Category Archives: 自分自身

騒音にも負けず

6月27日(木)

先月の健康診断の結果、再検査・精密検査となってしまい、午後からMRIを受けてきました。MRIは、30年以上前にぎっくり腰になった際に受けたような気がしますが、記憶がはっきりしません。

そういう検査専門の施設に行くと、まず問診票。この問診票の注意書きによると、マイナンバーカードを保険証として使っていると、最近の病歴に関する質問には答えなくてもいいとのことでした。こんな形で情報が巡っているんだと感心させられました。私の場合、最近のめぼしい病歴と言えば、足の骨折と歯の根っこの膿を手術で取り出したあたりでしょうか。どちらも、もう治療が終わっています。あとは、定期的に診てもらいに行っている病院通いぐらいです。誰かがこんな情報を手に入れたところで、何の役にも立たないでしょう。でも、中には他人に絶対知られたくない病歴を持っている方もきっといます。そういう方は、この問診票の注をどう気持ちで読むのでしょう。

検査着に着替えて検査室へ。頭を固定する器具が備わったベッドに横たわると、検査中はうるさいからと、ヘッドホンを渡されました。そのヘッドホンを付けると、白いトンネルの中に送り込まれました。ヘッドホンからはヒーリングミュージックみたいなのが流れてきましたが、MRIの機械から発せられる音は、そんなのをものともせずに耳に響いてきました。MRIは強力な磁場を利用した検査ですが、磁場を発生させる際に大きな音を伴うとは、どんな発生法だろうと考えているうちに、検査は終わってしまいました。

結局、磁場の発生法は、わかりませんでした。来週は、検査結果を聞きに、また病院へ行きます。

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地下活動

6月17日(月)

午前中の養成講座の授業が終わって一息ついていたら、「ちょっと地下室まで来ていただけませんか」とN先生に引っ張られました。「あ、練習ですね」と言いつつ下りていきました。

地下室では、演劇部が練習に励んでいました。次の公演は、来学期のコトバデーです。私もチョイ役を頼まれていましたから、どんな感じか見に行ったという次第です。

練習が始まって日が浅いのでしょうか、出演する学生たちは台本を見ながら立ち位置と動きを確認しつつセリフを言っていました。私も台本を渡され、登場場面でセリフを言いました。学生たちは「先生、上手ですね」という顔をしていましたが、こちとら60年以上も日本人をやっていますから、1行足らずのセリフを感情込めて言うくらい、朝飯前です。

以前も演劇部のステージに立ったことがありますが、今回はそれよりもセリフが多いです。最近記憶力が衰えてきましたから、セリフが全部覚えられるかどうか心配です。学生相手出なければアドリブでどうにかするという手も使えますが、突然台本にないセリフを聞かされたら、学生は混乱に陥るでしょう。ですから、せめて台本に近い内容のことを言わなければなりません。

台本がスラスラ読めたのは上級のSさんぐらいで、初級や中級の学生はつっかえつっかえで棒読みにもなっていませんでした。でも、つっかえたところを教え合ったり、身振り手振りを加えたり、動きながらストーリを確認したり、本番を成功させようという意欲はひしひしと伝わってきました。

本格的な練習は新学期が始まってからでしょう。間違っても足を引っ張ることなどないように、私も努力し寝ければ。

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666

6月6日(木)

令和6年6月6日、しかも大安。縁起がよさそうな日です。だからというわけではありませんが、来学期の新入生のプレースメントテストをしました。もちろん、学生たちは来日していません。オンラインでの試験です。パンデミックですべてがオンラインになってから、新入生のプレースメントテストは、来日前にオンラインで行うようになりました。パンデミックが収まってからも、来日前に済ませてしまった方が日程に余裕ができますから、プレースメントテストはオンラインでしています。

私は、午前中のテストで中級以上の日本語力と判定された新入生たちが、中級以上のどのレベルに当たるか判定するテストの試験監督をしました。試験監督といっても、パソコンを眺めて、所定の時刻に所定の問題を送り、所定の試験時間後に解答を提出させ、また新しい試験問題を送り、所定時間後に回収するという、腰かけたままできる楽な仕事でした。教室での試験では、受験生の間を歩き回らなければなりませんから、たとえ受験者が少なくてもずっと座っているわけにはいきません。しかも、みんな中級以上ですから、少しゆっくり目に話せば日本語も通じます。こんないい商売はありません。

