Category Archives: 生活

陰の苦労

4月17日(金)

来週から受験講座をオンラインで始めますから、その準備をしました。先学期末に、学生に何を受講するかコンピューター経由で登録してもらい、そのデータをもとに受講生のクラスを作りました。すべてコンピューターの中の操作なので、データを右から左へ移すだけで済むかと思ったら、大間違いでした。

学籍番号を間違えて入力した学生が数名いました。コンピューター内では学籍番号で学生を管理していますから、これを間違えられると致命的です。別人が受講することになったり、その学籍番号の学生が在籍していなかったら受講生が宙に浮いてしまったりします。また、受講科目が違うんじゃないかという学生も何名かいました。美術大学への進学希望のはずなのに、物理と化学を選んでいる学生もいました。

受講登録は学生の手入力ですから、そこに間違いが発生する余地が生じます。それはしかたがないことではありますが、学籍番号を間違えるというのはどうなのでしょう。いや、そもそも、KCPの学生は、学籍番号をあんまり覚えていない傾向があります。「学籍番号は?」と聞くと、かばんの中から財布を探し出し、そこから学生証を引っ張り出し、それを見ながら答えるというパターンが少なくありません。たかだか数個の数字とアルファベットです。学生の若い頭脳をもってすれば一瞬のうちに記憶できるはずです。

学籍番号は、アバターといったら言い過ぎかもしれませんが、在学中は何より大事なコード番号です。それにもかかわらずきちんと覚えないというのは、私に言わせれば、怠慢そのものです。その怠慢によって、年寄りの私が老眼を駆使して間違いを見つけ出し、修正するという、本来する必要のない作業に追われたのです。

来週になったら、学籍番号を間違えた学生も、陰にそんな苦労があったことなど全く気付かずに、家で受験講座を受けるんでしょうね。

日本語教師養成講座へのお問い合わせはこちらへ

こんにちは???

4月15日(水)

道で知り合いに会うと、軽く会釈し、笑顔を見せるものです。挨拶の言葉を交わすこともあるでしょう。私は、立ち話はめったにしませんが、「こんにちは」とか「ご無沙汰してます」とか、出会った人に合わせて声をかけることはあります。

お昼から戻ってくるときに、オンライン授業が始まる直前まで校内のお掃除に来てくださっていたHさんが向こうから歩いてきました。「こんにちは」といいながら頭を下げ、にっこり笑ったつもりなのですが、Hさんはどこか怪訝そうな表情でした。そうです。マスクをしていたのをすっかり忘れていました。口元に笑みを浮かべても、まったく無意味なのです。目だけ笑っていて、不気味だったのかもしれません。

確かに、どこかで鼻から下が隠れていて目だけ細めてこっちを見ている人に出くわしたら、ちょっと警戒しちゃうかもしれません。マスクに隠れている部分を補い、知人だとわかって初めて、安心して微笑み返すことでしょう、マスクの下で。

昨日までは養成の講義や受験講座でしたが、私にも今学期の日本語の授業が回ってきました。オンライン授業のいいところは、学生がみんなマスクを外して顔を見せてくれることです。画面に出てくる各学生の映像は小さなものですが、教室で顔の3分の2ぐらいが隠れている学生を見るより安心感があります。ことに、今学期は知っている学生が大部分卒業していったため、クラスの大部分が知らない学生です。その時、マスクのない顔というのは、多少なりとも個性が現れて、私にとってはやりやすいです。

今学期中に、この学生たちと生身で顔を合わせる日が来るのでしょうか。都内で127人の新規感染者と報じられています。

日本語教師養成講座へのお問い合わせはこちらへ

雨の国

4月14日(火)

昨日、東京では132ミリの雨が降りました。4月の新記録に迫る雨量でした。この雨がすべての病原体を流し去ってくれないかなあと思いましたが、そんなわけにはいきません。確かに、空気中に浮いていたり路上に落ちていたりしたのは流されたかもしれませんが、人間の体内に存在しているものはそのままです。警戒を続けなければなりません。

三重県尾鷲市では、昨日1日で248.5ミリの雨が降りました。未明には1時間に100ミリ近い雨が降ったという記録が残っています。12日お昼ごろの降り始めからの雨量は300ミリを超え、警報も出されました。

尾鷲の人たちは避難したのだろうかとおもぃました。避難所は、少なくとも「密集」です。「密閉」を避けたいと思っても、大雨の最中に窓やドアを開けっ広げておくことはできないでしょう。災害の恐怖におびえながらお互いを励まし合おうとすると、「密接」にもなりかねません。

