4月22日(水)
先学期私が担任をしたクラスだったWさんが退学しました。先学期のWさんは成績も学習態度も出席率もどれも芳しくなく、留学を続けられるとはとても思えませんでした。退学勧告も含めてじっくり話がしたいと思っていましたが、本人が姿を現さないため、できないでいました。
漏れ伝わってきたところによると、Wさん自身も自分は勉強があまり好きではなく、日本の生活も大変なので、帰国したいと思っていたようでした。出席しても心ここにあらずという感じのことが多かったですから、うなずける話です。Wさんは3月に一時帰国して話し合ったものの、ご両親からは完全帰国に強力に反対されました。それで意に反して留学を継続したというわけです。
ご両親に帰ってくるなと言われたWさんにとって、この世での居場所はKCPしかありませんでした。そのKCPも、好きではない勉強を続けることが在籍を続ける条件ですから、居心地のよいものではありません。こう考えると、先学期さんざん厳しいことを言いましたが、かなりかわいそうなものがあります。
Wさんのご両親はどういうつもりで子供を留学に出したのでしょう。千尋の谷に突き落として這い上がってこいと子供を鍛え上げようとしたのでしょうか。それだったら、突き落とす谷を間違えていたと思います。Wさんにとって日本留学は手がかり足がかりのある谷ではなく、蜘蛛の糸すら垂れてこない地獄落ちだったに違いありません。もし、外国に送り出しさえすればマルチリンガルの国際人になって戻ってくるなんて考えていたとしたら、それは偉大なる勘違いです。
Wさんがどういう交渉をしてご両親に帰国を認めともらったのかは定かではありませんが、いい形で話しがついたと思います。Wさんが新しい道で大きく成長することを祈るばかりです。