画面上に映し出された受験生たちは、日本語がよくできると思って見るからでしょうか、みんな賢そうに見えました。受験生の背景の部屋は、きちんと整理整頓されていました。日本でもこういう生活を続けられれば、順調に力を付けて志望校に入れるんだろうなあと思いました。

試験は無事終わりました。「日本で会いましょうね」と言いながら画面に手を振ったら、みんな手を振り返してくれました。この学生たちに実際に会うのは、来月の入学式です。

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アラーム発報

6月3日(月)

午前中T先生の代講をすることになっていたので、朝、1人でその準備をしていると、職員室のあちこちでけたたましい警戒音が鳴り響きました。「地震です、地震です」という声に驚いてスマホを見ると、6:32。「富山湾で地震発生」とスマホは叫び続けます。富山湾から東京までなら1分ぐらいかかるだろうと思うと同時に、震度は最大4ぐらいかなと思いました。いや、緊急地震速報が出るということは、東京でも震度5クラスかもしれません。そうなったら、富山や能登半島は震度7だろうかと、悪い方向に想像が広がりました。

しかし、1分経っても2分経っても揺れは来ませんでした。気象庁の最新の地震のページはちょっと混んでいましたが、ほどなく入れました。見てみると、石川県の最大震度が5強でした。ということは、気象庁が予測したのに比べてだいぶ弱い地震だったようです。だいぶ弱いと言っても、震度7と比べての話ですから、5強だった地域のみなさんは、さぞかし肝をつぶしたり冷やしたりしたことでしょう。

学生たちは大半が夢の中だったようです。代講のクラスでこの話を持ち出しても、反応は薄かったです。今朝は結果的に何もしなくてもよかったですが、地震大国ニッポンは適切に反応しないと命にかかわることだってありえます。今朝の私だって、何はともあれ机の下に身を隠すべきだったでしょう。

これをお読みのみなさんは、どんな行動を取られましたか。何もなさらなかったみなさんは、今回は結果オーライでしたが、次回も同じだという保証はありません。警報が空振りだったら、訓練だと思えばいいのです。本棚の前の席から動かなかった私も、自戒を込めて警報の後にするべきことを洗い直してみます。

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トラブル

5月29日(水)

W先生がご病気なので、代講をしました。

いつもそうなのですが、代講で教室に入ると、学生の表情が一瞬引きつります。変な奴が来たと思われているのでしょうか。以前教えた学生がいると、その学生だけは、微笑みかけてきたり手を振ったり、なにがしか懐かしげな仕草や表情を見せてくれます。今朝はCさんが目を輝かせてくれました。そんな学生の顔を見ると、こちらも緊張が解けます。アウェイであることは確かですが、少しでもホーム感があると、気持ちが落ち着きます。

ところが今朝は、出席を取ろうとタブレットを開いたところ、画面が固まって動かないではありませんか。知っている限りのリカバリー法を試しましたが、解決には至りませんでした。5分前に教室に入ったのに、9時になって学生はそろっているのに、こちらの準備は整っていませんでした。

タブレットはあきらめて、紙の名簿で出席を取りました。出席はそれで済みましたが、聴解の授業などで使う予定をしていましたから、「このタブレット、死んでますねえ」とかって言いながら、授業を組み立て直しました。作動しないという意味の“死んでいる”は、このレベルの学生たちは知らない用法なので、一瞬ではありますが、学生を引き付けられます。そんな姑息な手も使って、態勢を立て直します。漢字の時間にもタブレットを使いたかったのですが、それもあきらめて普通に教科書を使うだけにしました。その他、ディクテーションや発音練習といった、タブレット不要のメニューを並べて、どうにか前半を切り抜けました。

かろうじて前半を無事に終わらせ、職員室に戻りました。タブレットを交換し、また教室へ。教室で動作チェックをし、授業に臨みました。今度は普通に動きました。前半にできなかった授業を次々に行い、進度の帳尻を合わせました。W先生ほどの授業はできなかったでしょうが、必要最低限のラインは確保したつもりです。質疑応答がけっこう盛んにできましたから、学生たちもそこそこ満足してくれたんじゃないかなと思っています。

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発掘

5月22日(水)