もちろん、これは尾鷲だけの話ではありません。梅雨時になったら、全国各地で起こりうることです。去年のように頻繁に広範囲に台風が襲来したら、首都圏や近畿圏のような人口過密地域では、3密避難所がそこかしこに生まれます。不幸にも被災してしまったら、必然的に避難所暮らしを余儀なくされます。

日本は雨がよく降る国です。それに伴う災害も頻発しています。今はまだ4月ですから、雨は1日で過ぎ去りました。しかし、雨の季節になったらそういうわけにはいきません。その時までに何としてもこの騒動を抑え込まねば、洪水に巻き込まれるか避難所のクラスターに巻き込まれるかの究極の選択を迫られるおそれすら考えられます。

安倍さん、犬とじゃれてる暇なんかありませんよ。

日本語教師養成講座へのお問い合わせはこちらへ

レギュラーメンバー

4月10日(金)

緊急事態宣言以来、電車が空いたという話を聞きます。しかし、私が毎朝乗る1番電車はそんなに変わりません。もともとそんなに込んでいるわけではありませんが、立つ人がちらほらいるという状況は、先週も先月も去年も同じでした。朝早くから不要不急ではない用事を抱えている人々がこの電車に集うのです。

毎日、見慣れた顔ぶれが乗り合わせます。顔しか知らない人たちですが、みんな病魔に侵されてはいないようです。挨拶すら交わしたことがありませんが、何となく連帯感を抱き、いつもと同じポーズで居眠りしている姿などを見かけると、ホッとさせられます。

お昼によく行く店が、都からの要請に応じて、明日から当分の間、土日は休業するという告知を出していました。街を歩くときはマスクで隙なく防護していても、店内で食事するときはマスクを外さざるを得ずません。無防備な顔をさらして、口も鼻の穴も目一杯広げてお腹を満たすのです。一番危ない瞬間です。

力士に感染者が出たとのことです。きっと、食事の最中に拾ったんだろうなと思いました。力士は日々体を鍛えていますから、多少のことではびくともしないはずですが、食べ物と一緒に悪い物を吸い込んだら、取り込む量が量だけに、やられちゃったんでしょうね。

相撲は、5月場所を2週間延期して始めると言っていましたが、力士に感染者が出たことでどうなるでしょう。プロ野球もJリーグも見通しが立っていません。隅田川の花火大会も中止になりました。博多どんたく、青森ねぶたなど、有名なお祭りも中止が決定しています。でも、EJUは予定通り実施と強気を貫き通しています。果たしてどうなるでしょう。

日本語教師養成講座へのお問い合わせはこちら

街の様子と学生の心配事

4月8日(水)

安倍さんと小池さんには申し訳なかったのですが、午前中は健康診断で病院へ行きました。以前から予約してあったので行ってきた次第です。せめてもの罪滅ぼしとして、電車には乗らず片道30分ほどかけて往復しました。人通りがあまり多くない道を選んだつもりですが、それでも人影が途絶えることはありませんでした。東京の街自体が3密ですから、いくらか自粛したところで人通りがなくなることなどないのでしょう。

安倍さんは人との接触を8割減らしたいと言っています。また、ある学者の説によると、東京は98%減らさないと感染者は増え続けるとのことです。しかし、私が見た街の様子は、確かに人通りは減ってはいますが、8割とか98%とかには程遠かったです。あごマスクで歩きたばこという、危機感のかけらも感じられないオヤジもいました。その一方で、5月6日まで臨時休業という店も結構見かけました。伊勢丹もそうだと言いますから、考えているところは考えているのでしょう。

午後は、受験講座をしました。2月末にオンライン授業に移ってからずっと休講状態でしたが、その補講という形で再開しました。学生たちの心配事は、EJUが予定通り実施されるかどうかで、早速質問されました。EJUのサイトには予定通り実施と書かれていますから、そう答えるほかありません。でも、本当に予定通りできるでしょうか。実施できないとなると、各大学の留学生入試に多大な影響が及びますから、万難を排して実施するつもりでしょう。そうは言っても、受験生間の距離を離すとか熱のある受験生は受けさせないとかという条件が加わると、去年までと同じように実施できるか疑問です。

頭痛の種はたくさんありますが、今できることを確実にやっていきましょう。

日本語教師養成講座へのお問い合わせはこちらへ

マスクさえしていれば?

