Category Archives: 成績

納税期

12月17日(火)

期末テストが近づくと、年貢の納め時の学生があちこちに現れます。中間テストの時は、まだ学期が半分残っている、期末テストで逆転して見せると、多少の余裕も見られます。追試再試の先送りもよくある話です。しかし、期末テストとなると、そんな余裕もなくなり、受けるべきテストの先送りも許されなくなります。未受験のテストは0点だったものとみなして平均点を算出しますから、そのせいでその科目が不合格になることだって十分あり得ます。

Gさんはその年貢を一生懸命納めようとしています。不合格だったテストを次々と受け、なんとか合格点にまでこぎつけようとしています。直前まで2階のラウンジで勉強し、1階に下りて来てテストを受けるという繰り返しです。覚え込んだことを忘れないうちにテスト用紙に書き込もうという魂胆です。瞬間最大風速みたいな点数を出して、ぎりぎりでも合格しようというつもりです。

その作戦が功を奏してか、このところ受けた漢字や表現のテストは、どれも合格点を取っています。平均点も合格点を確保しました。あさってが期末テストですから、そうやって無理やりにでも詰め込んだものが、多少は残ってることでしょう。図らずも期末テストの勉強にもなっているのです。

Gさんはそうやってどうにか年貢を納め切って、期末テストでひどいことにならなければ進級できそうです。その一方で、LさんやZさんは置かれた状況はGさん以上に厳しいものがあるのですが、動いてもいませんし、動く気配すら見せていません。進級をあきらめてしまったのでしょうか。Kさんも当落線上にいるはずなのですが、自覚が感じられません。私が買い物に出た時、恋人と腕を組んで歩いていました。

ここに登場したみなさん、果たしてメリークリスマスになるのでしょうか。よい新年を迎えられるのでしょうか。

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メモ魔歓迎

11月16日(土)

中間テストの聴解を採点しました。すべて記号(番号)で答える形式でしたから、採点そのものは楽でした。できると思っていた学生は高得点を取り、授業中からダメっぽかった学生はせいぜいぎりぎり合格点で、結果はおおむね予想通りでした。

高得点の学生とできない赤点の答案用紙を比べると、メモの量が全然違いました。100点だったSさんも95点だったCさんも90点だったGさんも、みんな細かい字で聞き取った情報をメモしていました。80点以上だった学生は、ほとんどが、母国語であったとしても、メモ欄を大いに活用していました。

一方、最低点だったLさんをはじめ、不合格になった学生は、メモ欄がほぼ白紙でした。何も聞き取れなかったのかもしれません。Jさんは、授業中の様子を見る限り、満点に近い成績だろうと思っていたのですが、80点に届きませんでした。メモ欄は真っ白でした。Jさんもきちんとメモを取っていれば、高得点組に名を連ねたのではないでしょうか。

授業で聴解をするときは、メモを取るようにと口を酸っぱくして注意しています。しかし、ボーッと聞いているだけの学生は、どのクラスにも必ずいます。聴解問題には何を聞き取るのかという指示がありますが、それすら理解できず、だから何をメモすればいいかわからないという可能性もあります。そうなると、どこから指導していけばいいかわからなくなります。

とはいえ、中には聴解の天才がいます。数年前の学生Kさんは、ずっと集中して問題を聞き、決してメモを取りませんでした。そして、問題が終わるや否や、自分の答えの番号をマークしました。最後に採点すると、正答率は、悪くて9割でした。爪の垢をもらっておくべきでした。いや、聴解ですから、煎じて飲むなら耳の垢の方が効き目があるでしょうか。

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選択

10月31日(木)

「7月の私はバカでした」と、日本語プラス物理の授業が終わった直後にWさんが叫びました。Wさんは理系の学部に進学しようと思っています。6月のEJUの理系科目で思った以上の高得点を取りました。そこで喜んで東京の有名私大への進学を考え始め、資料を集め始めました。「A大学とB大学と、名前を言ったときのインパクトが強いのはどちらですか」なんていうような質問もしてきました。「A大学もB大学も知らない人がいないくらい有名だけど、それは文系の大学としてだから、理系の学部はあまりお勧めしないな」などと答えると、不満そうな顔をしていました。

ところが、最近になって、ようやくそういった有名私立大学は授業料が高いことを知り、また、自分が勉強したいことが勉強できそうもないこともわかり、冒頭の発言に至ったというわけです。「国立のZ大学は書類審査だけですから、6月の点数で合格できるかもしれません」と。すぐにでも出願しそうな勢いだったのですが、結局出願せずじまいでした。それもまた後悔につながっているようです。

