Category Archives: 自分自身

はなむけ? 遺言?

3月2日(水)

卒業間近の最上級クラスといえば、KCPに入学した学生が到達できる最高の日本語レベルだと考えられます。逆に考えると、そういう学生たちでも間違える点は、日本語を学ぶ外国人が一番難しく感じる点であり、教師が最も教えにくい事項であるとも言えます。

その最上級クラスで短文を書かせたら、「TOEFLで40点しか取らなかったから…」という文が続出しました。これでは、本当は80点ぐらい取る力があるのに、わざと間違えて40点に点数調整したと受け取られかねません。

可能動詞は「みんなの日本語Ⅱ」の27課で勉強します。それ以後、中級や上級の教師は、可能動詞の作り方や活用にミスには厳しく目を光らせてきましたが、その使い方については系統立てて教えていないんじゃないでしょうか。日常的にめったに使わないN1の文法項目よりも、こっちを優先してあげたほうが、学生のためになるのではないかと思います。ためにはなっても、初級の文法項目を深めるのって、学生にとっては一見退屈に感じられるんじゃないかな。

教えるのが難しいって、まさにこの点だと思います。学生を引き付ける魅力的な教材、学生の頭にすっと浸透していく効果的な練習、そういったものを作り出し、実行していくのが難しいのです。それを避け続けてきたから、最上級クラスの学生が上述のような例文を作ってしまうのです。

私が間違いを指摘し解説すると、学生たちは、これはまずいと言わんばかりにノートを取っていました。今学期は初級の文法項目なんだけど奥が深いものを選んで、それを掘り下げてきました。私から卒業していく学生たちへのはなむけの言葉(いや、遺言かな?)として訴えてきたつもりです。

花園神社のテント

2月27日(土)

お昼に出た時、花園公園の横を通ったら、公園内にテントが張られ、オレンジと白のコーンがいくつも重ねて置かれていました。何だろうと思ってコーンにつけられている標識を読むと、東京マラソンのための交通規制をするためのものでした。都庁前を出発し、靖国通りを通って市ヶ谷へ抜けるコースですから、花園公園のコーンは明日の朝、靖国通り上に置かれるのでしょう。ホームページによると、このあたりは8:35から10:40まで交通規制が行われるとのことです。

東京マラソンは、KCPでは、Y先生が以前お出になったことがあります。K先生も毎年応募しているのですが、まだお呼びがかかったことはないそうです。Y先生が出られた時、K先生がうらやましそうになさっていたのを覚えています。市民ランナーにとって、それぐらい憧れの的なのです。

私は、42.195kmを走り抜くことは到底できません。でも、都庁から東京ビッグサイトまで歩いてみたいとは思いますし、歩けるとも思います。ただ、東京マラソンは9時スタートで16時ごろまでにゴールしなければなりませんから、平均時速6キロで歩き続ける必要があります。それはちょっと苦しいかなって思います。

コースも、欲を言うと城南地区を回ってくれたら、私の若かりし頃の思い出の場所も通るのですが…。でも、下手に渋谷あたりを通ると、アップダウンが激しすぎて、いい記録の出にくいコースになってしまいますね。新宿からビッグサイトまでなら、基本的に下り坂です。品川・浅草間は往復していますが、そこは平坦な土地です。よく考えられていますね。

明日は歯医者の予約を入れていますから、東京マラソンは結果だけニュースで聞くことになりそうです。

すらすら

2月24日(水)

最上級クラスの読解をしました。読解授業のお決まりのパターンで、テキストを数行ずつ音読させました。教材を配り、ざっと黙読させて、すぐに指名して読ませたのですが、ほとんどつっかえないんですね、どの学生も。もちろん、私たちとは違うイントネーションやアクセントになることはありますが、明らかに文字ではなく文を読んでいます。昨日は上級クラスだったのですが、そこの学生とは段違いです。授業内容が3、4レベル違いますが、音読のレベルもちょうどそれくらい違います。

彼らは日本語を母語同様にとらえ、母語と同じシステムで処理しているのでしょう。我々が文章を音読するときと同じように、目だけ少し先に進ませて、次にどんな流れがあるかを把握しながら声を出しているので、滑らかに読み進められるのです。昨日のクラスの学生たちは、そこまでは至らず、いわば自転車操業で読み上げているから、滑らかさに欠けるのだと思います。

昨日のクラスの学生たちだって、曲がりなりにも上級クラスですから、全日本語学習者の中で位置づければ相当高いところになるはずです。今日の学生たちは、そのはるか上を行っているのですから、N1とかっていうのを超越しています。そういう学生たちを教える私って、かなりすごいのかな……。

