人格形成に多大な影響を与えるイベントなのです。

何とかしろよ

6月18日(木)

Sさんは進学コースの学生ですが、成績が思わしくありません。それに加えてここへ来て1週間近く欠席してしまいました。来学期も同じレベルをもう一度勉強することが確定的です。友人のOさんの話によると、Sさんは毎晩のようにお酒をたくさん飲んでいるそうです。留学生活が思い通りにいかなくて、その憂さ晴らしで深酒しているのかもしれませんが、感心しません。

何より、Oさんに迷惑をかけていることがいけません。OさんはEJUが迫っているのに、酔っ払ったSさんの介抱をさせられています。そんなことをしているどころじゃないのに、国にいたときからの親友を捨て置くこともできず、貴重な時間を費やさざるを得ない状況に追い込まれています。Sさんは親友の足を引っ張っていることに気が付いているのでしょうか。自分の行動が親友の将来に暗い影を落としかねないことなんか、自覚していないでしょうね。

2人の状況をつぶさに見ているわけではありませんから断定はできませんが、話を聞く限りSさんのお酒の飲み方は問題飲酒です。最近の欠席は胃の不調によるものですが、内科ではなく心療内科に診てもらうべき心身状態かもしれません。

Sさんは未成年ではありませんから、法律上はお酒が飲めます。しかし、Oさんの犠牲の上に立って飲み続ける資格も権利もありません。本分である学業を疎かにするような飲み方が許されるわけがありません。クラスに彩りを添えてくれる貴重な学生ですが、このままじゃ最悪帰国ですね。私たちがSさんの内面に踏み込んだ指導ができなかったことはこちらの反省点ですが、Sさん自身が自分自身を何とかしようという気持ちがなかったら、この問題は解決しません。