「国立のY大学とX大学に出願しようと思っていますが、私の点数で合格できますか」なんていう質問をするようになりました。どちらの大学も、はっきり言って田舎にあります。そういう大学の名前を、決していやそうな顔でなく口にするようになりました。夏あたりは大学に入ってチャラチャラするつもりもあったようですが、このところは堅実な考え方に向かっています。

Wさんの変身の影にはVさんがいます。同じ理系のVさんは、ずっと国立と言っていました。そして、C大学やD大学のようなチャレンジ校のほかに、U大学やT大学のような、自分の勉強したいことが勉強できて、なおかつVさんの成績で手の届きそうな大学を見つけてきています。間近にそんな友人がいると、Wさんも自分の志望校を見直してみようという気になったのでしょう。

2人とも11月のEJUで点数の上積みを狙っています。そして、本当の意味での志望校に挑戦しようと思っています。EJUは、10日後です。

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経験者は強い

10月15日(火)

日本語プラスが始まりました。午後から、11月のEJUに向けた授業をしました。

まずは記述。初めて記述に挑戦する学生もいましたから、記述の全受験生平均は33点だから、最低でも35点は取れなどという目標点数と、文章構成を説明しました。制限時間30分で400~500字の文章を書くのですが、やはり経験者は早いですね。書き上げてあまりに暇そうにしていましたから、間違いがないかどうか、もう一度読み直せと指示を出したほどです。

次は理科。こちらも2科目で80分という制限時間内でどんどん答えていかなければなりません。各問は決して難しくないのですが、1問2分程度で答えを出さなければならないところに難しさがあります。5分かけても答えが出せなかったらとりあえず後回しにしろという指示を出して、問題を解かせました。60分ほどで初挑戦組の1名がギブアップしました。知識が足りなかったと言っていましたが、問題文の日本語の読解ができなかったというのが最大の要因ではないかと思います。

さて、記述を採点してみると、やはり上級の学生は50点に近い成績でした。中級になると、35点がやっとぐらい。初挑戦組は400字に達しないというか、結論に至らなかった学生もいました。来週は、そういうあたりをフィードバックして、書くスピードを上げるようにしていきます。

理科も、経験者組が圧勝でした。ケアレスミスを犯さなければ、本番でも高得点が期待できます。経験者組は「国立」と言っていますが、十分可能性があります。

本番まで1か月足らずの短期決戦です。こちらも油断なく身構えて行かねばなりません。

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点数は正直

10月4日(金)

先学期の担当クラスのデータチェックをしていたら、会話の中間タスクと期末タスクの成績が未入力でした。これでは学生に成績表を渡せませんから、急いで入力しました。

中間タスクはペアでのロールプレイ、期末タスクはグループで調べたことの発表でした。中間タスクは普通体でのくだけた会話、期末タスクは丁寧体でのわかりやすい説明を見たことになります。どちらもコミュニケーション力を構成する太い柱です。だから両方ともできてほしいのですが、そういう学生はなかなかいません。唯一、Lさんが中間も期末も高得点でした。Lさんは授業中の発言も多く、同国人にも母語を使って話すことはありませんでした。やっぱりねという感じでした。

次はHさんとPさんでしょうか。Lさんよりは発言が少なかったですが、普段から話すときは単語や単文止まりではなく、勉強した表現も織り込んで、考えたことを伝えていました。CさんやGさんは、会話よりも発表が高得点でした。この2人はおとなしいので、会話のキャッチボールよりは自分のペースで調べたことを語る方が性に合っていたのでしょう。逆に、ZさんやJさんは、会話の方が振るっていました。調べたことを原稿にしたまではよかったのですが、それを棒読みしてしまったことが響きました。

Wさんは、どちらもお情けで合格という点数でした。指名されたとき以外はしゃべらないし、しゃべっても単語を並べるだけでした。おそらく、学校外では日本語を使っていないのでしょう。KCPを出た後、日本社会でうまくやっていけるのか、心もとない限りです。

学生の特徴を意識して採点したわけではありませんが、成績には学生の特徴が現れるものだと、妙に感心してしまいました。

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現状打破

9月10日(火)

