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復活まで

8月14日(月)

受験講座から帰ってくると、K先生が不機嫌そうにコンピューターの不調を訴えていました。ある操作をするとコンピューターが動かなくなってしまうというものです。普通はそんなことにはなりませんから、まさかと思いつつ気安く私も同じ操作をしてみました。私が操作をするのとほぼ同時に、K先生から「動きました!」と明るい声が。その反対に、私のコンピューターは固まってしまってさっぱりいうことを聞かなくなってしまいました。

あれこれ試みて、やっと復活したのが3時間後。いつもの日なら、テストの採点や宿題のチェックなど、コンピューターを使わない仕事が山ほどありますが、今日は中間テストの前の日なので、そういったものがありません。しなければならない仕事はあるのですが、どれもこれもコンピューターを使わないとできない仕事ばかりで、コンピューターなしでできる仕事は受験講座の問題を解くことぐらい。

自分の仕事がこんなにもコンピューターに頼っているのかと、改めて驚かされました。確かに、授業や学生対応をしているとき意外はコンピューターをいじっていることが多いです。紙ではなく電子的に保存している資料もたくさんあります。バックアップを取っているつもりでも、完全ではありません。ハードディスクがやられていたらどうしようと、コンピューターが復活するまでの3時間、大きな不安に襲われました。

復活しなかったらこうしてブログを書くこともできなければ、救える文書は救わねばなりませんから日付が変わらぬうちに帰れるかもわからなかったところです。むやみに“不調”の荒波に飛び込んではいけません。仕事のやり方をちょっと考えさせられた事件でした。

仏の先生

8月8日(火)

今朝、教室に入ると、漢字のテストがあるというのに、Wさんの姿がありませんでした。Wさんは、今学期に入ってからというか、1年前からずっと出席率について目を付けられていて、先学期の先生からもよからぬ引継ぎを受けています。先週の金曜日は朝から来ていたのですが、また悪い癖が出始めたのでしょうか。

などと思っていたら、10分ほど遅刻で入室。漢字のテストは途中から参加で、制限時間はみんなの半分ほどになってしまいました。そんなわけですから、成績がよかろうはずがありません。答案用紙を見る限り、勉強してきた形跡もなく、もしかするとテストがあるとは露ほどにも思わずに、安心して(?)遅刻してきたのかもしれません。

他のテストも推して知るべしで、未受験か不合格かのどちらかです。私の心の中では、早くも来学期進級させない学生のリストの筆頭に記されています。学生としての義務を果たしていないのですから、同情の余地など全くありません。

でも、わたしはWさんを厳しく叱ってはいません。今学期は、日本語のクラス授業以外にも、受験講座やら養成講座やら山ほど仕事を抱えています。入学以来歴代のWさんの担任教師も叱り続けています。それでも改善の兆しが見えないのですから、私ががみがみやったところで心を入れ換えてくれるとは思えません。効果があるかどうか覚束ない学生の説教に時間を割くよりも、進学相談などで私を必要としている学生たちのために時間を使いたいです。Wさんは私を優しい先生だと思っているかもしれませんが、実は最も冷たい仕打ちをしている教師なのです。

目をかけているがゆえに厳しく当たるのです。叱られるとは期待されているということなのです。学生の皆さん、先生が「はいはい」と言うことを聞くようになったら、あなたはもう終わりですよ。

初黒星

8月3日(木)

横綱だって負けることがあります。詰めを誤ったとか油断したとかで、負けるはずのない相手に苦杯を喫することを取りこぼしといいます。でも、横綱が絶対してはいけないことは、連敗です。

連勝を続けてきたPさんがお父さんと長時間話をして、その後宿題や受験勉強などをして、寝たのが2時だったというのは、おとといの深夜というか、昨日の未明でした。アラームをセットし忘れたため10時半まで熟睡し、ついに黒星を喫してしまったのが昨日の授業でした。出席率100%の記録が途切れてしまったので、その後ずっと機嫌が悪かったそうです。こんなつまらぬことで記録を途絶えさせてしまったという気持ちが強かったのでしょう。

そして、午後の受験講座の教室に、通常授業も選択授業も受験講座もすべての科目のノートにしているルースリーフを忘れてきてしまいました。それを見つけたのが、次の時間にその教室を使った私でした。Pさん独特の几帳面な字を見つけ、すぐに担任の先生に届け、上述の話を耳にしたのです。

