Category Archives: 自分自身

今年を振り返ると

12月27日(水)

昨日、所用があって、新宿駅の西口に出ました。ニュースで聞いていましたが、小田急百貨店が跡形もなく消えていて、歩道もバスターミナルのすぐ近くまで迂回していました。あまりの様変わりに、ただただ驚くばかりでした。KCPから西口まで、距離にして1キロちょっとですが、私の守備範囲は紀伊国屋書店までですから、西口の地上を歩くことはめったにありません。調べてみたら、小田急新宿本館の閉店は去年の10月、解体が本格化したのは今年の春ぐらいだったんですね。

考えてみると、この1年、通勤定期の経路の駅で外に出たことがあるのは、上野と日本橋と銀座と新橋ぐらいかもしれません。しかも、そのほとんどが用事を済ませたらまたすぐ地下に潜るという具合で、それぞれの街をゆっくり楽しむということはしていません。新宿だって、駅そのものは利用しましたよ。でも、地上は歩かなかったなあ、この1年。実に狭い世界で生活していたものです。夏休みなどには遠征もしますが、土日の休みに東京都内をもっと見なければいけませんね。いや、そもそも、個人的な用事を通勤定期の範囲内で済まそうというせこい根性からたたき直す必要があります。

というわけで、来年の目標は、「東京23区すべてに足跡を印す」ということにしましょう。数えてみると、今年は12区でした。通過を含めるともう少し増えますが、23区には遠く及びません。また、墨田区、葛飾区、江戸川区、豊島区は学校行事のおかげで足を踏み入れた区です。ですから、倍増ないし3倍増しないと目標は達成できません。容易な目標ではありませんが、挑戦してみます。

よいお年をお迎えください。

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大掃除の誇り

12月26日(火)

年末の恒例行事と言えば、大掃除です。普段目や手が行き届かないところを拭いたり磨いたり掃いたり水洗いしたりします。

私の担当は、まず、朝のうちに1階の給湯室。湯沸かしポット内にクエン酸を入れて、水垢を落とします。落とさなくてもお湯の供給に影響があるわけではありませんが、電熱効率が悪くなりますから、省エネのためにも年に1度くらいは掃除をしておいた方がいいです。それから、流しの排水部の清掃。排水口にたまっていたごみは、先週、流れがあまりに悪くなったので捨てました。ついでに、ごみ溜めも洗っておきました。ですから、今朝はパイプクリーナーを入れてしばらく放置するだけでした。他の先生方がいらっしゃる前に終わらせようと思ったのですが、湯沸かしポットのお湯が沸くのに時間がかかり、少々はみ出してしまいました。

午後は傘立ての受け皿の掃除。各教室とラウンジから受け皿を集めてきて、ひたすら水洗いです。油を吸ったほこりが受け皿にまとわりついていますから、水をかけても水をはじいてしまいます。雑巾を使ってこそげ落としましたが、細かいところは指先で掻き出すような感じでした。要らない歯ブラシをうちから持って来ておけばよかったと思いました。それにしても、こそげ落としたほこりの多いこと。掃除用の流しの排水口が何回も詰まりました。そして、この仕事は、冬場ではなくて夏にするべきですね。半袖短パンで、外の流しで水を勢いよくぶっかけるのが、一番きれいになりそうです。

私が受け皿を掃除している間に、別の先生が傘立て本体を磨いて、ほこりを落としてくださいました。新学期に登校した学生たちはきっと何も気づかないでしょうが、でも、そういう仕事をしたということに、ちょっとした誇りを感じます。

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レオナルドダビンチ

12月15日(金)

昔、会社勤めをしていたころ、私の課長が「便利屋をバカにしたらいかん。どんなことを頼まれてもそこそここなさなければならんのだから、それなり以上の能力を持っているってことなんだ」と言っていました。課長の上司である部長は、何かというと課長に仕事を命じていました。他にも課長はいたのに。課長が命じられた仕事の一部は、私のところに流れてきました。その際に、上述のような、愚痴とも余計な仕事を命じる言い訳ともつかぬ、うがった見方をすれば私を便利屋にしようと教育しようとしていたのかもしれない言葉を私に掛けたのでした。

午前中の授業が終わって、明日大阪の大学の面接試験を受けに行く学生に最終の指導をしていたところに、急な代講を頼まれました。面接指導が終わり、レベル担当のF先生から簡単な説明を受け、漢字の教科書を持ってそのまま教室へ向かいました。今日案も何もあったもんじゃありません。