Fさんは来春大学進学を狙っている学生です。志望校としてH大学、O大学、Y大学を挙げましたが、出願締め切り日も試験日も合格発表日も、何も調べていませんでした。しかたがないので、一緒にネットで調べました。しかし、その結果をメモするわけでもなく、「はあ」とか言いながら画面を見ているだけでした。

6月のEJUの成績も、あまりパッとしませんでした。Fさんの成績で合格の可能性があるのは、上記3校のうちO大学だけです。そういうことを伝えても、さほどショックを受けた様子は見られませんでした。

毎日、学校以外で勉強している時間を聞くと、たったの1時間でした。この時間でKCPの授業の予復習と受験勉強までしていると言います。これでは、していないのに等しいです。

だから、中間テストも目を覆わんばかりの成績でした。教科書を見ていいから間違えたところを直せと言って、しばらく経ってから見に行くと、教科書を見ても正答にたどり着けていませんでした。

Hさんも来週大学進学組です。しかし、こちらは志望校についてきちんと調べていて、出願が一番早いのはK大学で、来週からだとわかっていました。B大学は小論文があるから自信がないなど、独自試験の科目まで押さえていました。

中間テストは、Fさんよりはいくらか点を取っていますが、多少ましだという程度です。Hさんの問題点は、間違えたところをみんなケアレスミスだとしてしまっている点です。確かにそういう誤答もありますが、大部分はポイントをつかんでいないから犯した間違いです。この点を直視しない限りは、これ以上伸びないでしょう。

Fさんは、まず、現状の無気力状態から脱することが必要です。Hさんは最後まで確実に勉強する癖を身に付けなければなりません。2人とも、どうにかして思考回路をつなぎ直さないと、卒業式の頃でも無所属新のおそれがあります。

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6割

9月9日(月)

金曜日に出した宿題を集めました。提出率は6割。金曜日の授業中に口頭でも伝え、板書もしたし、授業後にメールで改めて連絡しました。だから、金曜日に欠席したRさんも提出しました。その一方で、金曜日はしっかり出席していて私の話を聞いていたはずのMさんやCさんが提出しませんでした。

提出しなかった学生は、今学期の宿題提出率が押しなべて低いです。Mさん、Cさんに至っては、27%です。よく見ると、今回の宿題を提出したかしないかは、ものの見事に今までの提出率で二分されました。提出した学生は提出率上位、提出しなかった学生は提出率下位で、逆転現象は全くありませんでした。

提出した学生は、授業の予習課題なども毎回きちんとやっています。それに対して、MさんやCさんは、そちらもいい加減です。当然、成績も推して知るべしです。この調子でいくと次学期に進級できるか危ないですが、授業態度を見ても、宿題提出率からも、そういう危機感を持っているとは思えません。

宿題提出率、予習課題実施率と成績が比例するかというと、必ずしもそうとは言い切れませんが、グラフ化すると相関係数が高いのではないかと思います。やる気のある学生、きちんと勉強している学生は力を伸ばし、そうではない学生は伸び悩んでいるという、実にまっとうな結論が得られます。

私が受け持っているもう1つのクラスでも同様の傾向が見られます。こんなことはわざわざ調べるまでもないことであり、予習をしろ、宿題を出せと言い続けてきた私たち教師は決して間違っていなかったというわけです。この簡単な原理を、どうすれば学生に浸透させることができるのでしょうか。それが問題です。

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結果発表

7月24日(水)

昨日の帰り際、Tさんが「先生、EJUの点数はもうわかりますか」と聞いてきました。成績発表は7月24日とEJUのページにしっかり出ているのに、心配で心配でたまらなかったようです。もちろん、昨日の時点では発表されていません。「明日まで待っててね」と答えるほかありませんでした。

今朝、8時頃。Sさんが「先生、EJUの点数はもうわかりますか」と聞いてきました。EJUのページを見ましたが、発表された形跡はありません。「もうちょっと待っててね」と言って自分の仕事に取り掛かりましたが、Sさんは帰る気配がありません。「ちょっと待っててね」と受け取って、私が仕事を中断して点数を見つけ出すのを待っていたのです。こちらも言葉が足りませんでした。「発表、まだみたいだから…」と付け加えればよかったのです。