授業見学をした方たちからはしきりに感心されますが、やってる本人は学生たちをいびりたおして楽しんでるところもあります。一見隙のなさそうな学生たちの弱点も知っていますし、それが同時に学生たちの求めているものでもありますから、それを学生たちにちらつかせながら授業をしているのです。

卒業式まで10日、最後の最後まで楽しませてもらいます。

冷たい南風

2月23日(火)

寒い日が続いています。日曜日は例外的に暖かかったですが、それ以外は10度にやっと届くかどうか、あるいは数字は高くても体感的にはパッとしない日々です。心配なのは、バス旅行の日、金曜日の鴨川の気温です。お天気はまあまあみたいですが、予想気温が10度と出ています。目的地のシーワールドはその名の通り海っぱたですから、風が強いでしょう。ということは、10度といっても5度か7度かそんな感じかもしれません。

以前バス旅行で鴨川シーワールドへ行ったときは夏でしたから、風が心地よいくらいでした。でも、今は2月ですからそうはいかないでしょう。気温で20度近くまで上がってくれないと、暖かいって感じはしないでしょうね。

海っぱたの風で思い出すのが、新入社員の実習で行った北海道の工場です。その工場は北海道に南岸にありましたから、海風は南風でしたが、あんなに冷たい南風は、あとにも先にもあの時だけです。5月とはいえ、海から吹き込む風はかなり強く、私にとってはブリザードに近いものがありました。

さすがに鴨川ではブリザードにはならないでしょうが、ある程度の覚悟はしていかないといけません。南房総の2月といえば菜の花のイメージですが、そんなつもりで行くと1日中震え上がっていなければならないでしょう。

問題は、学生たちにそれをどうやって伝えるかです。彼らは若いですから、私のような年寄りよりもずっと寒さへの耐性があるのかもしれません。でも、私よりもずっと風邪を引きやすいということは、それは耐性ではなく、寒さの感受性が鈍いだけかもしれません。

明日は各クラスでしおりを配って日程などの説明をします。卒業直前に集団風邪なんてことがないように、がっちり注意していきたいです。

言霊

1月9日(土)

始業日に渡す、先学期の成績表を作っています。単純に中間テストや期末テストの点数を記入し、合格か不合格かを伝えるだけなら楽なのですが、1人1人にコメントを書くのが頭脳的に重労働です。「頑張れ」だけならどうということはありませんが、先学期の3か月間を振り返り、伸びた学生はほめ、出席率の芳しくない学生は叱り、合格が決まった学生にはお祝いのことばを送り、成績の思わしくない学生を励ましてって考え、しかも私の気持ちが効果的に学生に伝わるような表現を探していくとなると、1人の学生のコメントを書くのに意外と時間がかかるのです。

私も最初からこんなに力を入れていたわけではありません。コメントの言葉を選ぶようになったのは、もうだいぶ前に卒業したHさんがきっかけです。Hさんは卒業式の後のパーティーで、「先生が成績表に書いてくれた言葉が励みになって志望校に合格できました。その成績表、これからもずっと取っておきます」と、これだけは伝えなくちゃっていう顔つきで言ってきました。

これはとても名誉なことでしたが、同時に自分が発した言葉の重みをひしひしと感じさせられました。教師の言葉ってこんなにも強い影響力を持つのかと身の引き締まる思いがしたことが、Hさんの笑顔とともに今でも私の頭に深く刻み込まれています。

それ以後、成績表のコメントにはいい加減なことがかけなくなりました。先学期も、非常に腹立たしい学生が数名いましたが、そういう学生にも、いや、そういう学生だからこそ、コメントに知恵を絞りました。

言霊っていうくらい、日本では昔から言葉の力は畏れられていました。言葉を教えることを職業にしている私は、二重の意味でこのおそれを感じなければならないわけです。来週から、このおそれに立ち向かっていきます。

多国籍

1月4日(月)

そのラーメン屋さんに入ると、明らかにベトナム人の名札を付けた店員さんが働いていました。その人が大学生なのか専門学校生なのか日本語学校生なのかまではわかりませんでしたが、なんとなく応援したくなりました。電車に乗っても、スーパーへ行っても、ベトナム語っぽい言葉が飛び交っていることがよくありました。

私が毎年泊まるホテルは、部屋の掃除担当者が名前の入ったカードを置いていきます。その名前に、フィリピン人と思われる名前が書かれていた日がありました。年末年始の名古屋は、今まで以上に多国籍でした。

