Category Archives: 自分自身

心配事

11月20日(木)

木曜日の上級選択授業・身近な科学は、毎回授業の最後にその日の授業内容に関するクイズを出します。それにどんな答えを書くかで、その学生がどれくらい真面目に話を聞いていたか見当がつきます。スマホでこっそり調べればわかってしまう問題のときもありますが、大体はスマホで調べた結果をそのまま書くと“こいつ、やったな”と気が付いてしまうものです。

チャイムが鳴って、みんなクイズの答えを出して教室を出て行きましたが、Lさんが黙々と答えを書いていました。Lさんは毎回話をしっかり聞き、クイズにもきちんと答えてくれます。自分のとったメモを見返しながら真摯に答えようとしますから、みんなよりいくらか遅くなることもあります。

せかすことなく教卓周りの片づけをしていると、3分遅れぐらいで出しました。“さようなら”と言って帰っていくのかと思いきや、「先生、日本で一番地震が少ないところはどこですか」と質問。先々週の身近な科学で取り上げた地震についての質問でした。

「難しい質問だなあ…。山口には大きな電波望遠鏡のアンテナがあるんだ。地震が起きるとアンテナの位置が微妙に狂って正確な観測ができなくなるから、地震が少ないところを選んだって聞いたことがあるけど」「本当ですか? 山口ですね」「いや、地震保険の値段を調べてみたら。地震が起きる確率が低いところは安いはずだから」「地震保険ですか。調べてみます」…

Lさんはいずれ日本に住みたいのですが、地震のない国出身ですから、地震は怖いです。先々週の私の話を聞いて、夢が潰えそうになっています。日本はどこで大地震が発生してもおかしくないと言っちゃいましたから。

その後、話が弾んで、フォッサマグナや活断層と原発についてまで、30分ぐらい話し込んでしまいました。どれもLさんにとってはネガティブな話ばかりでしたが…。

先々週のクイズにはグーグル先生かチャット君にお伺いを立てたと思われる答えも散見されましたが、授業をきっかけに関心を深めた学生もいるとわかると、やっぱりうれしいものです。

日本語教師養成講座へのお問い合わせはこちらへ

模範解答と面接

11月19日(水)

いろいろとしなければならないことが多く、上級クラスの中間テストの採点が延び延びになっています。どうにかしなければと午前中奮起しようとしたのですが、このテストの模範解答がありません。せっかく時間に少し余裕ができ、やる気も湧いてきたのですから、ここで挫折するのは癪です。

こういう時は、よくできる学生の答案用紙に頼るに限ります。候補として、Aさん、Zさん、Yさん、Bさんを選びました。最初の問題の答えを比べると、Aさんが全問正解で、他の3名はいくつか間違っていましたから、Aさんの答えを土台に模範解答を作ることにしました。次の問題以降もAさんの答えを参考にしながら解いていくと、すらすら問題が解けました。最終的にAさんは93点で、模範解答選びは大正解でした。

さあ採点に移ろうと思ったところに、午後のレベル1のクラスの学生が面接に来ました。午後クラスは授業後にたくさん面接をするわけにはいきませんから、午前中に持ってきます。いつの間にか、最初の学生Cさんの面接の時間になっていました。Cさんの次はXさんが控えています。Xさんの面接が終わるころには、午後の授業の準備を始めなければなりません。採点はまたも延期になりました。模範解答ができたという大きな進歩がありましたから、多とすることにしましょう。これさえあれば、意外と短時間で採点できそうな気もします。

面接では、2人とも、クラスの雰囲気がいいと言ってくれました。確かに、マイナスのオーラを出している学生はいませんから、教える方も楽しいです。でも、楽しい、楽しいで勉強が上滑りしてはいけません。そこのところは引き締めていかなければなりません。ためになる授業もしなければね。

日本語教師養成講座へのお問い合わせはこちらへ

束になってかかってこられてます

11月14日(金)

昨日の中間テストの採点が、一向にはかどっておりません。火曜日に行った選択授業小論文の採点も、半分ほど残っています。計画では昨日までで小論文の採点は終わっているはずだったんですがねえ。机の上にはテストの束が4つ、小論文の原稿用紙が20枚ほど、デスクトップの中には会話テストの録画が1クラス分、採点を待っています。

私の場合、自分で教材を作らねばならない授業が多く、そちらを優先せざるを得ないため、中間テストの採点を先送りにしているという図式です。それでも、レベル1のクラスの採点は、すぐに手を付けないと各方面にご迷惑をおかけしかねませんから、何とかしたいと思っています。

