Category Archives: 学校

教え子

7月12日(水)

中国の外国語学校の学生さんと引率の先生が、KCPを見学にいらっしゃいました。月曜日から東京に滞在なさっているそうですが、暑さはだいぶこたえているようでした。そんな中、わざわざ足を運んでくださるというのですから、こちらも昨日から学校中を掃除してお迎えしました。

朝、いらっしゃったら、玄関付近で自由に写真を撮っていただくことになっていたのですが、あまりの暑さのためすぐにエアコンの効いた部屋へ(この時点ですでに33度)。KCPでの留学生活の紹介の後、学生さんたちにとって大いに関心のある日本での進学について説明しました。学生さんたちの日本語はほとんどゼロですから、引率の先生に通訳していただきました。

私の説明が終わると、次から次へと質問が出てきました。こちらの予想を上回る関心の強さで、予定を20分もオーバーし、昼ご飯を食べる時間がなくなってしまうのではないかと心配になるほどでした。KCPの在校生もこのくらい進学について真剣に考えてもらいたいものです。日本にいると情報過多で、かえって興味を失ってしまうのでしょうか。

午後は初級クラスを見学したり、クラブ活動に参加したりしてもらいました。最後に感想を聞いた時、日本の文化に触れられていい経験ができたと言ってくれました。そうそう、お昼に食べた日本のラーメンは、塩辛かったそうです。これも、日本の食文化の一端です。

実は、朝、引率の先生に驚かされました。「L先生からの手紙です」と封筒を手渡されました。中を読むと、L先生とは私が教えたLさんでした。現校舎が建つ前の、旧校舎の時代の学生です。名前を見た瞬間、10年以上の記憶が鮮やかによみがえりました。今は、外国語学校の先生だそうです。Lさんは何事にも全力で取り組んでいました。そのLさんの教え子たちなら、何でも吸収しようという姿勢も引き継いでいて当然です。

大急ぎで手紙の返事を書いて、引率の先生に託しました。

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入学式挨拶

みなさん、ご入学おめでとうございます。世界中の国々の、このように多くのみなさんが、KCPを留学の場として選んでくださったことをうれしく思います。

今学期、KCPはコトバデーを開催します。この後すぐに紹介しますが、コトバデーとは、簡単に言うと、全ての学生が日本語を「話す」いろいろなタイプの発表に携わるイベントです。

言語には音声言語と文字言語がありますが、人類が最初に得たのは音声言語です。コンピューターのプログラム言語のような人工的な言語は別として、日本語も英語も韓国語も中国語もフランス語もスペイン語も、自然言語は音声言語あっての文字言語なのです。コトバデーは、KCPで学ぶ学生も、教える教師も、言語の原点、「話す」ことに立ち帰る、全校挙げての活動です。

このコトバデー、実は昨年が第1回でした。3年前から全世界を襲ったパンデミックによって、KCPも授業形態を大きく変えることを余儀なくされました。当時の学生も教師も全力を尽くしましたが、一番大きな影響を受けたのが、学生の話す力でした。教師は、オンライン授業で学生の話す力を伸ばすことの難しさを痛感させられました。学生の日本語を話す力を取り戻すにはどうすればよいか、そのための第1歩が、コトバデーでした。

これから始まるコトバデーに向けた活動を通して、みなさんに何よりも味わってもらいたいのは、日本語を話す、日本語で心の内を語る、考えを述べる、コミュニケーションを取ってお互いを知り合う、そういったことの楽しさです。日本語というみなさんにとっての外国語によって、相手に理解してもらえた、相手のことが理解できた、その瞬間の喜びです。その喜びをさらに深めるために勉強を続けていけば、自ずとみなさんの日本留学の目的も達せられることでしょう。