スペイン語かポルトガル語かよくわかりませんが、その系統の言葉もいたるところで耳にしました。名古屋を中心とする中京地方は、自動車産業を始め、製造業が活発です。そこで働く外国人が大勢住んでいますから、そういう人々の言葉が街にあふれているのも当然です。地下鉄のアナウンスにも、取り入れられていました。

もう一つ、街に外国人の子どもが多いように感じました。もう少し正確に言うと、外国人の親に連れられた子どもが目立ちました。日本人は少子化がどんどん進んでいるのに、日本に定住している外国人は、自国にいるのと同じように子どもを作っているんじゃないでしょうか。言葉の壁もあるだろうし、日本人が嫌がる3K職場で給料も決して高くないかもしれませんが、いや、だからこそ、子どもが宝に思えるのでしょう。

名古屋は毎年年末にしか行きませんから、博物館などがいつも休館中です。名古屋城ぐらいはだいぶ前に行ったことがありますが、主だった博物館は鉄柵の外から眺めるだけです。今回も、東山動物園・植物園を外からのぞき、その周りの「東山1万歩コース」なる6.2キロの散策コースを歩きました。好天に恵まれ、高台の上から名古屋市街が見下ろせて気分はよかったのですが…。今年こそは、どこかの休みで腰を据えて名古屋市博物館や徳川美術館あたりを見学したいものです。

お正月は、エルニーニョの影響か、日本中がぽかぽか陽気で、重装備がまさに重く感じられました。仕事始めの日から面接練習やらわがままな学生の対応やら、正月休みのリフレッシュをすべて帳消しにするような仕事ばかりで…。今年も忙しいんでしょうね。

何もしていない

12月18日(金)

期末テストが来週の火曜日に迫っていますが、まだ1問も作っていません。こんなに問題作成が遅れたのは、初めてです。私が担当している超級は、毎学期授業内容が違うため、以前のテストの使い回しができません。だから、読解も文法も漢字も新たに作らねばならないのですが、それが全然進んでいないのです。

端的に言って、忙しすぎるというのがあります。通常のクラス授業のほかに、受験講座を抱えているのが大きいです。学期の最初は、日本語教師養成講座の授業も受け持っていました。志望理由書や想定面接問答の添削を求める学生がいつになく多かったです。志望校の過去問をやってきて、採点してくれという学生も何名かいます。また、今学期は土曜日が1日中会議になるパターンが多く、土曜日に仕事をやりためておくこともできませんでした。トドメは代講の多さです。

明日の土曜日こそは試験問題作成と思っていますが、朝から面接練習や進学相談などがあり、どうなることやら心配なことこの上もありません。土曜日出勤制度が始まったころは、土曜日にまとまった仕事ができましたが、最近は平日とあまり変わらないくらい諸事多端で、思うように能率が上がりません。学生が熱心に勉強するのは喜ばしいことなのですが、このままでは、うれしい悲鳴が本物の悲鳴に変わりかねません。

でも、試験当日になっても問題ができていなかったら、学生は喜ぶでしょうね、「テストを作っておくから、明日もう一度来い」なんて言わない限りは。まあ、最悪、こうすればいいという心積もりはありますから、そんなことにはしませんけど。

そうそう、私は年賀状もはがきを買っただけで、まだなんにもしていません。出すのは10通ちょっとなので毎年手書きですが、数年前に旅先のホテルで書いて投函したということもありました。来週の金曜日は仕事納め、土曜日は朝一番で東京を離れる予定を立てています。あと1週間ですから、期末テストの問題も、馬力で乗り切っちゃいたいです。

切腹? 打ち首?

12月8日(火)

授業で裁判や刑罰関係の語彙が出てきたら、いつの間にか話がそれて日本の裁判制度や刑務所、果ては切腹と打ち首の違いにまで広がってしまいました。今日は授業のスケジュールが詰まっていたわけではないので、学生の興味の赴くままに成り行き任せの授業をしました。

初級だとこういう授業は許されませんが、上級はだんだん何でもありになってきますから、たまにはこんな日があってもいいのです。今日は、いつもは口数が少ないLさんやYさんが発言していましたから、それなりの意義はあったと思っています。それ以外の学生も、日本の死刑は絞首刑だとか、刑務所はどこも定員オーバーで困っているとか、切腹は名誉の死刑だとか、そんな話にうなずいたり、何十年も死刑囚のままでは残酷だとか、日本は麻薬に甘いとかという意見を言ったりしていました。