さらに、来週月曜日にはレベル1の漢字テストがあり、宿題プリントを回収することになっています。レベル1は、勉強(授業)内容は難しくないのですが、細かいところまで目配りをしておかないと、変な癖がついてしまわないとも限りません。

それから、受験シーズンですから、その関係の面接練習や志望理由書のチェックや進路相談などといった仕事が飛び込んできます。こちらへいらっしゃった学校さんのお話もしっかりお聞きして、有益な情報へと昇華させて、KCPの学生が他校の受験生との競り合いに勝てるようにしていきます。

そんなこんなで、やること満載のまま、週末を迎えてしまいました。来週いっぱいぐらいまで、授業やら採点やらの締め切りをかろうじてかわす綱渡りの日々が続きそうです。

日本語教師養成講座へのお問い合わせはこちらへ

絶望的?

10月2日(木)

面接練習をしたいということで朝9時に呼んだHさんが、9時になっても来ませんでした。よく遅刻する学生ですから、そのうち「寝坊しちゃいました」なんて、頭をかきながら入ってくるのではないかと思っていたのですが、9時半になっても何の連絡もありません。10時から打ち合わせが入っていますから、今さら来られても、ろくな面接練習ができません。

10時の打ち合わせが終わり、1階に下りてきたのが11時過ぎ。Hさんが来た気配はありませんでした。席に戻ると、下痢をしたので遅れるというHさんからのメールが10時過ぎに入っていました。しかし、私は12時に病院の予約を入れていましたから、中途半端な時間に来られても待たせるだけになってしまいます。12時半に来いというメールを送って、病院へ向かいました。

病院は待ち時間もなく、検査の結果を聞くだけでしたから、あっという間に終わってしまいました。「異状なし」と告げられただけです。ですから、12:15には学校に戻っていました。

結局、Hさんが来たのは12:45頃でした。言い訳を聞く時間も惜しいので、すぐに面接練習を始めました。意地悪な質問もしましたが、Hさんは黙り込んでしまうことなく、苦し紛れではなさそうなまっとうな受け答えをしてくれました。他の質問も水準以上の内容でした。しかし、言葉使いがいけません。Hさん自身は後で緊張していたと言っていましたが、「やっぱ」とか「めっちゃ」とかくだけた言い方が随所に出てきました。本番でこの話し方をしたらアウトだろうなと思いました。

自分の思いを口から訴えられない学生が大勢いる中で、どんどん言葉が出てくるHさんは頭の回転の速さも感じられ、立派なものだと思いました。でも、タメ口に近い話し方では、お堅いイメージのあるG大学は拾ってくれないでしょう。

それよりも何よりも、受験当日に下痢だろうと頭痛だろうと発熱だろうと、大幅遅刻は門前払いです。そもそも体調管理ができないような受験生には、合格の資格などありません。あさっての朝は、ちゃんと決められた時間までに行ってくれるでしょうか。それが一番不安です。

日本語教師養成講座へのお問い合わせはこちらへ

本番

10月1日(水)

先週末、SさんからT大学に提出する志望理由書の添削を頼まれました。誤字脱字はありませんでした。それぐらいはAIが見てくれるのでしょう。直さなければ絶対に落ちるだろうというような、致命的におかしな部分もなく、このまま出してもどうにかなりそうな感じはしました。しかし、T大学は“ダメではない”程度で入れてくれる大学ではありません。何か光るもの、とがった部分が欲しいところです。Sさんの志望理由書に最も欠けているのがそれでした。土台が他大学に出した志望理由書で、それに多少手を加えてT大学向けに書き直したものです。そういう文章になる方が自然であり、右から左へと流れ作業でこなして書き上げた文章という感じが拭えませんでした。

そういう意味のことを返信すると、丸一日ほど経ってから、改訂版が送られてきました。今度は自分で調べ考え、字数制限に合わせて推敲を繰り返したと思われる志望理由書でした。どこの大学にも通用しそうな内容が消え、その代わりにT大学の特徴をとらえた志望理由が書かれていました。だいぶとがってきたかなという印象でした。これ以上とがらせると、お読みになる先生によっては嫌悪感を抱かれるのではないかと思い、不自然な日本語表現を指摘してOKを出しました。

程なく、そこを直して志望理由書が無事完成したというメールが届きました。T大学の出願はこれからですが、このくらい時間に余裕を持って動いてもらいたいものです。明日締切なんていう時に志望理由書を送り付けられても、こちらも焦ってしまい、じっくり読んで手を加えるどころではありません。