来月、校内で大学大学院進学フェアが開かれます。それに参加してくださる大学の紹介資料を作っています。学生が知っている大学と言ったら東大と早稲田ぐらいですからね。その東大と早稲田も、名前を知っているという程度で、どれだけ“すごい”大学なのかは、誰も知らないでしょうね。そんな程度の情報しか持ち合わせずに志望校を決めたら、間違いなく後悔します。そうならないように、学生の選択肢を少しでも広げようと、進学フェアを開催するのです。

さて、その紹介資料を作るには、まず、それぞれの大学のページを参考にします。キャンパスの所在地、学部・研究科の構成、学部と大学院の学生数、学部卒業生の大学院進学率など、大学の基礎データを集めます。授業中に毎日1校ずつ各クラスでその日の先生に紹介していただくので、詳しいことまでは載せません。詳細はフェア当日に担当の方に聞いたり、もらったパンフレットで調べたりしてもらいます。

ところが、この基礎データがサイトのわかりやすいところに置いてある大学と、なかなかたどり着けない大学とがあります。A大学は学部と大学院研究科の全体像がつかめず、B大学は大学院進学者数を見つけるのに一苦労どころではなく、C大学はキャンパス所在地を示すわかりやすい地図がなく、…という調子で、思ったより仕事がはかどりませんでした。

ここで精根を使い果たしてしまうと、その大学を学生に印象付けるネタを探してこようという気が湧いてきません。D大学もそんな大学でした。こちらは多少付き合いがありましたからいくらか情報があり、それを基に学生が食いつきそうな画像を見つけ出しました。

私がこんなに苦戦するのですから、学生がある大学について知ろうと思っても、入試日程やせいぜい奨学金ぐらいしか情報が得られないかもしれません。そうすると、その大学は、学生にとってその他大勢の1つに過ぎません。これでは受験生の確保も危ういのではないでしょうか。

私だって、調べた結果興味が深まった大学には、フェアの当日さらにもっと話を聞いてみようと思うでしょうし、学生にも薦めてみようとするでしょう。そうすると、私の口車に乗って、1人ぐらい出願し受験し合格し、入学するかもしれません。

大学のみなさん、お忙しいこととは存じますが、使いやすいホームページを作ってくださいね。

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一応治りました

5月20日(月)

雨が上がってからだいぶ気温も上がりましたが、朝は寒いくらいでしたね。先週から夏装束ですが、今朝はさすがに半袖で家を出る気にならず、しっかりカーディガンを重ねました。

午前中、カーディガンを羽織り、傘を差して整形外科まで足のけがを見てもらいに行きました。今月で骨を折ってからかれこれ4か月になります。3月からは月に1回の通院で、痛い目に遭わされるわけではありませんが、病院というところは、やっぱり心弾むところではありません。

撮ったばかりのレントゲン写真を見た先生は、「痛みがないということですから、今回でとりあえず治療終了ということにしましょう」と言ってくれました。「新たに何か症状が現れたら、また来てください」ですから、仮釈放といったところでしょうか。

そうです。あくまでも仮釈放です。「骨が完全にくっつくには1年かもっとかかるでしょう」とのことですから、少なくとも来年の今ぐらいか夏休みあたりまでは、骨を折った左足にはあまり負担をかけないに越したことはありません。飛んだり跳ねたりは、まだまだ禁物です。とはいえ、連休は連日3万歩以上、山道も含めて歩き回りました。そんな無茶をしてもレントゲンで異常なしだったのですから、自信を持っていいのかもしれません。

ただ、ギブスやサポーターで足首を固定していたせいで、左の足首の動きがぎこちないです。右に比べると可動範囲が狭まっているような感じがします。こちらは自分で足首を回しながらでもほぐしていくほかないでしょう。先生に聞き忘れてしまいましたが、もう足裏マッサージは解禁でいいのかな。だったら、久しぶりに行きたいんですが…。

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座りっぱなし

5月18日(土)

昨日は川越課外授業でしたが、今学期の次の学校行事は、6月10日の大学・大学院進学フェアです。参加校がほぼ決定しましたから、来週あたりから学生たちに進学フェアがあることを伝え、進学するつもりが少しでもあるのなら必ず出るようにと指導していきます。