100%でなくなったとたんに生活ががたがた崩れて奈落の底に落ちていった学生の顔は、いくらでも思い浮かびます。今朝は、Pさんもそうならないようにと祈りつつ出勤しました。午前の後半の選択授業を終えて後片付けをしていると、私の教室にPさんが入ってきました。お昼の時間帯の受験講座が私の教室で行われるからです。

「Pさん、あんた、昨日教室にノート忘れたでしょう」「え、先生、どうして知っているんですか」「見つけたの、私ですから」「ありがとうございました」

Pさんは連敗はせず、昨日の不機嫌さはかけらも見せず、いつものにこやかな表情が戻っていました。ここを乗り切れば、また連勝を重ねていけるでしょう。皆勤賞は逃しましたが、精勤賞を目指して頑張ってください、Pさん。

夏はこれから

7月31日(月)

最近、日が短くなったなと思います。と言っても、皆さんと違って、私が感じるのは日の出が遅くなったことです。今朝は久しぶりに晴れましたが、電車から見える朝日の位置がとても低くなったなと感じました。もう間もなく、家から駅までの道の街灯が消えないうちに通り過ぎることになり、朝よりも夜の雰囲気が濃くなっていきます。

とはいえ、日中は夏全開で、校庭でスピーチコンテストの応援練習をしようとしたM先生のクラスは、コンクリートからの照り返しでひどい目にあったそうです。校庭の活用を図ろうとしましたが、もう少し陽気がよくなってからのほうがよさそうです。

蝉もかなり勢いよく鳴いています。小中学校は夏休みですが、夏休みはなんてったって蝉ですよね。でも、午後の授業に外階段を上っていく途中に、大きな蝉の死骸がひっくり返っていました。夏の宴を終えて、命が果てたのでしょう。

夕方、卒業生のNさんが学校に来ていました。「もう夏休み?」「はい、来週の試験が終わったら9月の終わりまで休みです」「えっ、そんなに長い間休んじゃったら、授業料、もったいなくない?」「大丈夫です。ウチの大学、ゴールデンウィークは普通に授業するんです」…なんていう、意味がわかったようなわからないような話をしました。でも、2か月近くも休んでいたら、頭がなまっちゃうんじゃないでしょうか。Nさんは休み中アルバイトに励んじゃいそうな気がしますから、なおさら心配です。

いずれにせよ、KCPの夏はスピーチコンテストであり、夏休みはまだひと月近くあります。まだまだ夏が終わってしまっては困ります。

触媒作用

7月19日(水)

先学期の私のクラスは、学期の最初のころは、授業中はおとなしいし、病弱ですぐ休んじゃう学生や理由もなくなんとなく欠席を続ける学生などもいて、一時はどうなることかと頭を抱えてしまったものです。しかし、学期末は、意見は活発に出るし、なぜか誰も病気をしなくなり、欠けても1名という日が続き、いつになくまとまりのあるクラスになりました。初級のクラスでしたが、違う国出身の学生と学生が、共通言語である日本語を通じてコミュニケーションを取る姿がごく当たり前に見られました。期末テスト後の食事会では、進級してもこのクラスのままがいいという声が上がるほどでした。長欠になりそうだった学生が、クラスメートの力によって遅刻もせずにきちんと出席するようになったというところが、このクラスが学生たちにとっていかに居心地がよかったかを示しています。

他のクラスが何名かの不合格者を出したのを尻目に、このクラスは全員が進級しました。しかし、クラスは解体され、数名ずつの塊となって新クラスに配分されました。各クラスで、彼らが核となってまとめていってほしいという願いも込められていました。

ところが、今学期の初日から、このクラスのメンバーは何人も欠席しました。新クラスの核どころか、お荷物になってしまいました。長欠から立ち直ったと思った学生も、昨日、新旧の担任の先生方からたっぷり叱られていました。それ以外にも、Aさんは欠席とか、Bさんは2日連続とか、よからぬ噂が毎日のように私の耳に届きます。先学期は、惑星直列みたいな奇跡の一瞬だったのでしょうか。

そもそも、先々学期の先生方が先学期のクラスを作るとき、私のクラスがこんなすばらしいクラスになるとは、予想だにしていなかったでしょう。クラスの空気は教師の人知を越えた領域で作り出されるのです。教師のクラス運営がそのクラスの学生たちに与える影響を否定はしませんが、学生がお互いに触媒になって向上していくパワーにはかないません。

スピーチコンテストのクラス代表がほぼ決まりました。今学期は、スピーチコンテストを通して学生が成長していく学期です。

校庭活用法

6月20日(火)