その後、授業に出てしまい、10:30の休憩時間に戻ってくると、発表されていました。12:15の授業終了後、大急ぎで結果を取りまとめ、先生方に知らせました。

そんなことをしていると、ゆうべ騒いだTさんと、RさんがEJUの成績を基に進学相談に来ました。2人とも、思ったよりも点が取れたようです。少し強気な大学名も出てきました。それはいいのですが、2人の課題は発話力です。今の話し方だったら、EJUの成績がよくても面接で落とされるでしょう。しかし、そういうことを注意しても、2人は成績が良かったことに浮かれて、私の言葉など聞いちゃいないようでした。こういうパターンが一番心配なんですよね。Rさんに至っては、早く合格して楽な生活がしたいと言い出す始末です。

Qさん、Pさんなど、進学相談を待ち構えていそうな学生が何人か思い浮かびます。忙しくなりそうです。

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悩める子羊

12月25日(月)

夕方、先週A大学に出願したPさんが進学相談に来ました。先週末に発表された11月のEJUの結果から、新たな出願校を考えたいということでした。でも、Pさんの成績は6月とほとんど変わりませんでした。それだったら、今までに話してきた大学の中からどこか1校か2校選べばいいのにと思いながら話を聞きました。

よくよく話を聞くと、11月の成績から30点ぐらい下の点数でも入れそうな大学を教えてくれということでした。30点ぐらいの差なら、面接でも逆転可能な場合が多いです。ですから、そんな大学を調べて出願しても、滑り止めになるとは限りません。11月と6月と、点数がほとんど変わらないのですから、すでに出願したA大学に確実に合格できるよう手を打っていくべきです。

そういう話をすると、心配の種が今度は面接の受け答えに移りました。Pさんが出願したのはS学科ですが、N学科の勉強もしたいと面接で言ったら印象が悪くなるだろうかとかと言い出しました。どちらにするか出願の際に悩んだことは確かですが、S学科の方が自分の将来の勉強に役立つと考えて、S学科に出願したのです。今更そこまで立ち帰って迷っても、どうしようもありません。S学科の先生方に、自分はどうしてもS学科で勉強したいと訴えることが肝心だと私が何度言っても、N学科の勉強も必要だという方向に考えが行ってしまいます。私が何か言うと、その瞬間は納得するのですが、いつの間にか考えが一周してN学科に戻ってしまいます。

S学科もN学科も同じ学部ですから、S学科の必修と授業時間が重なりさえしなければ、N学科の授業だって取れます。自分で勉強して、どうしてもわからないことがあったらN学科の先生に聞きに行くことだってできるでしょう。そういう話をしても。Pさんの心配は一向に解消されませんでした。

帰り際にはS学科に受かるための面接の受け答えを考えるということで納得した体ではありましたが、うちへ帰って一人で考えているうちにどう変わるかわかったものではありません。

この間2時間。作文の採点を終わらせようと思っていたのですが、5人分残ってしまいました。

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職権乱用

11月21日(火)

中間テストからちょうど1週間たち、各クラスの採点結果が出そろいました。日本語プラスや以前受け持ったクラスなどの学生や、問題ありで目を付けている学生、逆に希望の星として追いかけている学生、そんな学生たちの成績をこっそりのぞき見するのが、この時期の私の楽しみです。

「目標は東大です」と言い切った新入生のTさんは、残念ながら不合格の科目があります。テスト形式に慣れていなかった面もあるかもしれませんが、暗雲が漂い始めています。勉強のしかたが悪いとなると、今後無駄な努力を積み重ねかねません。早く手を打ちたいところです。

先学期レベル1で私のクラスで優秀な学生だったFさん、Pさん、Wさん。今学期も素晴らしい成績です。この勢いだと、中級か上級でまた教える時期も、案外早く来るかもしれません。変なものにつまずかないで、順調に伸びていってください。病欠がきっかけで崩れていった例が山ほどあります。健康に気を付けてください。

日本語プラスでお世話しているDさんとLさんは、まあまあの成績でしょうか。日本語力がついてくれば、受験勉強も弾みがつきます。2人とも理解力がありますから、何でもどんどん吸収していけるはずです。来年6月のEJUに照準を合わせていますが、大いに期待が持てます。

Kさん、Sさん、Aさんは、成績が入力されていません。中間テストの日に欠席し、追試も受けなかったのでしょう。来学期進級できないことがほぼ決定です。進学の方もうまくいっている気配はありません。こういう何にもしようとしない学生に限って、最後にこちらを頼るんですよね。KCPの教師は阿弥陀如来ではありません。

あ、そうだ。選択授業のクラスの学生たちを忘れてた…。

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