さて、Sさんの志望理由書は私の手を離れました。次は面接練習でしょうか。面接練習と言えば、明日は朝からHさんを鍛えなければなりません。

受験の秋、本番です。

日本語教師養成講座へのお問い合わせはこちらへ

朝から暑いですね

8月26日(火)

わりと最近まで、夏の高校野球は、開会式の頃はまだまだ夏の盛りだけど、決勝戦の頃は秋風が立ち始めると言われていました。しかし、今年は決勝戦が終わっても、秋の気配などまるでなく、東京は猛暑日が続いています。明日以降も当分猛暑からは解放されそうにありません。

私は朝暑くなる前に学校に着きますが、それでもシャワーを浴びたいほどです。炎天下を歩いてきたわけでもないのに、汗でシャツが肌に張り付きます。大気に熱がこもっている感じがします。風もほとんどないので、その熱が体にまとわりついて、汗を噴き出させます。

職員室は前日夜のエアコンの冷気がすっかり抜けてしまっていますから、学校に着いて真っ先にすることは、エアコンをONにすることです。1階ロビーは熱気がこもっていて、さらに汗が滴ります。職員室にこもって体を冷やしてから、正面玄関の鍵を開けます。

そんなことをしているうちに、毎朝計ったように6:24に来るKさんが職員室のドアをノックします。「おはようございます。今日も頑張って勉強します」と挨拶して、2階のラウンジに向かいます。ラウンジのエアコンをつけて、ガンガン冷やしてあげます。熱中症で倒れてしまいでもしたら、大騒動ですからね。

その後の小一時間は、私にとってはゴールデンタイムです。誰もいない静かな職員室で、集中力を要する仕事をします。今朝は、授業で使う教材を一気に仕上げました。予定より早くできましたから、来週の教材の素案を練りました。この時間、自転車操業には欠かせないひとときです。

日本語教師養成講座へのお問い合わせはこちらへ

見下ろす

8月25日(月)

夏休みは、丸々福岡にいました。

16日(土)の朝いちばんの飛行機で福岡へ行きました。右手に志賀島を見て、博多港の貨物ターミナルの真上を通り、博多駅の新幹線ホームに降りるんじゃないかというくらいの勢いで市街地に突っ込み、さあ着陸だと、7時55分20秒、21秒、22秒、23秒、24秒、25秒と秒読みしましたが、最後のドスンというショックが来ません。それどころか、急上昇し始めました。筑後川らしき流れが見えてきたころに、機長からアナウンスがありました。「滑走路に鳥が止まっていましたので、着陸をやり直します」とのことでした。エンジンから火を噴いたり、オーバランしたりしたらとんでもないことです。約15分後に再着陸し、無事到着しました。めったにできない体験をさせてもらえました。

福岡城跡・鴻臚館、伊都国歴史博物館・高祖山、宗像大社、志賀島一周、可也山、直方・若松、能古島、板付遺跡・金隈遺跡・奴国の丘歴史資料館といったところを回ってきましたが、みなさんの食指は動きますか。

毎朝、ホテルのバイキングで意地汚く2食分詰め込み、日中は人跡稀なるところを歩き回り、シャワーを浴びたかのように汗をかいて、夕方ホテルに帰り着くという日々を送りました。毎日、スマホの歩数計で2万歩ぐらい歩きました。おかげで衣服からはみ出た手足はたっぷり日焼けし、冬まで黒白がくっきりしていることでしょう。

上述のように、今回は縄文時代から古代までを中心に見て回りました。そういった時代における、この地方と大陸との距離の近さが実感できました。より一層興味を掻き立てられました。また、標高は数百メートルにも満たないものの、眺めがいい山にいくつも登りました。空気中の水蒸気が若干多めでしたから、めちゃくちゃ遠見が利いたわけではありませんでしたが、山のてっぺんから平野部を見下ろすのは気持ちがいいものです。「あれがこれか」と、実際の景色と地図とを突き合わせるのも、実に楽しいです。

帰りの飛行機は、何事もなく定時出発、定時到着でした。東京は、福岡よりずっと暑かったです。

日本語教師養成講座へのお問い合わせはこちらへ

最終日ですが

7月19日(土)

明日は参院選の投票日ですが、今回の選挙ではまだ一度も候補者を見かけていません。もっとも、1日の大半をKCPの校舎内で過ごし、学校の前の細い道にまで入り込んでくる奇特な候補者などめったにいるものではありませんから、当然のことかもしれません。候補者本人を見かけると情が移るというのは、無党派層の浮動票の典型パターンなのでしょうか。