4月2日(木)

安倍さんが1世帯当たり布マスクを2枚ずつ配るという政策を発表しましたが、どうも不評のようです。布マスクは目が粗いのでウィルスは通ってしまうとか、1世帯に2枚じゃ焼け石に水だとか、自粛のうっぷん晴らしもあるのかもしれませんが、各方面から攻撃されています。

不織布のマスクは、製造能力が増強されていますが、需要がそれをはるかに上回る勢いで増えているため、市場に出回ってくる見込みはないようです。ただ、マスクをしている人の様子を見ると、さすがに鼻出しマスクはめっきり減りましたが、すきまだらけの付け方をしている人が、少なく見積もっても過半数でしょうね。工場に勤めていた頃、外気を完全にシャットアウトするマスクをつけたことがありますが、息苦しくてたまりませんでした。マスクをしても普通に呼吸ができるということは、いくらでも外気を吸い込んでいるということなのでしょう。

むしろ、マスクをしているという妙な安心感から手洗いがおろそかになる方が怖いです。思うに、多くの人がこの安心感を得たいがためにマスクをしているのではないでしょうか。マスクさえしていればどこへ行っても心配ないとかという発想だったら、本末転倒です。そのマスクを、本当に必要としている人々に譲るべきです。

たとえ流水だけでも、手をよく洗い、ウィルスを身近に置かないことが、予防に関してはマスクよりも効果があります。また、栄養状態をよくすること、睡眠を十分に取り、疲れをため込まず、ウィルスを跳ね返すだけの体力を維持することこそが本筋です。君子危うきに近寄らずで、3密空間をさすらうようなことをしてはいけません。

都内の新規感染者数は97名だそうです。戦いは当分終わりそうもありません。

日本語教師養成講座へのお問い合わせはこちらへ

要急な仕事

4月1日(水)

「不要不急の外出は自粛すること」となって以来、繁華街は人通りがめっきり少なくなり、観光地はどこもかしこもがらがらで、新幹線や飛行機は減便が相次いでいます。テレワークがにわかに広がりだし、また、学校が休みになり、朝夕のラッシュが緩和されました。もっとも、私は朝に関しては超時差通勤をしてきましたから、もともとさほどの混雑を感じていませんでした。ただ、退勤時は人が少ないなあと感じることが多くなりました。

こうしてみると、私たちの生活は“不要不急”で成り立っていたことがよくわかります。不要不急が消えたら、とたんに景気が悪くなり、経営が行き詰まったお店や会社がたくさん出てきました。雇止めや内定取り消しとなった方も多数に上っています。昔は「一時帰休」という言葉をよく耳にしましたが、今はそんな段階はすっ飛ばして、すぐ解雇なのでしょうか。

日本に限らず、世界中が、要であり急な事柄だけでは成り立たなくなっており、不要不急があって初めて77億人とかという世界人口が賄われていたのです。精神的な充足感とか、宗教心とか、人間がよりよく生存するための部分が今回の騒動で侵されているのです。芸術や文化など、生物学的個体としてのヒトには必要不可欠とは言えない部分を削らざるを得ない状況に、我々人類は置かれています。

日本語学校もその1つでしょう。不安を感じつつ無理して日本留学するくらいなら、第一志望とは多少違っても、母国で進学した方が落ち着いて勉強できると考える人が増えても不思議ありません。世界各国が半鎖国状態に陥ってしまった今、新しい学生は入って来られません。それゆえ、在校生をいかに大切に育てていくか、これが私たちに課せられた使命です。

昨日心配した鹿児島の桜ですが、4月に入ってやっと咲きました。

日本語教師養成講座へのお問い合わせはこちらへ

トイレットペーパーが買えていますか

3月19日(木)

T先生が、トイレットペーパーが買えないと嘆いています。Y先生もそれに同調。私は、うちにトイレットペーパーの在庫がありますから、今買おうとは思いません。でも、毎週日曜日、近くのドラッグストアやスーパーの前に開店前から並んでいる人たちを見ると、ないんだなあと思います。

でも、C先生やS先生などは、マスクはともかく、トイレットペーパーは十分に買えると言います。この違いは何かというと、トイレットペーパーの品薄状態は23区内に限られるということのようです。少なくとも現時点において、23区外ならトイレットペーパーの買いだめなど不必要なのです。