教師が口で出ろといくら繰り返しても、学生はそう簡単には動きません。ですから、パワーポイントで視覚に訴える資料を作ることにしました。参加校には、学生誰もが知っている大学もあれば、日本人には有名でも留学生には無名な大学もあります。また、学生たちが知っていると言っても、名前と偏差値レベル程度でしょう。ですから、パワーポイントで各大学のそれ以外の特徴を紹介して、学生たちに具体的なイメージを明確に持ってもらおうと思っています。

そう思って資料作りを始めると、私自身も各大学について特別詳しいわけではないことを痛感しました。例えば各大学の学部卒業生の大学院進学率を調べてみると、意外と高かったり低かったりしました。各大学のウリは何かとなると、かなり気合を入れて調べなければなりませんでした。まず、私がその大学に入りたくならなければならないんですよね。

試行錯誤を繰り返しながらでしたから、参加予定校の3分の1ほどで終わってしまいました。でも、資料作成の要領はつかめましたから、月曜日以降ははかどることでしょう。

昨日は朝から1日中川越の街を歩きつづけましたから、スマホの歩数計が3万4千歩余りを記録しました。しかし、今、歩数計を見てみたら、わずかに3729歩。そうだよね。お昼にちょっと外に出ただけで、ずっとパソコンの前だったもんね。そのぐらい根を詰めて作ったんですから、学生のみなさん、来週の大学紹介、見てね。見なくても10日は必ず出てね。

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大阪の巨星墜つ

5月16日(木)

やはり、キダタローさんが亡くなったことに触れなければならないでしょう。私はもちろんお会いしたことはありませんが、探偵ナイトスクープで深く印象付けられました。

昨年新たに入局した桂二葉に対して、きれいな大阪弁を使っていると評していました。私も、アクセントに乱れがなく、「してはる」という敬語を過不足なく使っていることなどから、聞いていて気持ちがいいなと思っていました。キダタローさんも同じように感じていたのかと、自分の耳に自信を持ちました。

このほかにも、「浪花のモーツァルト」と呼ばれていたり、かに道楽やアホの坂田の作曲をしたりと、常に大阪を愛し、大阪に軸足を置いた活動を続けていました。その活動は、芸能人というよりは文化人というべき幅広さでした。大きく言えば、近松門左衛門からの系譜を継ぐ人でした。

私は東京生まれで東京育ちと言ってもよい人間ですが、そういうキダタローさんが好きでしたし、だから注目もしてきました。そんな方が亡くなり、寂しい限りです。キダタローさんの後が継げる人って誰でしょう。すぐには思い浮かびません。こう考えると、実に偉大な人物を失ったものです。

キダタローさんの死因は報じられていませんが、93歳という年齢からすると、老衰に近かったのでしょうか。でも、老衰というのは、生前のキダタローさんのエネルギッシュさからほど遠い気もします。いずれにしても、今頃は空の上で探偵ナイトスクープ初代局長の上岡龍太郎さんと旧交を温め合っていることでしょう。

ご冥福をお祈りいたします。

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教えやすい

5月10日(金)

F先生の代講で入ったクラスには、先学期レベル2で教えた学生が数名いました。また、日本語プラスで顔見知りになっている学生もいましたから、クラスの半分ぐらいは知っている学生でした。ですから、授業の終わりごろにはだいたい顔と名前が一致してきました。

そうすると、当然、顔と名前とできる・できないが紐づけられます。だから、この問題はこの学生に答えさせてみようとか、ここはあの学生の意見を聞いてみようとか、逆に、この学生からはろくな答えが返ってこないだろうから指名するのはやめておこうとか、授業を組み立てる面白さが感じられるようになってきます。

Qさんは、最初に指名した時に全然答えられず、その後こっそりスマホをいじっているのを見つけましたから、私の心の中では最低レベルにランク付けされました。Yさんは、発音はイマイチですが、前向きな姿勢が感じられ、上級でまた会いたいなと思いました。Nさんは先学期も教えた学生ですが、順調に伸びているのが感じられ、このまま力を付けていってほしいと思いました。Gさんも、相変わらずよくしゃべり、このクラスでも中心的存在のようで、安心しました。

何より、このクラスは学生たちの仲がいいので教えやすかったです。冷たい雰囲気のクラスだと、学生同士が名前を覚えません。このクラスは「じゃあ、次は◎△さん」なんて、学生が言い合っていましたから、学期が始まって1か月ほどでよくなじんでいるんだなと思いました。

こういうクラスの代講なら、もう一回ぐらい入ってもいいですね。

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