代講の場合、学生の顔も名前も満足に知らないクラスに入るのが普通ですから、本来の先生ほど授業をスムーズに進められません。でも、だからと言って、授業の質を落とすわけにもいきません。特に、今は学期末ですから、次回以降の授業で挽回という手は使えません。

私は、一番下から一番上まで、各レベルで1学期を通して教えたことが何回かあります。ですから、「教科書のこのページ」と言われれば、どうにかできます。ここが、便利屋の面目躍如のところです。日本語授業に加えて、理科や数学までやっているのですから、まぎれもない便利屋です。

「便利屋」という言葉にはネガティブなニュアンスが伴いますが、「万能の巨匠」だと思えば立派なものじゃありませんか。私は、この仕事を楽しんでいます。

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「ば」考

12月9日(土)

夜になると随所でイルミネーションがきらめき輝き、それにスマホを向ける人たちは、美しさに酔うというよりは、獲物get!といった顔をしています。そんな人たちを包むように、街にはクリスマスソングが流れています。

毎年繰り返される光景ですが、毎年気になることがあります。それは、「ば」です。

クリスマスソングの定番「恋人がサンタクロース」の歌詞には「ば」がたくさん出てきます。“今夜8時になればサンタがうちにやってくる”“大人になればあなたもわかる”“明日になれば私もきっとわかるはず”…という具合です。

日本語文法では、一般に、確定条件においては、前件を「ば」ではなく「たら」で表すとされています。「ば」は仮定条件で使うと、どの文法書にも書かれています。「駅に着いたら連絡します」は〇だけど、「駅に着けば連絡します」だと、駅にたどり着けるかどうかわからないような感じがしませんか。

「恋人がサンタクロース」の歌詞はいかがでしょう。“大人になればあなたもわかる”は、わかるための条件が大人になることだとも受け取れるので、ぎりぎりセーフかもしれません。でも、“今夜8時になればサンタがうちにやってくる” “明日になれば私もきっとわかるはず”はそういう見方もできません。とはいうものの、聞き慣れてしまったからなのでしょうが、さほど強い違和感もまたないのです。みなさんはいかがでしょうか。

養成講座の初級文法では、確定条件には「ば」は使えないと言い切っていますし、レジメにも明記してあります。「恋人がサンタクロース」は偉大なる反例なのですが、なぜ変な感じがしないのか、そこが気になっているのです。

うちの前のショッピングモールは、今夜も「恋人がサンタクロース」を流していることでしょう。それを聞きながら、「ば」に違和感がないことに違和感を抱きつつ、足早に通り過ぎるのでしょう。

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あちこちのクラスで

11月28日(火)

午前中は中級クラス、午後は初級クラスの代講に入りました。代講は決して嫌いではありません。日本語プラスなどを通して知っている学生の実態が見られたり、以前教えた学生のその後を知ることができたり、隠れた才能を見いだせたり、あるいは悪名がとどろきわたっている学生の現状を観察できたりなど、通常クラスの授業をしているだけでは得られない情報が得られたり、思わぬつながりができたりするからです。

午前中の注目は、Kさんです。日本語プラスでは地頭の良さを見せていますが、日本語の授業ではどうなのでしょう。ランダムに指名しても答えられるし、全体に問いかけた時にも口火を切ってくれるし、日本語クラスでも活躍しているようです。仲のいい友達とのおしゃべりが少々気になりましたが…。また、Dさんは日本語プラスのときよりもしゃべれるのにちょっと驚きました。

4月期に教えたPさんとSさんは、相変わらずやる気があるのかないのかわからない授業態度でした。Sさんは隣のRさんがスマホいじりに熱中するとつついていましたが、自分だってスマホを決してしまおうとしません。全く変わりませんね、半年前と。

午後のクラスには、先学期教えたJさん、Lさん、Hさんがいます。漢字が弱かったJさんは、指名するとやっぱり漢字が読めませんでした。よく宿題を忘れていたLさんは、漢字の宿題をやってきていませんでした。Hさんの字の汚さも、全く変わっていませんでした。でも、Jさんの会話力はピカ一だったし、Lさんの勘の良さも健在だったし、Hさんのひたむきさは、教師としてはうれしいものです。

今学期は代講要員的な面もありますから、これからもあちこちのクラスに入ることでしょう。入ったクラスごとにそのクラスの飾らぬ姿を見せてもらうことにします。なんだか、水戸黄門の諸国漫遊みたいになってきました。

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職権乱用

11月21日(火)