最近、受験講座の教室へ行くのに外階段を上っていると、下のほうから「先生、こんにちは」と声をかけられることが多くなりました。校庭でくつろいでいる学生たちが視線をちょっと上に向けると、階段をとぼとぼ上がって行く私の姿が目に留まるのでしょう。また、お昼前後は日が真上から差しますから暑かったりまぶしかったりしますが、私が受験講座のために教室へ移動する3時過ぎは、日陰になって風も適度に入って、ちょうど居心地のいい時間帯なのです。校庭が開放されてからひと月もたっていませんが、学生たちの間には着実に定着しているようです。

その校庭にいる学生たちですが、今週は期末テストが近いとあって、多くが教科書を広げています。OさんやUさんたちはアイスキャンディーをなめながら文法や漢字の勉強をしているようでした。午後3時の東京は気温26.8℃で湿度65%、ちょっと蒸したかもしれませんが、エアコンのきいた2階ラウンジや、静かにしなければならない図書室とは違ってそよ風に吹かれながらの勉強は、私が想像するより気持ちのいいものなのかもしれません。

校庭は三方がビルに囲まれていますが、それでも風が通り、また、青空が望めますから、やっぱり開放感があります。校庭のベンチで昼寝ができたらどんなに気持ちがいいだろうと思いますが、学生の目もありますから、今は遠慮しています。受験講座の理科はそんなに人数が多くないですから、陽気のいい季節は青空教室にできたら、リラックスできて覚えなければならないことが頭にスムーズに入っていくんじゃないかと考えたりしています。

受験講座から職員室に戻ってくると、Sさんが先週の文法テストの再試を受けに来ていました。再試の結果もあまり思わしいものではなく、校庭のテーブルで受けさせたほうがよかったかななんて思いました。

ばっちりキメて

6月8日(木)

毎年この時期恒例となったKCP進学フェアが行われました。午前中、受付開始時刻が近づくと、午後クラスの学生が会場に集まり始め、M大学やT大学のブースには人だかりができました。お昼過ぎに中上級クラスの授業が終わると、ちょっと低めに設定しておいたエアコンがちょうどいい具合になるほどの若い熱源が会場に押し寄せました。A大学やJ大学のブースはかなりの混雑で、午前中から込んでいたM大学、T大学はいすにも腰掛けられず、立って待っている学生も。

私もずっと会場内を歩き回っていましたが、今年は話を聞きたい大学を決めてきている学生が多かったようで、去年あたりとは違って、学生から相談を受けることはありませんでした。引き揚げていく学生に聞いてみると、厳しい話も含めて、手に入れたい情報が聞けたようでした。初級の学生も、美術系の大学を中心に、積極的に話を聞き、何かをつかんで午後の授業の教室へと向かったようでした。

終了時刻が近づき、参加してくださった大学の担当の方にお話を伺うと、KCPの学生はしっかりコミュニケーションが取れているというお褒めの言葉をいただきました。だからこそ、ほしい情報がもらえたのでしょう。

私のクラスの学生も大挙してきていましたが、女子学生はなぜかいつもよりおめかししていました。Lさんをつかまえて、進学フェアがあるからいつもよりきれいな格好をしてきたのかと聞いてみると、ウフッと首をすくめて消えていきました。面接は見た目も大事だと言いますからね。

進学フェアをすると、学生たちの認識が改まり、意識が高まります。午後の受験講座では、早速進路相談を受けました。学際的なやや特殊な専門について勉強したいが、進学フェアで話を聞いたY大学のほかにどこがあるかという、核心に迫る内容でした。EJUまで、ちょうどあと10日です。

雨の季節の校庭

6月7日(水)

昨日の九州地方に続いて、中国四国近畿東海関東甲信地方が梅雨入りしました。ほぼ平年並みで、梅雨明けも平年並みとすると、これから1か月半ほど雨のシーズンとなります。

そんな中、校舎の隣の敷地が校庭として使えるようになりました。校庭と言っても運動ができるわけではなく、当面は2階のラウンジが拡張されたとして、ラウンジ同様に談笑したり食事したりする場として、学生に使ってもらおうと思っています。

午前のクラスからアナウンスを始めましたが、最高気温が22.6度、しかも梅雨らしい曇り空という、あまりよいお日柄とは言えない1日でしたから、新しもの好きの学生であふれ返るという状況にはなりませんでした。それでも何人かの学生が、テーブルにノートを広げたり、いすにゆったり腰掛けてスマホをいじったり、友達同士でお弁当をつつきあったりしていました。