今ここにいらっしゃるみなさんのKCPで日本語を勉強する目的は何ですか。大学の単位を取るため、日本で進学するため、日本で暮らすためなど、各人各様でしょう。もちろん、みなさんそれぞれの目的に向かって進んでいってください。ですが、もう一つ、1人の日本人としては、日本語を学ぶことによって日本や日本人を知るということも、2番目か3番目の目的に付け加えてほしいところです。日本で生活し、日本語で日本人とコミュニケーションを取ることで、日本とはこんな国なんだ、日本人ってこんな考え方をするんだなどということを、実感を持って理解していってもらいたいのです。そして、親日家にはならずとも、知日家にはなってほしいと思っています。

単に日本語を勉強するだけなら、わざわざ日本へ来る必要などありません。日本で、生身の日本人教師から直接日本語を習う意義を再認識し、この留学をより一層有意義なものへと作り上げていってください。みなさんは、非常にラッキーなことに、入学してすぐ、コトバデーという、日本語を掘り下げるチャンスがあります。これも有効に活用してください。そのためなら、私たち教職員一同、喜んでみなさんのお力になります。

本日は、ご入学、本当におめでとうございました。

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そうまでして?

6月9日(木)

KCPは、校舎・敷地内全面禁煙です。喫煙所はもちろんのこと、灰皿すら置いていません。タバコを吸いたい人は、付近の喫煙所へ行くか、学校にいる間は我慢するか、どちらかです。

付近の喫煙所と言っても、学校のすぐ隣などにはなく、歩いて数分かかります。ですから、15分の休憩時間内にタバコを吸おうとすると、走って喫煙所へ行って、大急ぎで吸って、また走って戻ってくるという感じになります。そんなではあまりにあわただしく、タバコ本来の“一息つく”には程遠いです。それでも吸いに行く人がいますが、タバコを吸ったことのない私など、何のために吸うのだろうと思ってしまいます。

走ろうが何しようが喫煙所まで行って吸って授業開始までに戻ってくるのなら、正当な行為です。誠にお恥ずかしい話ですが、最近、学校至近の喫煙所ではない場所でタバコを吸う学生が後を絶ちません。多くが駐車場などの私有地に無断で入り込み、一服に及んでいます。これは住居不法侵入であり、立派な犯罪です。

捕まった学生たちは、日本人もそこで吸っていると不満げに言います。でも、それは、犯罪の真似をしてもいい、模倣犯は許されると言っているのに等しく、言い訳にも理由にもなりません。

昨日も5人の学生が捕まりました。昼休みに、その5人への締めの説教をしました。次に同じことをしたら即刻退学だと通告しました。夕方、その学生たちの反省文を読みました。喫煙所が遠いとか、早くタバコが吸いたかったとか、要するに学校が何回も繰り返してきた喫煙に関する注意を軽視していたのです。「二度としません」という言葉が躍っていましたが、どこまで信じられるでしょう。しばらくは、この学生たちをマークしていきます。

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備えてますか

5月27日(土)

昨晩は帰り支度を始めたころに地震がありました。職員室にいた教職員全員が「あ、地震」となりましたが、誰の電話にも緊急地震速報が入らず、大した規模ではないということもすぐわかりました。

ネットを見てみると、千葉や茨城では震度5強だったと報じられていました。この地域では、半月ほど前にも同じような規模の地震がありました。群発地震というほどではないのでしょうが、少々気になる動きです。

学校を出ると、街の中は異常なしでしたが、丸ノ内線・銀座線はところどころ徐行運転でした。千葉方面に向かう鉄道は、運転見合わせだったようです。

家の中も、本棚の本が飛び出したなどということもなく、異常なし。いつものようにお風呂に入ったりネットを見たりして寝ました。夜中に余震もなかったのでしょう。今朝も、いつもの時間に目を覚ましました。

学生はどうだったんでしょうね。土曜日は学生が来ませんから直接話は聞けませんでしたが、「困った」という電話もかかってきませんでしたから、おそらく何事もなかったのだと思います。