中間テストからちょうど1週間たち、各クラスの採点結果が出そろいました。日本語プラスや以前受け持ったクラスなどの学生や、問題ありで目を付けている学生、逆に希望の星として追いかけている学生、そんな学生たちの成績をこっそりのぞき見するのが、この時期の私の楽しみです。

「目標は東大です」と言い切った新入生のTさんは、残念ながら不合格の科目があります。テスト形式に慣れていなかった面もあるかもしれませんが、暗雲が漂い始めています。勉強のしかたが悪いとなると、今後無駄な努力を積み重ねかねません。早く手を打ちたいところです。

先学期レベル1で私のクラスで優秀な学生だったFさん、Pさん、Wさん。今学期も素晴らしい成績です。この勢いだと、中級か上級でまた教える時期も、案外早く来るかもしれません。変なものにつまずかないで、順調に伸びていってください。病欠がきっかけで崩れていった例が山ほどあります。健康に気を付けてください。

日本語プラスでお世話しているDさんとLさんは、まあまあの成績でしょうか。日本語力がついてくれば、受験勉強も弾みがつきます。2人とも理解力がありますから、何でもどんどん吸収していけるはずです。来年6月のEJUに照準を合わせていますが、大いに期待が持てます。

Kさん、Sさん、Aさんは、成績が入力されていません。中間テストの日に欠席し、追試も受けなかったのでしょう。来学期進級できないことがほぼ決定です。進学の方もうまくいっている気配はありません。こういう何にもしようとしない学生に限って、最後にこちらを頼るんですよね。KCPの教師は阿弥陀如来ではありません。

あ、そうだ。選択授業のクラスの学生たちを忘れてた…。

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軽さゆえの?

11月7日(火)

先週のこの稿に書いた風邪がなかなか抜けません。熱は出ないのですが、咳が完全には止まりません。のどもじわじわと痛痒いようないがらっぽさが続いています。龍角散では太刀打ちできないと見て、昨日、学校の近くの医者に診てもらいに行きました。

そこは10年ぐらい前に通って以来ですから、診察券が使えるかどうか心配でした。診察券は受け付けてもらえましたが、感染症予防のためとのことで、待合室から外に出されてしまいました。例年の11月ならちょっと耐えられないでしょうが、今年はちょうどいい陽気ぐらいの感じでした。文字通り本の立ち読みをしながら待つこと数分、白衣の先生が出てきて、症状を聞きました。「熱はないが、10日ほど前から咳が出てのどが痛い。夜、せき込んで寝られないことがある」と答えると、また数分後に看護師さんが処方箋を持ってきました。1160円、ちょうどおつりなしで払えたので、引き換えに領収書をもらいました。看護師さんが私を見て、外で待たせてもひどくなるようなことはないだろうと判断したんでしょうね。

保険で3割負担ですから、元値は3900円弱。医師と看護師の人件費、処方箋発行の手数料、医院の賃料、その他公租公課、用役費を考えると、それほどとんでもない額ではないのかもしれません。でも、何とも軽く扱われた感じがしてなりませんでした。その足で薬局に寄って処方箋の薬をもらっておこうと思ったら、お薬手帳を持ってくるのを忘れたのに気が付きました。取りに学校に戻ったら、仕事の海に飲まれて、結局行けずじまいでした。

お昼に外に出たついでに、薬をもらってきました(…と日本人はよく表現しますが、ちゃんと代金を支払っていますから、厳密には買っているんですよね。保険で7割引きですから、四捨五入したら「もらう」になってしまうのでしょうか)。すると、なんと、7種類の薬を渡されました。昼食後に飲むよう指定された薬は、4種類6粒。寝る前の飲むのが2種類。腕に貼る経皮吸収の薬もありました。夜せき込むことがあるという症状に対処した薬を出しておいてくれたのです。

受験生の面倒を見ている身としては、「金原先生に風邪をうつされて受験できなかった」などと言われないようにしなければなりません。今度の日曜日は、EJU本番です。

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再マスク

10月31日(火)

この3年余りの間は風邪らしい風邪をひきませんでした。言うまでもなく、マスクのおかげです。愛用の龍角散も減ることなくタンスの中に納まっていました。ところが、先週の半ばごろからのどの調子がおかしくなり、実は先週の柴又は咳をこらえつつ歩き回っていました。龍角散も出動しました。

昨日あたりからは、鼻水とたんも加わってきました。たんは、龍角散を飲んでいるから出やすくなっているのかもしれません。咳と鼻水とたんでいかにも風邪ですが、熱は全然出ません。家でわきの下で測っても、学校で額で測っても平熱です。だからこうして出勤してきているわけです。