じゃあ、23区の内外でどうしてこんなにも違うのかというと、トイレットペーパーは安いのにかさばるので店が在庫を持ちたがらないからだそうです。23区内は土地代が高いですから、安い品物のために高い土地を使いたくないのでしょう。だから、卸から日々配送してもらいたいのですが、運送会社にしても安くてかさばる荷物は、文字通りお荷物のようです。

だから、23区内の店はわずかな在庫がなくなると次の配送まで待たなければならないのですが、その配送があっちこっち引っ張りだこで、なかなか来ず、トイレットペーパーの棚が空のまんまになってしまうというわけです。郊外の店は、多少の在庫を蓄えておく余裕があるのでしょうね。

製紙工場の製品倉庫や高速道路のインターチェンジ付近の物流倉庫にトイレットペーパーがうずたかく積まれている映像を見せられても、それを消費者の近くまで運んだり一時的にそこに蓄えておいたりするシステムやスペースが整っていないため、人々は不安を解消できません。

なんだか、日本社会のゆがみがあぶり出されているような気がします。

日本語教師養成講座へのお問い合わせはこちらへ

中止

3月11日(火)

明日は年間計画上の卒業式の日でしたが、中止になってしまったため、でも何もしないわけにはいきませんから、校長挨拶を動画で卒業生に見てもらうことにしました。例年なら、証書を渡しながら感じたことや渡し終えた会場の雰囲気を味わいながら、挨拶の言葉を述べるのですが、今年はそういうわけにはいきません。それゆえ原稿を書いたのですが、それを読んでしまうと、なんだか不自然な挨拶になってしまいました。

でも、撮り直してもいつものノリで卒業生に話し掛けられるとは思えないので、若干不満は残りますが、そのまま流してもらうことにしました。撮影してもらっている最中、何となく入学式の挨拶みたいだなあという感覚が消え去りませんでした。卒業生の目には、どう映るのでしょうか。

センバツが中止になってしまいました。戦争の時以来だとのことですから。今回のコロナ騒ぎがいかに大きなものかわかります。全世界で10万人以上の方が罹患して4000人以上が亡くなっているのですから、歴史的な災禍と言っていいでしょう。そこまで考えると、日本はよく踏ん張っている方だとも思います。もちろん、この先はまだまだ予断は許しません。今は、安倍首相が言うような瀬戸際というより土俵際、それも徳俵でどうにか持ちこたえている感じです。

それを思えば、KCPの卒業式が吹っ飛んでも、私が多少不細工な挨拶をサイトにのっけても、良しとしなければなりません。世界の全人民が力を合わせないと、コロナウィルスに席捲されてしまいます。私も、卒業生を送り出した後の今度の土曜日はせいぜいゆっくり休ませてもらい、体をいたわっておこうと思っています。

日本語教師養成講座へのお問い合わせはこちらへ

どうなっちゃうの

3月10日(火)

報道によると、3月1日から9日までの東海道新幹線の利用者が、前年比56%減だそうです。KCPもとんでもないことになっていますが、日本社会はそれ以上にとんでもないことになっています。

だって、東海道新幹線のお客が半減以下ですよ。東名阪という日本経済の背骨が細り、大動脈に血が流れなくなっているということです。株は少し値を戻したようですが、一時は1万9千円を割り込むなど、市場は弱含みのようです。オリパラが終わったら不景気になると言われていましたが、半年ぐらい前倒しで経済の落ち込みが始まってしまったのでしょうか。目が離せない状況が続きます。

そもそも、オリパラだってどうなるかわかったもんじゃありません。日本が一人コロナ肺炎を抑え込んだとしても、世界的な流行が収束していなかったら、選手団や観客を入国させるわけにはいきません。中国やアメリカが来なかったら、オリパラが国体になってしまいます。それじゃあ開催する意味がありません。

暖かくなったらコロナの勢いが衰えるというのは淡い期待だと言っている専門家もいます。コロナウィルスは風邪のウィルスの一種ですから、そういう考えも成り立ちます。私たちはこれから、肺炎を引き起こすおそれのある種類のコロナウィルスと共存していかなければならないのかもしれません。

マスクやトイレットペーパー・ティッシュペーパーを巡る嫌な話が、毎日のように報じられています。そういう報道に接すると、日本全体が自分たちの美質を発揮する余裕もないくらいに追い詰められてしまったのかと思わされます。不景気とかオリパラの行方とかコロナウィルスとか以前に、日本人がどうなっちゃうのかしっかり見ていかなければなりません。

日本語教師養成講座へのお問い合わせはこちらへ