でも、1階であれだけ揺れを感じたのですから、教室はもっと揺れたのではないでしょうか。授業中だったら、学生たちは大騒ぎだったに違いありません。

「地震雷火事親父」と言われます。地震は人がよって立つ地面そのものが揺らぐのだから、怖いものの第1位なのだと何かで読んだことがあります。確かにそうですね。地震は突然襲ってきて逃げようがありません。

とすると、地震慣れした東京の人間よりも、地震のたびにビクついている学生たちの方が、人間として、生物として、まっとうなのかもしれません。私なんかはいつも大笑いしていますが。

でも、怖がるくせに備えはしないんですよね、学生たちは。来週は、授業でそんなあたりをつついてみましょうか。これから長い日本での留学生活では、地震と共存ですからね。

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マスクなし

4月7日(金)

始業日は教科書販売があります。その日のクラス担当の教師が学生を1階の事務カウンターまで学生を連れて来ます。その学期に使う教科書をかわせたら、また連れて帰ります。

今学期金曜日はクラス授業がない私は、販売担当としてカウンターに立ちました。先学期受け持ったBさんが、新しいクラスの一員になって現れました。神妙な顔つきで新しい教科書を手に取っていましたが、同じクラスにしたはずのYさんとGさんがいません。「ほかの2人、どうした?」と小声で聞くと、「欠席です」という答えが返ってきました。「悪い学生だなあ。Bさんは休んじゃだめだよ」「はい、わかりました」という感じで、自分のクラスだった学生の“その後”は気になるものです。

他のクラスでも、KさんやSさんの姿がありませんでした。授業の後で担当の先生に伺うと、やはり欠席でした。金曜日1日だけ学校へ行くのは面倒くさいと考えて、自主休校にしたのでしょうか。2人とも、先学期の出席率は若干問題ありだっただけに、ちょっと心配です。こんな調子だとあっという間に1年が過ぎて、行先が決まらないままKCPを出なければならなくなることだって考えられます。

今学期の特徴は、3年3か月ぶりに、校内でマスクを強制しなくなったことです。教科書を買いに来た学生にも、ノーマスクの学生がちらほらいました。Jさんなんか、声を聞かなかったら気が付きませんでしたよ。でも、とてもさわやかな感じがしました。

東京の新規患者数は増えたり減ったりしていますが、教室でも街中でも、じわじわとマスクなしが増えていくんじゃないでしょうか。私も衣替えを機にはずしちゃおうかな。そのころには5類になっていることだし…。

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入学式挨拶(2023年4月5日)

みなさん、ご入学おめでとうございます。いつの学期もそうですが、新入生の、意欲あふれる、希望に燃えた顔を目の前にすると、私も心が浮き立つと同時に、気が引き締まる思いがします。

これからみなさんの留学生活が始まるわけですが、留学生活を続けていくうえで一番難しいことは何だと思いますか。それは、今みなさんが抱いている意欲や希望を抱き続けることです。2023年4月5日の、好奇心に満ちた新鮮な心を、みなさんがKCPを去る日までずっと持っていることが、何より難しいのです。

今更言うまでもないことですが、親元を離れ、自分の生まれ育った国の外で、ましてや言葉も満足に通じない環境で、生活するのみならず、今後のみなさん自身の人生の成否をかけて勉学に集中することは、並大抵の難しさではありません。この困難を見事に乗り越えて志望校に進学したり日本で職を得たりした先輩たちも大勢います。その反面、いろいろな要因で挫折を余儀なくされた先輩方がいたこともまた事実です。

かつては、学費や生活費を稼ぐためのアルバイトに追われて勉強どころではなくなってしまった学生をよく目にしました。しかし、今はみなさんの国が裕福になりましたから、そういう学生はめっきり少なくなりました。その代わり、精神的に追い詰められて留学の目的を果たせなくなってしまう学生が増えてきました。優秀な頭脳を持ちながら、その頭脳を活かすことなく不本意な選択に甘んじざるを得なくなってしまった学生の姿は、見るに忍びないものがあります。