とはいえ、席と鼻水とたんですから、声が思うように出せません。午前中はN先生の代講でしたが、しょっちゅう声が裏返りそうになり、なんだか落ち着きませんでした。学生もおかしくて笑いたいのをこらえてくれていたのかもしれません。さすが、最上級クラス、こういうあたりはよくわきまえています。

それにしても、マスクの威力は大したものだと思います。風邪も感染症のうちですから、ついでに完璧に抑えてくれていたんですね。今年の春、マスクを外すとき、風邪の心配もしたのですが、マスクを外す爽快感に負けて、風邪のことはひとまず忘れることにしました。その結果が、これです。

どこで拾ってきたのかわかりませんが、今はこれを学生にうつさないように気を付けるだけです。どのクラスにも受験生がいますから、当分の間はまたマスクのお世話になります。インフルエンザが流行っていると言いますから、予防のためにしばらく続けた方がいいのかもしれません。

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混雑に思う

10月28日(土)

昼食のついでに用事を済まそうと、ちょっと丸ノ内線に乗りました。私の出勤時の早朝より混んでいることは当然として、帰宅時よりも乗客が多く、乗り込むのに一苦労しました。混んでいますからすべての駅で乗り降りに時間がかかるのでしょう、若干遅れ気味でした。反対方向の電車も同様でした。ベビーカーの方が、肩身が狭そうにしていたのが印象的でした。

現在、平日の日中と土曜休日の丸ノ内線は5分おきの運転です。でも、昼間見た光景は、明らかに本数が少ないことを意味しています。乗客全員に座らせろとまでは言いませんが、車内で身動きするのがはばかられるような状況は、適切な混雑具合とは言いかねます。休日の日中にたまに乗る銀座線も、丸ノ内線よりはましですが、できれば敬遠したいぐらいに混んでいます。せっかく増えつつある外国人観光客も、「東京では、地下鉄には絶対乗るな」なんてSNSに流しているかもしれません。

東京メトロも、本数を増やしたいのかもしれません。しかし、本数を増やせない事情があるのかもしれません。それは、運転士不足です。今、運転士がいないためにバスや電車を減便または路線を廃止せざるを得ない会社が、全国各地にあります。大阪郊外のバス会社に至っては、年内に廃業するそうです。それぐらい、人手不足が深刻化しています。大阪の例は関係自治体がどうにかするとのことですが、やがてそんなことすらできなくなってしまうかもしれません。

交通機関に限らず、福祉施設でも学校でも商店でも病院でも、働き手がいないためにしかるべき活動(サービス)ができない例が激増しています。今、この瞬間に出生率が2.5に跳ね上がったとしても、若い働き手が増えるのは20年後です。いや、そのはるか以前(=2.5になった直後)に、急増した赤ちゃんや子供をお世話する人手が足りなくて、世の中がしっちゃかめっちゃかになってしまうでしょう。

用事は済みましたが、また混んだ丸ノ内線に乗ると、暗い気持ちになりました。

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秋空

10月6日(金)

気象庁のサイトによると、最近は最高気温の上位10地点が沖縄の観測点で占められています。暑さの盛りの頃は、常連の熊谷とか多治見とか、あるいは東北地方でも福島とか山形とか盆地が上位に名を連ねていました。沖縄は、多少渋滞に巻き込まれたとしても車で30分も走れば反対側の海岸についてしまうくらいの幅しかないくらい海に囲まれていますから、真夏日にはなっても、猛暑日にはなりません。10月ともなると、今度は海の保温機能が働き、また、南にあることから、いつまでたっても涼しくならないのです。

KCPの前の道に出ても、高いビルに囲まれていますから、空はとても狭いです。でも、その空が、朝からとても高く、また、雲一つなく晴れ渡っていました。これだけ照っても東京の最高気温は25℃をやっと超えた程度でした。ひと月前だったら猛暑日間違いなしだったんですがね。そして、朝の最低気温は17.9℃で、今シーズン最低でした。熊谷は15.1℃、多治見に至っては11.2℃でした。いずれも今シーズン最低です。11.2℃だったら、暖房を入れているかもしれませんね。

私は今週から日本語教師養成講座の授業をしています。2階の教室ですから、空は見えませんでしたが、日差しは見えました。澄んだ空気の明るさが感じられ、こんな日は教室で授業じゃなくて外を歩きたいなと思いました。そんなわけで、お昼はちょっと遠くまで行き、食事を済ませてから公園で本を読みました。風がやや強かったですが、心地よかったです。

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