こんな教科書外の授業は、毎週生教材という形で取り入れてはいますが、今日みたいに自然発生的にテーマが生まれてくることは、そんなに頻繁にあることではありません。だから、学生たちの自由に発言したいという気持ちや、知りたいという意欲を優先して、成り行き任せにしたのです。

でも、なぜ裁判や刑罰が学生の心に火をつけたのかまではわかりません。ということは、今後どんな話題で盛り上がるか、見当がつかないというわけです。このクラスは盛り上がるポイントがつかめずに困っていたのですが、今日は盛り上がったものの、今後どうすれば盛り上げられるかは、手探り状態のままです。

私は、観光地・網走刑務所の人形はリアリティー満点だみたいなネタはたくさん持っていますから、盛り上がる方向がわかれば、今日のような授業は好きです。知ってても使い道がない知識や情報を授業で有効活用できれば、これに勝る幸せはありません。

明日は超級クラスと、身近な科学。どんなネタで盛り上げましょうかねぇ。

Lさんのノート

12月2日(水)

今シーズンの選択授業・身近な科学は、学生たちにノートを取らせ、それをチェックしています。最初はノートの取り方にかなりの差がありました。回を重ねていけばその差が詰まるだろうと思っていたのですが、今のところそういう気配はありません。いつも要領よくまとめている学生は、パワーポイントの中から本当の要点を抜き出してノートにしています。その一方で、毎回ろくなノートになっていない学生もいます。Lさんがその代表格でしょうか。Lさんは、授業中私の話を聞いていないわけではありません。きちんと反応していますし、居眠りや内職をしているようにも見受けられません。しかし、ノートを見る限り、Lさんの頭には何も残ってないんじゃないかって思えてきます。

Lさんは超級の学生ですから、理解力はかなり高いはずです。だから、授業後に口頭試問でもすれば、そこそこの答えはできるんじゃないかと思います。しかし、「聞く」と「書く」を同時にするのは、Lさんにとっては至難の業なのでしょう。でも、このままじゃ進学してからが心配です。大学の講義は、たとえ教科書があっても、先生の話を聞き取ってメモしておくことが必須ですから。先生の生のことばの中にこそ、真実や最新の情報が含まれているものです。

私のほうにも反省点は多々あります。ノートを取らせるということは考えずにパワポのスライドを作っていますから(…というか、去年のスライドの使い回しですから)、スライドの字数が多すぎたり、逆に大事なことばがスライドになかったり、図表がわかりにくかったり…。しゃべってる本人がこれだけ気付いているんですから、聞かされてる方はたまったもんじゃないですよね。

今年は思いつきでノートを取らせるってことを始めましたが、来年はしかるべき準備をして、同じことをしてみたいです。

あいたたたっ

11月24日(火)

三連休をずっとうちで過ごしたおかげで風邪はどうにか峠を越してもうすぐ治りそうな気配になったのですが、ゆうべ、風呂場で腰を痛めてしまいました。立ったり座ったり歩き始めたりという動作の変化が一番しんどく、歩き続けるなど、同じ動作を続けている分にはさほど痛みは感じません。ただし、歩くスピードはいつもの半分くらいですが。

これじゃどうしようもないので、どうせ慢性の腰痛と診断されるんでしょうが、授業後、学校の近くの整形外科へ行きました。すると、背骨の一番下にある椎間板が薄くなっていて、何かの動作の際に骨が神経を刺激するとのことでした。寝ている間に時々脚がつることがあるのですが、それも椎間板が薄くなっているために脚に向かう神経が刺激されて起こるのだという説明でした。

説明はよくわかったのですが、やはりこれといった治療法はなく、電気マッサージと痛み止め、シップという、今までにもしてきたような治療と、医者に診てもらうまでもない対症療法です。そのうち痛みが治まり、小康状態になったらいつの間にか治療中断というパターンでしょう。

起きている間に知らず知らずのうちに傷ついた体を治すのは、睡眠だそうです。だから、睡眠不足だと傷が治りにくくなるのだそうです。身近な科学で睡眠について調べていたら、こんなこともわかりました。私の慢性腰痛の一因は、睡眠不足にあるのかもしれません。でも、私は6時間も寝ると、腰が痛くなって目が覚めます。体勢を大きく変えないと、続けて眠れないのです。それから、バーベキューの後から今朝まで、本当によく寝ましたから、ゆうべ風呂に入った時点では、全然寝不足ではありませんでした。要するに、老化が着実に進んでいるということでしょう。

老化が進むのはしかたのないことですが、動けなくなるのは困ります。仕事ができなくなるから? いえいえ、遊びに行けなくなるからです。人生の楽しみが消えてしまいます。