こうした学生の多くは、視野狭窄に陥り、近視眼的な発想しかできなくなっています。今、この場にいるみなさんは、視線を、漠然とした形ではあっても、「将来」に向けています。それがみなさんの意欲の原動力であり、希望の源です。逆に、「将来」を忘れてしまって、目の前の愉悦に逃避したり恐怖におびえたりしているようだと、留学生活に息苦しさしか感じられなくなるでしょう。

そんな時は、私たち教職員を頼ってください。私たちは、今までの留学生の成功例も失敗例も数限りなく見てきました。その経験をもとに、なにがしかのアドバイスをして差し上げられるでしょう。時には、そのアドバイスはみなさんにとって耳の痛い話になるかもしれません。しかし、その耳の痛さを避けていては、自分の現状と入学式の日の心意気との落差から目を背けていては、問題は解決しません。危ない状態から立ち直った学生は、私たちの意見に耳を傾けています。あるいは友達の差し伸べた救いの手にしっかりつかまって這い上がってきました。

私たち教職員はみなさんを見守っています。スランプだなと思ったら、遠慮なく頼ってください。みなさん自身が気づかなくても、様子がおかしいなと思ったら、こちらから声をかけることもあります。そして、私たちと語り合うことをきっかけにして、留学の第一歩を力強く踏み出そうとしている今のみなさんを取り戻してください。これが、みなさんがご自身の留学を成功に導く鍵です。

本日は、ご入学、本当におめでとうございました。

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隣の女性

3月31日(金)

昨日の夜、退勤時に乗った銀座線で私の隣に座った20歳代と思われる日本人女性は、堂々とマスクをしていませんでした。電車の中では、外国人観光客らしき人たちがマスクをせずにおしゃべりしているのは何回か見かけましたが、日本語があふれたスマホの画面とにらめっこしているマスクなしは初めてでした。

まわりの乗客も、私と同様に一瞬ぐらいはその人に目をやったかもしれませんが、何事もなかったかのように自分の仕事に没頭していました。ずっとあたりを見張っていたわけではありませんが、眉を顰めたりなどという人もいなかったと思います。少しずつ、社会が復旧しつつあるんですね。

現時点では、半袖で歩くよりマスクを取って電車に乗る方が勇気がいります。私は大勢順応派ですから、ごく当たり前にマスクを着けて電車に乗ります。昨日の女性がどんな考えの持ち主かわかりませんが、そういう行動ができることに対して、うらやましさを感じました。

5月の連休明けに5類に指定替えになったら、マスクなしの顔がぐっと増えることでしょう。マスクを着けたままの人がかなり残るんじゃないかとも言われていますが、梅雨が近づいて蒸し暑くもなるし、マスクなしが思ったより早く広まるんじゃないかな。

KCPでは、新学期から学生教職員に対して、校舎内でもマスク着用を求めないことにします。教室の机の配置も、以前のようにみんなの顔が見えるコの字型に戻します。どのくらいの学生がマスクを外すでしょうか。教室にかつてのにぎわいが復活するでしょうか。始業日は、来週の金曜日です。

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すっきりさわやか

3月24日(金)

学期が終わると、机の周りの掃除をします。3か月間にたまった、授業用のプリントやいろいろなところからもらったパンフレットや参考資料として使った図書などを、捨てたり元の場所に戻したりします。しかも3月は年度末ですから、1年分のそういったものが加わります。中にはシュレダーにかけなければならないものもありますから、結構な時間がかかります。年末にも大掃除をしていますからだいぶ整理したはずなのに、その時に捨てきれなかったものを思い切って捨てるとなると、思いのほかの分量になります。

こういう時は、余計なことを考えてはいけません。直感的に要らないと思ったものはすぐに捨てます。情け心が湧かないうちに処分するところがポイントです。温情はゴミ屋敷ならぬゴミ机に直結します。興味を持ってもいけません。3か月間顧みなかったということは、今後もその書類のお世話になることなど、まずないでしょう。懐かしんでもいけません。せいぜい、シュレッダーに飲み込まれていくとき「さよなら」と手を振るくらいで十分です。