校庭はラウンジの延長とは言うものの、1つだけ心配があります。それは、自動販売機がないことです。ラウンジの自動販売機でお菓子やパンや飲み物などを買ってその場で友達と一緒に食べるのが楽しいと言っている学生を何人か知っています。そういう学生にとっては、自動販売機のない校庭は魅力半減でしょう。

校庭に自動販売機を置くかどうかはまだわかりませんが、置いたとすると、また1つ問題が発生します。自動販売機の前に並んで自分の順番が来るのを待ちながら友だちとおしゃべりするのが楽しいという学生もいるからです。ラウンジと校庭とで混雑が分散されてしまったら、こういう学生から待つ楽しみを奪ってしまうことにもなりかねません。

そんなことをあれこれ考えても始まりません。何はともあれ、学生に使ってもらいましょう。降られてしまったら校庭開放はできませんが、これからしばらく学生の志向を見て、よりよい利用法を考えていきましょう。

職員室炎上

6月1日(木)

職員室は、朝から明日の運動会の色に染まっていました。各種目で用いる資材の最終チェックやら、競技スタッフの動きの確認やら微調整やら、各教師が明日の動きをシミュレートしながら手を動かしたり頭の整理をしたりしていました。私も競技役員をしてくれる学生に役割を説明したり、先生方に明日の仕事をお願いしたり、明日朝の現地での準備項目を話し合ったりと、“イブ”の慌しさを味わいました。ですが、私はスターターとか審判とかで出ずっぱりですから、そして、私の動きの良し悪しが運動会の成否を左右しかねませんから、当日に気力も体力も温存しておかなければなりません。今ここでヘロヘロになるまで頑張るわけにはいかないのです。

そんな職員室も、お昼前後は面接の学生が大挙して訪れました。運動会の準備もしばらく休戦です。ついさっきまで競技の小道具が広がっていた机で、中間テストの直しや進路の相談や遅刻しないようにするにはどうしたらいいかの話し合いなどが行われました。学校行事だからといって、学生指導の手を緩めるわけにはいきません。

私は、午後は受験講座。6月に突入しましたから、本番までに残された時間はわずかです。知識をぎゅうっと押し込んで、来週からの直前の追い込みにつなげていこうと思っています。本来だったら数回に分ける内容を1度に濃縮してしまったのです。学生たちが目を白黒させたのももっともなことです。

受験講座から戻ってくると、職員室は大変なことになっていました。あっちこっちで準備をしながら盛り上がっており、何だか本番みたいな雰囲気でした。今からこんなにテンションが高くて、明日は燃えかす状態になっちゃうんじゃないかと心配にすらなってきました。同時に、この学校の先生たちは本当にお祭好きなんだなあと思いました。

にわか雨

5月1日(月)

明日、学校内で端午の節句をするため、午前中からその準備に取り掛かりました。まずは、五月人形を見て、柏餅をいただく場に敷く敷物を屋上で干しました。私も屋上に出るのは久しぶりでした。朝9時半だというのに結構高いところから日が差し、初夏を思わせるような陽気でした…と書こうと思いましたが、もう5月ですから、初夏で当然ですよね。まあ、いずれにせよ、虫干し日和でした。

その後は面接やら授業やらで時間がつぶされ、次は受験講座の学生も引き揚げた夕方から、会場のセッティングに取り掛かりました。机やいすを片付けて、午前中に干しておいた敷物を敷いて、会場は完成です。五月人形は既に飾られていました。飾ったりしまったりするたびに部品が少しずつ傷み、ついには壊れてしまいます。ところが、今年は壊れた部品の一部に補強がなされていました。それも非常に気の利いた方法で。何がどうなっているかは、明日見てのお楽しみ。

さて、何気なく「敷物を敷いて」と書きましたが、9時半ごろは気持ちのいい青空だったものの、お昼が近づくにつれて雲が広がり、1時過ぎには雷も鳴り出し、音を立てて雨が降り出しました。今朝の天気予報で「お昼過ぎににわか雨」と言っていたので、午前中に屋上に出たときに、そうなりそうかどうか空を見てみましたが、風もあまり強くなく、そういわれれば雲の流れが怪しいかなという程度でした。予備知識なしだったら、にわか雨があるとは言い切れなかったでしょう。

気象庁の観測記録によると、このにわか雨は局地的なものだったようですが、私に言わせると、だからこそすばらしい予報だったと思います。「雨が降る」という予報を当てるのは一般に難しいものですが、今回は時間的な面においても満点と言っていいでしょう。

明日が端午の節句で、明後日から連休です。連休中はいいお天気という予報が出ていますが、こちらも当たってほしいものです。