私は、どんな選挙でも、ごく普通の有権者として候補者の政策を吟味すると同時に、日本に住んでいるのに投票権のない学生たちの考え思いも加味しつつ投票します。学生たちが暮らしやすい国や都や区にしてくれそうな候補者を選びます。そういう選び方は、この学校の利益にもつながりそうですからね。

今、迷っているのは、石破さんの扱いです。私は、安倍さんと石破さんが争っていたころに石破さんの著書を読んで、石破さんのファンになりました。その石破さんが、去年、やっと首相になって喜んだのですが、その後どうもパッとしません。石破さんの著書にあるような考え方で政治を進めてくれれば、学生たちにとっても暮らしやすい方に向かって行きそうな気がします。しかし、現状の石破さんにはかなりの縛りがあって、そうできないようにも見えます。本当にそうなら、私の1票は別の所に投じざるを得ません。

そうは言っても、その代わりが見つかっていません。信を置けそうな情報源に頼ると、みんな頼りなさそうに映ります。候補者本人に出会って情を移してみたいのですが、どうやらそうなる前に選挙運動時間が終わってしまいそうです。かといって、棄権はしたくありません。

どうすればいいでしょう。

日本語教師養成講座へのお問い合わせはこちらへ

地元の病院?

7月3日(木)

午前中、眼科へ行きました。その眼科は、大学病院ほどではありませんが、総合病院の中にあります。その病院で受けた定期健康診断の眼底検査で引っ掛かって以来、もう10年以上にわたって、学期休みごとに定期的に診てもらっています。

診てもらった結果、目の方は異常なしでしたが、先生から、家の近くの眼科で見てもらったらどうかと言われました。症状が安定していますから、クリニックで経過観察を続けていくことで十分だというのが1つの理由です。もう1つの理由は、その病院がどうやら人手不足のようなのです。そんな意味のことを、先生がチラッと口になさいました。

病院にとって、私のような慢性病の経過観察だけの患者は、決していいお客ではありません。診療報酬は国によってがっちり決められていますから、もうけにはつながりません。昨今の人件費をはじめとする諸経費の高騰を賄うにはあまりに貧弱でしょう。だから、そういう患者の代わりに検査や治療をバンバンする患者を取り込んだほうが、病院の経営には好ましいです。

朝、病院へ向かう時にはまっさらだったポスター掲示板に、学校へ戻るときには数枚のポスターが張られていました。参議院議員選挙が始まりました。上述の問題も、医療費を高くすれば解決するというほど簡単な話ではありません。減税を訴える党もありますが、トランプさん対応や福祉や国土の脆弱化(八潮陥没事故がその典型)など、日本を取り巻く環境はさらにお金がかかる方に動きそうです。

20日まで、じっくり考えさせてもらうことにしましょう。

日本語教師養成講座へのお問い合わせはこちらへ

朝の小旅行Ⅱ

7月2日(水)

1か月ほど前に、地下鉄の運転見合わせにぶち当たって、銀座から新宿まで小旅行をした話をこの稿に書きました。今朝は、運転見合わせとかではなく、いつもと違う経路で出勤しました。

いつもは最寄駅から地下鉄を乗り継いで新宿御苑前駅まで来るのですが、今朝はメトロの向かいにあるJR駅から電車に乗り、新宿まで来ました。

私が乗るんですから、朝の一番電車です。常磐線は1両に数名もいないくらいガラガラでしたが、日暮里からの山手線は座席がサラッと埋まる程度のお客さんがいました。田端で立つ人が出て、池袋から高田馬場までは反対側の窓が見えないほどの混雑でした。新宿では、私も含めた降りたのと同じくらいの客が乗ったのではないでしょうか。

新宿は、南口に出ました。地下鉄への乗り換えには遠回りになりますが、乗り換え時間が10分もあったので、めったに行かない街の様子も見てきました。5:20をちょっと回ったくらいの新宿駅南口は、すでに寂しくない程度の人が行き交い、車も、渋滞こそしていませんでしたが、両方向けっこうな台数が走っていました。バスタには夜行バスが到着し始めているころだったのでしょう。

メトロの駅まで地上を歩きました。朝から雨という予報が出ていたのに、薄日が差していましたから、夜の疲れがにじみ出ているはずの街が明るく見えました。どこかの店員さんが、ゴミを出していました。

御苑の駅には、いつもの電車より7分早く着きました。いつもファミマの前あたりですれ違う人とも出会わず、そのまま学校へ。

7分早い1日が始まりました。

日本語教師養成講座へのお問い合わせはこちらへ