たまりにたまった垢を落としているときに、まれに探していた物が見つかることがあります。でも、私はそんな淡い期待はかけません。それを見つけようと紙を1枚ずつチェックするなんてことはしません。そうです。余計なことは考えないのです。

そういう冷血人間になったおかげで、机の上にそびえていた書類の山も、本棚の本の上にのっかっていた受験講座のプリントの余りも、みんな消えてなくなりました。私の四囲が軽快な装いになりました。

さて、次はパソコンの中です。こちらは“実物”がない分だけ難敵です。来週、腰を据えて整理に取り掛かりましょう。

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変じゃないよ

3月15日(水)

昨日、O先生からAさんの様子がおかしいというメールが入りました。Aさんは水曜日の受験講座数学を受講しています。担任の先生とは違う角度からAさんを観察してみようと思いました。

教室に入ると、Aさんはいつもの席に座っていました。定刻に授業を始めると、最初のうちは下を向いていました。やっぱり何かあるのかなと思っていましたが、練習問題を配るといつものように熱心に取り組み始めました。そしてその問題の解説を始めると、顔を上げてホワイトボードとモニター画面に集中するようになりました。うなずいたり自分の答えと見比べたり、いつものAさんに戻っていました。

その後も、後ろの席に座っていたYさんに聞かれた問題を教えたり、図を描きながら問題に取り組んだりと、前向きな姿勢で授業に参加していました。私が配る練習問題は後ろのページに答えがつけてありますが、それに頼らず自力で解こうと真剣に取り組んでいました。

授業が終わると、しばらく友だちと軽口をたたき合った後、「さようなら」と明るい声であいさつをして帰っていきました。これなら心配はないと思いました。

受験講座では、日本語のクラス授業とは違った一面を見せる学生がけっこういます。よく回らない口で果敢に質問してくる学生や、顔をゆがめながら課題に取り組む学生や、逆に日本語の授業とは打って変わっておとなしくなってしまう学生や、本当に色とりどりです。

クラブ活動は、おそらく受験講座以上に通常クラスとは違う学生の顔が見られることでしょう。学生を多角的、多面的に見ていくことが、学生を伸ばす一助となると思っています。

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桜に見送られて

3月14日(火)

開花予想の16日よりもさらに2日早く、桜が咲き始めてしまいました。四ツ谷駅の桜は、私が通過するころはまだ闇の中なので(正確には、電車内が明るすぎて外が見えないだけなのですが)、どんな状態になっているか確かめられません。まさか、四ツ谷で夜が明けるようになる前に散ってしまうなんていうことはないですよね。

その、ちょうど桜の開花宣言が出された日に、E専門学校の留学生担当Tさんがいらっしゃいました。退職のご挨拶にわざわざ来てくださったのです。E専門学校には、今年も私のクラスの学生2名が進学します。今までずいぶん長い間、本当にお世話になってきました。

Tさんは、KCPで開く進学説明会には毎年参加してくださいました。不思議なことに、他校のブースに学生がいなくても、Tさんのまわりには人だかりができるのです。そんなときも、慌てることなく、要領よくかつ各学生に向き合っていました。だから、毎年、E専門学校に進む学生がいるのでしょう。

学校関係者が退職するとき、たいていは一斉メールで挨拶状が届くだけです。郵便で挨拶状が来ることは、最近ではめったにありません。ましてや、ご本人が、引継ぎなどのお忙しい時間を塗って足を運んでくださるなんて、絶えて久しくありません。Tさんは私とそんなに年が違わないはずですが、私がここまで義理堅くできるかと問われると、ちょっと自信がありませんね。

Tさんを見送るために咲き始めたんじゃないかというタイミングの開花宣言でした。

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